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少女に明日はない⑥


私は、彼ら2人との接触により新しい時間を歩み出したことで己の立ち位置や所業から目を背けていた。



気づきを与えられ、来た道を振り返る頃には

私のこれまでのアイデンティティは崩れ去っていた。




いつしか私は、全てを失っていた。

かつての私にはこれが普通だった。

誰からも相手をされない

空気のような存在



ただ人間とは恐ろしいもので、今の自分に慣れてしまい、当たり前として認識していた。



結果、私は「失ってしまった」と感じている



元々生きてきたレールは見えているのに

直近歩んだレールがなくなったことで、狼狽しもがき苦しんでいるのだった。



それはプライドか羞恥か



ただ、擦り切れたプライドの中に一欠片残ったその見栄を奮って、彼ら2人の前では気丈に振る舞って見せた。






「大丈夫ですか?」


1人泣きそうになっていた帰り道の公園のベンチで

日向先輩は現れた。




「私、ですか?」


当然周りに話しかけ得る対象はいない。

ただ私は「大丈夫じゃない」と思われたくなかったのだろう。

戯けてみせた



「はい。あなたです」


先輩は真っ直ぐな目で私を見てそう言った。



「郡山さんですよね?」


先輩は私のことを知っていた。

自慢ではないが、私はそこそこクラスでも有名だったからそれが巡り巡って先輩の耳に届いたのだろうか。

そんなことは正直どうでも良かった

先輩は私のことを知っていた。

そのことが私の口を動かした


「はい。ごめんなさいあなたのこと知らなくて…」




「日向です。日向涼って言います」


涼…呼びやすくてかっこいい名前だな。

先輩は先輩であることは特に言わずただ自己紹介をして、

同じベンチの少し離れた位置に腰掛けた。




「大丈夫ですか?」

また、その言葉を発した。



もしかすると私が返事をしなかった時間は思ったより長かったのかもしれない

それとも矢継ぎ早に言うくらい私は大丈夫じゃなく見えるのかもしれない。



「…いいえ」


初対面のよく知らない先輩を相手に、本音が溢れた。

小島くんやユウキにすら出なかった本音が

何故かこの人の前では自然と口をついた。





「そっか。」




それだけ言うと先輩は何も言わなくなった


鞄から本を取り出し黙々と読み始めた



「…帰らないんですか?」


ついこの状況に一石を投じてしまった

先程まで打ちひしがれていたはずの私は

今はこの異様な状況に疑問を感じていたのだ。



「え?郡山さんは帰らないんですか?」



逆に質問をされてしまった


「…」

帰りたくない。とは言う気分ではなかった

帰っても1人、外にいれば最悪ナンパでも何でも誰かと接する可能性がある


そんな承認欲求でここから動かないことを白状は出来なかった。


「私は…もう少しここにいます。日向さんは?…」




先輩は目線を本から離さずに答えた


「この後、友人と待ち合わせをしてるんです。だからそれまでの暇つぶしで本を読んでます」



気のせいか先程までより落ち着いた

もっと言えば冷淡な返事をされた。



今思うと、不思議だが

この時の私は、先輩が帰るとまた孤独に

また心が蝕まれるようなそんな気がした。




「も、もしかしてデートですか?」



少し意地悪に

少し気丈に

これまでの郡山葵の仮面を被って

恐る恐る先輩に話しかけた





本を捲る先輩の手が止まった。

勢い良くこちらを見ている

少し顔が赤いように感じた


「ち、ちち違いますよ!」




動揺していた。

さっきまであんなに優しい雰囲気を纏っていた先輩は、急に思春期の男の子の雰囲気になり、大きく動揺していた。




可愛いな。

なんか、可愛い人だな。




「ふふふ。本当かなぁ?」

自然と笑みが溢れた





これだけだった。

多分、私が先輩に恋をした理由なんてのは

これだけだったんだと思う




それからしばらく私と先輩は談笑した。

私は、心のモヤモヤが晴れたわけでは無かったが楽しい時間を10分と少々過ごした





「あ、ごめん。そろそろ行くね」


先輩は途中から読まなくなった本を鞄にしまい立ち上がった。




あ、行ってしまう

何故だか当たり前のことを頭で反芻させた



「あ、あの。」



次の言葉の用意はなかった

ただ見切り発車で出た言葉は私の心そのものだったのかもしれない





「またね。郡山さん」


先輩はそういうと、優しく微笑み手を振った






また会えるといいな。







私は軽くなった足で家に帰った。




私は、その他大勢の普通の女子高生だった。



ボーイミーツガールの恋愛をしたことがないし

昨今の漫画等でもそんなストレートな出会いを描くものが少ないので、分からないことだらけですが


少女漫画はよく読むのでそれを基に考えたのですが

改めて、なんかこう卓越しているというか

全部を包み込んでくれそうというか

そういう男性ってめちゃめちゃかっこいいですよね


かと思えば、可愛い系男子もそれはそれで良いっていう




ただ可愛い系男子は、最近ちょっと雑にカテゴライズされてる気がして

『顔が可愛い』『キャラクターが可愛い』この辺全般で可愛い系になっている気がします


まぁ、何が言いたいかというと

可愛いは作れる状態になっているな。と


若手俳優の男性で「おはよう〜!」と自撮りを投稿して自分のベイビーフェイスを全面に出して黄色い声援を取る手法だったり


当然自分の武器を振り回すのは大変結構なことですが

なんだろう。こういうことじゃなくね?感が強いです


多分この人達は売れたらその手法をやめて

「あ、自分演技で頑張ってるんで」みたいな3流な顔になっていくと思うのですが

可愛いの多様化によって、可愛いの演出が増えて

いつしかスタートの可愛いが迷子になっている気がします。


結局は受け手が可愛いと思えば良いのでこんなのただの偏見ですが


可愛いが安売りされる世の中は

ちょっと寂しいですね。



ではまた。

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