向日葵の咲き乱れる夏に⑤
「おーいユウキくーん」
「ねぇユウキくんはどう思う?」
「ちゃんとしなよーユウキー」
「ユウキも小島くんも私達の班にしなよー」
なんなんだこの女は…
事あるたびに私に絡んでくるこの女は誰だ。
私の知っている郡山葵は、
ある時はクラスの片隅に咲く花の如く
ある時はクラスのマドンナとして愚民どもにお情けを与えるマリーアントワネットの如く
ある時はとびきりのギャルになって男関係が乱れまくっていたビッ◯の如く
おっと、最後のは4周目にチャラ男を目指した私の黒歴史じゃないか…
チャラ男になれば彼女が出来るとそこそこ人生を経験した感覚で目指したものの
【高校デビュー】の失敗作のようなチャラ男の私には、
遊び歩いていた彼女すら相手にしない体たらく
そんな苦々しい思い出が蘇る。
それが今はどうだ?
バタフライ効果とは聞いたことがあるが
これがそうなのだろうか?
私の嫌味たらしい対応やつっけんどんな姿勢が
青春の正解だとでも言うのだろうか。
真偽が定かでない事に戸惑う私を背に
現実は駆け足で過ぎていき
気がつく頃には「くん」付けすら外れていた。
まるで、これが〝友達〟だと言わんばかりに
彼女はその輪に私を巻き込むのだった。
元々ハルキストは私とつるんではいるが
根っこは普通にコミュニケーションを取れる人間なので、自然と馴染んでいた。
今となっては、彼女の友達宣言に
悪意があったとは思えなくなってきた
むしろ、普通に「いい友達」なのではないか
そう思うようになってきた頃には、
周りからの冷ややかな噂話も耳に入らなくなってきた。
気がつくと、彼女は私とハルキストとつるむようになっていた。
これまでの人生において、ここまで異性の友人?と密接に関わったことはあっただろうか。
最も、友人と呼ぶには些か情が入ってしまっていたので、そこにある感情を考えると暗に友人と称すのが憚られる人生ではあったが。
100年を越す人生を歩んで
初めて青春時代の1ページを刻んでいるような
そんな感覚に襲われだした。
そんな私の想いとは裏腹に
彼女を取り巻く環境に変化が出始めていた。