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装剣物語  作者: 川合総司
4/10

龍と狼 前編

天暦250年10月10日、早朝のことである。イクスリーベン襲撃事件からちょうど2ヶ月経ち、私たちの部隊である第1装剣機特務実験部隊、通称ドラグーン隊も部隊としてそれぞれの機体に慣れてきた。

そこへ緊急通信が入る。自由革新同盟が突如として私たち日本王国へ宣戦布告してきた。

自由革新同盟の侵攻理由としては日本王国が新型機を極秘裏に開発し、我が自由革新同盟を始めとした国際社会に悪影響を及ぼすとのこと。


理由としては考えられなくはないが一応国際法違反ではあるのでこちらに正当性はある。むしろ日本王国の排他的経済水域へ侵入してきたのは自由革新同盟なのだから。


とはいえ自由革新同盟はこの国際社会における覇権国家。誰も逆らえない…


日本王国も議会内で意見が真っ二つに別れ、無条件降伏もやむを得ないという消極的な意見と徹底抗戦すべしとまとまっていない状況にある。


私自身には政治的発言権などないが、1戦して自由革新同盟軍を撃退することが出来れば、我が日本王国軍の実力を示すこととなり、一時的に時間を稼ぐことが出来る。


日没後に日本王国政府の緊急テレビ放送が始まり、緊急会議の結果が国民に知らされた。結果は徹底抗戦となった。聖グランエル公国に援軍要請を出しつつもできる限り日本王国軍だけで対処する旨も内閣総理大臣の立花エルドレッド義成からつたられた。


自由革新同盟の侵攻ルートとして想定されるのは日本海側と東シナ海側の海上からと空からである。


しかし私はもうひとつのルートがあると思っている。それは1度大気圏を離脱して首都の東京に向けて再突入して一気に勝負を着けに来る。さらに海上ルートと空上ルートを複合して来る可能性もある。それはかなり高いだろう…


自由革新同盟にはそれだけの国力と圧倒的な軍事力がある。このままではジリ貧だな…


なら司令にひとつ提案するか…


数時間後…


私はドラグーン隊の隊員を招集した。

「全員集まったな。任務を伝える。芝浦司令から司令本部経由で私の提案を政府に伝えられ承認された。それは自由革新同盟がこちらに侵攻して本土に上陸される前に自由革新同盟の首都であるニューデリーに大気圏突入して陥落させる」

私以外の隊員たちは絶句していた…オブザーバーの玲香以外は。

玲香が隊員たちをよそに私にこの作戦を提案した理由を聞く。

「少佐、この作戦を提案した理由を皆さんに教えてください。私は分かっていますので、装剣機は大気圏離脱および再突入は可能です。もちろんアタッチメントをつけずにです」


「玲香、ありがとう。私が司令部にこの作戦を提案したのは日本王国軍は防衛戦で自由革新同盟を迎撃するには戦力があまりに少ない…奇策で戦術及び戦略的不利を覆すなど邪道であるし不可能ではあるが、こちらは装剣機だ並の戦術機なら相手にならない。ただ補給を受けられないため予備武装及び弾薬庫を携帯する、また我々の疲労を考え再突入から3時間以内に決着をつける。以上だ質問はあるか?」


隊の中で最年少のアスカが手を上げた。私はアスカに話すように促す。

「隊長、もし陥落させられなければどうしますか?」

「アスカ、それはそれで構わない。なぜなら首都攻略作戦であると同時に敵の戦力をこちらに引きつける囮の役割も担うからだ」


「囮ということは我々は全滅する可能性もあると?」

「ああ…それでも生き残るぞ!我々で日本を守る。全ての日本国民の笑顔のために」


『了解!』

「ああ!それでは作戦を伝える」


―――――――――――――――――――


自由革新同盟軍は日本王国本土への侵攻を開始するべく、日本海側及び東シナ海、そしてオホーツク海側に部隊を集結しつつあった。


自由革新同盟軍の日本侵攻軍司令官アレクセイ・スミルノフ大将は作戦開始の合図を送ろうとしていた。そのための演説を行っていた。

「我々は日本王国の軍事的パワーバランスを崩しかねない新兵器を破壊し、そのような兵器を作ることができる日本王国を独立国家として存続させるわけにはいかない。我々自由革新同盟が日本王国に引導をわたし、我々の領土とするのだ!それではさ…」


その時だった…スミルノフ司令が乗る戦艦イヴァングロムへ自由革新同盟政府から緊急通信が入る。

「政府から緊急通信です。日本王国軍が新兵器で首都ニューデリーに逆侵攻して来たとの事です」

「戦況は?」

「ニューデリーには空上ルートから侵攻予定だった空中戦艦ラシット15隻がスカイラーグ120機を搭載して進発する直前に大気圏再突入した敵機に強襲され、すでに9隻撃沈され、スカイラーグや神龍《シェンロン》」も100機以上撃墜されました…」

「なんということだ!敵の新兵器がこれほどまでの性能とは…」

「司令いかが致しますか?」

「致し方ない…至急ニューデリーまで一時退却する!それとヴォルグ大尉に連絡を取れ!ヘルファング隊を日本王国の首都東京へ侵攻して陥落させよとな…」

「了解しました!」

「さてヴォルグ大尉のお手並み拝見だな…」


―――――――――――――――


一方我々ドラグーン隊は自由革新同盟の首都ニューデリー上空へ突入するべく大気圏再突入の準備を開始し再突入を試みようとしていた。


「よし、ここまでなんとか悟られずに来たな。しかしまぁアークドライブ搭載機には空間転移機能がついていると言うのがなぁー自由革新同盟どころか他国もかなり脅威に感じても仕方ないぞ…」

「しかし隊長、その転移機能のおかげでここまで来れましたから良しとするしかないでしょう」

「そう言うがなトニー…私が他国の軍人なら自由革新同盟のような行動をとるのも共感できるぞ…」

「しかし我々は日本王国軍の軍人ですからね、考えても仕方ないですからね?」

「ライトまで…」

「隊長、ライト中尉にトニー中尉も軽口叩いてないで再突入しますよ」

「アスカ、わかった。ならはじめるぞ」

そういうと私のイクスドラグーンから再突入を開始した。その方法はアークフィールドというアークバリアの強化型のバリアを展開し、アークドライブの出力を上げて加速するというものだ。

私に続いてライト、トニー、アスカも再突入を行った。


我々の機体にはかなりのGがかかっているはずなのだが、楽に再突入を完了して、成層圏を抜けてニューデリー上空に到着した。

日本王国本土への侵攻前だったため自由革新同盟のラシットがまだかなりの数いる。まだかなり上の位置にドラグーン隊はいる、しかもイクスドラグーンとイクスシュタールガンナーの射程圏内だ…

これはチャンスだな…

「ライト、ラシットを撃沈させるぞ!」

「隊長、了解!」

そういうと私はドラゴニックランチャーをEモードでラシットに向けて発射した。ラシットの射程圏外なので為す術なく撃沈した。


ライトもアークフォトンバスターを発射し、こちらも難なく撃沈した。


敵はもちろんそのままやられてくれるはずもなく、空中戦用のスカイラーグとその後継機である神龍を展開して来た。


私はトニーとアスカに突撃の合図を送り、それに応え、トニーとアスカは突撃を開始した。空中戦に特化したスカイラーグと神龍であってもアークドライブ搭載機の敵ではなく、トニーが乗るイクスシュタールメッサーのアークディメンションソードが神龍5機を一瞬のうちに撃墜し、イクスリーベンシュツルンがアークアサルトレールガンでスカイラーグ3機を仕留めると神龍へ急速に距離を詰めるとクラッシャーソードで両断した。


まだ戦闘を開始して5分ほどだか敵の空中の戦力はかなり削った。

その間にもラシットとスカイラーグ、神龍を次々撃破してさらに10分後には殲滅を完了していた。


ただ私には懸念材料がある…イクスリーベンのテスト中に起きた戦闘の際に戦闘した敵の新型がいない。

まさか…

そう思った時に司令部から緊急通信が入る。それは私の予想が当たった。


それは敵の新型機が複数、しかも1機は他の機体と違うとの報告だった…

おそらく新型機で構成された部隊で、隊長機がさらなる新型機だな…


そう判断した私はイクスドラグーンのドラゴニックランチャーのGモードを使って敵の軍司令本部を砲撃して、一時的に混乱させて、一旦部隊を成層圏まで移動させた。

そしてイクスドラグーンから順番に空間転移を行い、東京まで退却した。


東京で敵機を視認した時には日本王国軍の主力戦術機である轟雷及び早風がかなり押されているところだった。轟雷と早風はまだ制式採用されてから2年ながら主力となっていた。かなり高性能な戦術機のはずだ。それが押されているということはかなり厄介な敵だな…


特に隊長機はかなり腕がいいな… もしかすると2ヶ月前の新型のパイロットかもしれないな。


轟雷のパイロットに通信を送る。

「待たせて済まない。ドラグーン隊隊長の幸水時矢少佐だ。敵の隊長機は私に任せてくれ!」


「あなたがルハーンシクの奇跡の幸水時矢少佐ですか…それは心強い。分かりました。全機敵の隊長機は幸水少佐に任せるぞ!少佐ならやってくれるはずだ」


そういうと轟雷及び早風は敵隊長機から離れた。

私はイクスドラグーンで敵隊長機に向かってドラゴニックランチャーのBモードを放った。

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