16 アルバートとイシュタ ①
16話です。
よかったらどうぞ!
俺の眠気は一瞬で吹き飛んだ。
「な、なんでイシュタがいるんだ?」
「んっ、アルに会いに来た」
「会いに来てくれたのは嬉しいけどさ。でも、魔力消費がきついだろ?」
今は神の涙の時期ではないので神脈が弱い。
神脈が弱いと自身の持ってる魔力が大幅に消費され、長い時間留まることが出来ない。
「ニルの魔力を分けて貰ってる」
「ニルヴァースの?」
イシュタは頷く。
「ニルの魔力は無限にあるから」
初耳だ。
でも、考えればそれも当然かもしれない。
ニルヴァースは創造神、この大陸を作った神だ。
魔力枯渇などありえないだろう。
「なら最初からそうすればよかったんじゃないか?そうすればイシュタが辛い思いしなくて済んだんじゃ?」
強制召喚は別としても、自ら降りてくる時はニルヴァースの魔力を貰えばいいのでは?と思ったがイシュタは首を横に振った。
「それは出来ない。神々の決まり事。貰う場合は代償を払う」
「代償?」
「そう。自分の一番大事な物を差し出す」
「イシュタは何を差し出したんだ?」
イシュタは顔を少し赤らめてもじもじする。
「……アルの下着」
「ぶは!!」
何処さがしても見つからなかったのはそういう事か!
てか、イシュタ…一番大事な物が俺の下着なのかよ。
「……ま、まぁ、いいか。んで、イシュタはどの位ここに居れるんだ?」
「夜明けまで」
今何時かわからないが、およそ6時間くらいだろうか。
俺の下着が6時間……破格の安さだな。
「じゃあ、あまり長くは居られないか。とりあえず座ろうぜ」
「んっ。待ってて」
イシュタは座ろうとする俺を制止してパチンと指を鳴らす。
すると中央にダブルベッドが現れた。
「イシュタのベッド」
イシュタはぽふっとベッドに腰かけて隣をポンポン叩いた。
俺が隣に腰かけるとぎゅっと抱き着いてきたので、俺も抱きしめ返しイシュタの体温を感じる。
「アルに抱きしめられるの…久しぶり」
「ああ。俺もだ」
▽▽▽▽▽
「……アルに話すことがある」
暫く無言で抱きしめ合ってた俺たちだが、イシュタが不意に口を開く。
「ん?何だ?」
「アルも知ってる、一夫多妻制になったこと」
「あ、ああ、知ってるぞ」
「…アルが本気で愛した女性なら、イシュタに遠慮しないで欲しい」
「そ、それは…」
クレアの事だろうか?
確かに、クレアの事は好きだ。
だが、愛してるかと言われれば正直わからない。
それに、クレアが俺の事を好きとは限らないじゃないか。
ニルヴァースが居ると信じて来た森に偶々俺が居ただけだ…
うーんと考えてる俺を見てイシュタは小さく笑う。
「ふふ。アル、今はそこまで悩まなくていい」
「えっ?」
「でも、遠慮しないでいいという事は覚えておいて」
「……わかった」
俺は小さく頷いた。
それを見たイシュタは満足そうな顔をしてる。
「…アル、一つお願い聞いて欲しい」
「いいぞ!イシュタの頼みなら何でも聞いてやる」
イシュタは真っ直ぐ俺を見上げくる。
その綺麗な顔はみるみる赤みを増していく。
「……イシュタに、アルの初めてを頂戴」
ドクン!と、心臓が高鳴る。
「イシュタを、本当のお嫁さんにして……」
そう言って俯いたイシュタは耳たぶまで真っ赤になっていた。
「…………ッ……」
俺はイシュタを抱えるとベッドに横たわらせる。
「…………いいんだな?」
イシュタは小さく頷く。
「…わかった。イシュタに俺の初めてをあげるよ」
優しく唇にキスをする。
イシュタの体がビクンと震えるが気にしない。
いや、気にする余裕が俺にはもう無かった。
そして夜は更けていく……
読んでくれてありがとうございますm(__)m




