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降臨的冥王(冥界)

 

「「「―――――!?」」」


「お、おい……コレって……」

「何がどうなってるんだ?」

「魔力が……快復……いや、増幅してるのか? 俺達、全員の!?」


 異空間全体にまで行き渡った魔力は、ある冒険者の"適能"による物である。

 その魔力の範囲内においては、一切の隙間なく"適能"の効果範囲内であり、また"適能"とは、その対象となる冒険者全てに、その効果内容が伝わる物である。


「魔力だけじゃねぇ! 全能力値が……上昇してるんだ!」


 超広領域の全能力値の上昇(バフ)

 それが、今異空間に発動した"適能"の効果だった。


「あり得ねぇ……こんな"適能"を持ってる冒険者って」


 尚も異空間主との戦闘は続いているが、負った傷は癒え、体力は快復し、失った魔力すらも快復し増幅する。さらに上昇する能力値により、全冒険者は異空間主に勝てないまでも、殺される可能性は大幅に減少した。


「ロワ……クローネ」


 ある人物に思い至った冒険者が呟いた。


「"王者"の適性を持つロワ・クローネの有名な"適能"『王国』も、全能力値の上昇だった筈……だが……これは」


 話している最中、この冒険者は自身の体に起こっている現象に身を震わせ、思わず口角を吊り上げた。


 そして他の冒険者達も、似たような反応を見せている。


 その理由は――


「すげぇ! まだ上昇してるぞ! な、なんだよコレ!」


 終わらない上昇。

 皆が、実力の限界を容易く超えても尚、上昇を続ける能力値に興奮した。


 そしてようやく、その"適能"の発動は完了したのだった。


 ロワの発動させた適能、『冥界』の及ぼす効果は、使用者を除く、範囲内(超広域)の冒険者の体力を一時的に全快させ、魔力の快復と増幅、全能力値の上昇効果(超)である。そして――


「ははっ! こりゃすげぇ! これなら、俺だって異空間主を倒せる! これなら!」


「――っ! おい! 後ろっ!」


「ッ!? ぐうぁああぁあああ」


「くそっ! おい! 大丈夫か!? 傷は浅いぞ!? おい! どうした!?」


「痛ぇ! 痛ええぇ!!」


 後ろから天使の斬撃を受けた冒険者を、なんとかその場から退避させつつ、傷の深さを注意深く観察する。


「おい! しっかりしろ! 大した負傷じゃねーぞ!」


 しかし冒険者は、受けた傷以上に苦しみ、苦悶の表情を見せている。


「……これは」


 傷付いた冒険者を見て、もう一度自分達に発動している"適能"に意識を集中させて、気付く。


「……負傷値(ダメージ)上昇」


『冥界』の効果は、能力値の上昇だけではなく、冒険者の受ける負傷値までも、大きく上昇させていた。更に――


「待ってろよ、回復薬を……」


 回復薬を取り出し、その冒険者に飲ませようとした所で、『冥界』の効果について、更に気付く。


「馬鹿な……馬鹿な……。『回復不可』なんて」






 "冥王"の適性を得たロワ・クローネ。


 そのロワの持つ適能『冥界』。

 効果は、使用者を除く、範囲内の全冒険者の全能力値の上昇(超)、負傷値(ダメージ)の上昇(超)、そして……能力異常『回復不可』であった。







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