13 隊長と収穫時期
13話です。
良かったら読んでくださいm(__)m
朝食を食べ、クレアに雑草取りをお願いした俺は、サラの言葉に従って海水が出るか試した。
言う通りに念じて掘ってみたら本当に海水が出てきたので、井戸の北側に作り、海水井戸と名付けた。
海水が出たことに歓喜した俺は、胡椒の木を試すべく食糧庫の西側に来ていた。
「この辺に作ればいいかな……」
食糧庫から西に5mほど歩いた場所に拳大の穴をあけ、胡椒の木を念じて魔力を放出する。
すると木がニョキニョキっとはえてきた。
「おお!すげえ!!」
まだ俺の背丈くらいだからか実は付いていないが、これが成長すれば間違いなく胡椒の実を付けてくれるだろう。
「サラに聞けばもっと調味料が増えるかもな」
俺はこの場所を調味料畑と名付け、嬉々としてクレアが待つ畑に急いだのだった。
▽▽▽▽▽
「ふん!私に取られることを光栄に思いなさい!この雑草たちめーー!!」
クレアは雑草取りの時、何故かキャラが変わる。
元王女とは思えない叫び声で雑草取りを物凄いスピードで行っている。
「ほう…今日の雑草は中々やりますね。だが!私からは逃げられません!!」
俺はクレアの雑草取りが終わるまで静かに見守っていた。
だって、邪魔すると怒られそうなんだもん。
▽▽▽▽▽
「塩?胡椒?それはなんでしょうか?」
雑草取りを終えたクレアに報告したら不思議そうに首をかしげられた。
あっ、そういえばこの子、調味料何も知らないんだった。
「んー、しょっぱい味がする粉とちょっと辛みのある粉かな? とりあえず、これで我が食卓にも味付けが出来るようになる」
海水を煮詰めなければ塩は取れないし、胡椒は乾燥して潰す必要があるらしいので食卓に出るにはまだかかるだろうが、それでも大きな進歩だ。
「それは楽しみですね。私も頑張って雑草取りに励みますよ」
グッとありもしない力こぶを見せるクレアに俺は小さく苦笑して新しく作る作物を考える。
「……それでな、ジャガイモと人参を新しく作ろうと思っているんだが、クレアは何か食べたいものあるか?」
「そうですね……メロンが作れるなら食べたいです」
「メロン?クレアはメロンが好きなの?」
「はい!お城に居たときは夕食に必ずメロンを食べていました」
メロンは野菜じゃないけどクレアが好きなら作ってあげるか……
「クレアが好きなら作ってあげるけど、メロンも高苗から出来るから畑に植えるよ?ジャガイモと人参も作るから雑草取りが増えるけど大丈夫?勿論、俺も手伝うけどさ」
果樹園は何故か雑草が出ないので基本放置だ。
雑草が出るのは高苗で作る畑のみなので、畑の作物が増えるとどうしても雑草取りの負担が大きくなる。
「ふふ。面白いじゃないですか。あいつらがまだ増えるんですよね?フフフフ…腕が鳴ります」
不敵に笑うクレアを見ながら『雑草取り隊長』に任命することを決めた。
▽▽▽▽▽
「お帰りなさい。クレア様、ポンコ…アルバート様」
日課が終わり、水浴びを終えて家に戻ってきた俺たちをサラが出迎えてくれた。
「おい。またポンコツって言いそうになっただろ」
朝食の時、クレアに「アルさんはポンコツじゃありませんよ」と言われ、サラは俺の事をアルバート様に直してくれたがこうやってたまに言いそうになる。
「いいえ、言ってませんよ。アルバート様はポンコツなんですか?そう呼んで欲しければそうしますけど??」
「ぐぬぬ……」
「ふふ。まあまあ、アルさん。サラもそういうこと言ってはダメですよ」
クレアは俺とサラを宥めながら腰を下ろす。
俺も腰を下ろし、サラが用意してた昼飯を3人で食べる。
「それでな、メロンとジャガイモと人参、キャベツとブロッコリー、それとネギと玉ねぎを作ることにした」
隊長がオッケーを出したので追加で作ることにした。
「まあ、それくらいが無難でしょうか」
「収穫作業はとても楽しいですよ。私はまだイチゴ1個しかしていませんけど、いつ頃になったらもっと収穫できるのですか?」
「そうだな、今は夏だから後1ヶ月か2ヶ月くらいだな」
「え!?アルバート様、そんな早く収穫できるんですか?」
「うん。味が落ちてもいいなら明日に収穫させることも出来るぞ」
2人はポカーンと俺を見る。
そっか、収穫について言ってなかったな。
「…俺の畑の収穫時期は春と秋の2回。まぁ、この前クレアがイチゴを取ったけどあれは稀だ。 基本的には春と秋がメインになる。 そして、どの野菜、どの果物も関係なく出来る」
一般的に秋が収穫時期の作物でも春に出来る。
「それと、成長速度は俺の放出した魔力量に依存する。だから、急いで育てたい作物があればそれに大量の魔力を与えればいい。 ただ、急激に魔力を与えると作物の味が落ちてしまうんだ」
逆に味がよくなるように魔力量を抑えても今度は作物が育たない。
「今回作った作物は、秋の収穫に間に合わせて魔力量を変えたから少し味が落ちるだろうがそれは我慢してくれ」
すまんと2人に頭を下げる。
「あ、謝らないでください。アルさんのお陰で私たちは飢えずに暮らせそうなんですから」
「クレア様の言う通りです。それに関しては感謝してます」
「おいおい。まるで他には感謝してないみたいじゃないか」
ちぇーっと不貞腐れる俺を見て、2人の笑い声がいつまでも続いていた。
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