少女に明日はない④
そんな私にも、思うように動かせない男がいた。
小島春樹くん
一部ではハルキストなんて呼ばれている彼は
まるで私と対象的な人間であった。
彼は容姿こそ良いものの、全く女子に媚びず
男女の垣根を感じさせないどっしりとした佇まいは、ファンがつくほどであった。
ただ、女の子ウケがいいというよりも男子からの支持が厚くほとんど男子とばかり連むタイプの男の子で
私が近づくことはほとんど叶わなかった。
そんな彼は、はたまた対象的な薄暗い男子ととても仲が良かった。
彼は…なんて名前だったかも覚えていない。
彼と私の接点はほとんどない。
やり直しの際に告白されたりされなかったりするくらいの存在だ。
正直春樹くんがいなければ見向きもしなかっただろう。
そんな彼と私は、19回目に接点が出来た。
やり直し予定の日の昼間
またいつものように校舎裏で呼び出され、告白される様を彼に見られていたのだ。
なんとも皮肉ったらしい言葉をおどおどしながら話す彼には魅力のかけらも感じなかった。
ただ
彼がこれだけ私と関わりを持つことそのものが今までのやり直しにおいて無かった出来事で
新鮮な情報が私の脳を興奮させた。
まだこんな人間が私の周りにいたのか
私のここ最近向けられることのなかった探究心は彼、相トに向けられることになった。
そしてその夜、
やり直しが起こることはなかった。




