少女に明日はない③
2ヶ月も経つ頃には、私はクラスの中心にいた
これは後から気づいたがどうやら私の容姿は平均より高いようだった。
容姿が合わさっていたのならまさに鬼に金棒である。
冬を迎える頃にはカースト上位の女子は私に媚を売るようになっていた。
根本として、敵を作るより味方に丸め込むことが恋愛において揉めない道だということを彼女達は既に知っていたのだ。
そして私は特定の彼氏を作らないことで完璧な存在として君臨することができた。
そんな日々を楽しいと思えた私はいわば勝ち組なのだろう。
そんな私の幻想を打ち砕いたのは
皮肉にも利用していたこのやり直しそのものであった。
4回目の高校生活には、皆の意中の異性を成就させるように導くこともしており
キューピッドとしてのポジションも確立して、いよいよクラスの掌握は完遂したと実感したその瞬間だった。
……
突然の虚無に私は襲われた。
私は何をしていたのだろうか
私がしていることは何になるのだろうか
薄々気づいていたが、このやり直しのサイクルは終わる気配を見せなかった。
私のこの努力は、いわば井の中の蛙そのものであった。
社会に出てこの能力が評価されるのであればまだしも
この高校生活一つ抜け出せない今
ただの自己満足に他ならない。
5回目を迎える頃には、反射的に的確な解を導き出し行動することが出来ていた。
同じゲームをやっていたらストーリーを見ずともゴールに辿り着けるそれに近い感覚だ。
8回目には飽きからギャル路線に走ることもあった。
真面目に生きることに嫌気がさして男漁りをするようになった。
何度男に抱かれようとも自身の心が満たされることはなかった
それでも誰かに救いを求めずにはいられない
そんな気持ちで一杯だった。
14回目にはまた地味な見た目にしてみたりもした。
やはり、見た目が持つ要素は絶大で、同じことをするにしても見た目が伴わない状態では相手にすらされなかった。
18回目
心身ともに摩耗していた私は、悪い遊びを覚えた。
操りやすい男子を使って行く末を弄くり回してそれを側から見て楽しんでいた。
もう、人生が何だったのか分からなくなっていた。
その日もまた校舎の裏に呼び出された私は
『郡山 葵』という仮面を被り、颯爽と男を振りにいくのだった。




