12 調味料
12話です。
それではどうぞ……
「アルバート様、おはようございます」
翌日、何時もの時間に起きた俺は井戸で顔を洗ってるとサラに挨拶された。
「おはようサラ。今日から宜しくな」
サラにも早速、畑仕事を手伝ってもらう。
食い扶持がいきなり2人増えたので作物増加もしなければいけない。
「そのことですが、私は畑仕事ではなく家作りをしたいのですがいいですか?」
「え?サラ、家作れるの?」
「当然です。クレア様専属のメイド足るもの家くらい作れなきゃ務まりません」
いや、家くらいってサラさん……
「んー、じゃあ、お願いしようかな。斧とか必要な物は家にあるはずだから好きに使って」
「はい。木材は森の木を切っていいんですよね?」
「ああ。特に決まりはないからサラの好きなようにしていいよ」
綺麗に整地されてるのは俺の家から直径100mほどだ。
それ以外は森が永遠と続いている。
「建てる場所の決まりは?」
「そうだな…。今の家の北側に作ってくれればいい。大きさ等はサラの出来る範囲で構わない」
1人で作ると時間もかかるし大変だ、俺もなるべく手伝うことにしよう。
「俺も手伝うから遠慮なく言ってくれ」
「いえ、私1人の方が早く完成しますので結構です。アルバート様は新しい作物を作ってください。何を作るのかはアルバート様に任せますが食材が圧倒的に少ないです」
「いや、調味料がないから他の作ってもあまり美味しくないじゃない?」
「え?調味料がないのですか?」
「うん。塩は海水ないから作れないし、胡椒や醤油、味噌の作り方もわからない」
「……なるほど。アルバート様、その井戸の水はどうやって出したのですか?偶々掘った場所から水が出てきたという訳でもないでしょ?」
「そんな偶然出来るわけないじゃん。作物を作るときと同じだな。水を念じて1mほど掘れば水が出てくるよ」
しかもその水は無限に湧き出るので使い放題だ。
「水だけしか出ないのですか?例えば、海水を念じれば海水になったりしません?」
「お湯は念じたけどダメだった。海水は試したことないや」
サラはやれやれと言った感じで溜息を吐いてる。
「はぁー、海水出るか試すのが普通でしょ。アルバート様はポンコツですか?」
「ポ、ポンコツじゃないぞ!」
「本当にポンコツじゃないんですか?胡椒の木は作りました?」
「え!胡椒って木からできるの!?」
衝撃の事実だ。
「ポンコツですね。胡椒の木が実を付けてそれを乾燥、潰したものが胡椒なんですよ」
いや、胡椒の木とか普通知らないんじゃないの?
それとも、ホントに俺がポンコツなのか!?
「醤油の原料は大豆、小麦、塩です。味噌は大豆、塩。どちらも麹が必要ですが、その作り方はわからないので何度か試す必要がありますね」
え?メイドってここまで知ってなきゃ出来ない職業なの??
「……ポンコツ。ちゃんと聞いてますか?」
名前がアルバート様からポンコツになっちゃったよ俺。
「あ、ああ。何?」
「ですから、ポンコツはまず海水が出るか試してください。胡椒の木も同様です」
「わかった。サラの言うようにやってみるよ」
「では、朝食を食べたらすぐ作業に掛かってください。1秒たりとも無駄にしないように!いいですね!!」
「りょ、了解です!!」
俺はビシッ!と敬礼した。
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