愛と勇気と小匙程度の優しさと①
人間1ヶ月近く同じことをしていると、流石に板につくものがある。
石の上にも3年と言う言葉もあるが、
とてもじゃないがこの繰り返しを3年もやっていたらおかしくなる。
これまでのことを整理しよう。
今回、何がきっかけかは判明していないが
・好意の返事を問われた
・翠があの場に現れた
・付き合うことになった
変化は発生していた。
馬鹿みたいに同じことを繰り返しているとこういった変化に感動すら覚える。
何が違ったのだろうか
……
もー分からん。
外の雨模様を眺めながら頭を掻き毟る
無駄な期待は人の心を疲れさせる
無駄な期待と気づかなければ人は動き続けることができる
つまり
真実とはなんとも罪なものである。
世の中には知らなくていいことだらけだ
政治家のマニュフェストの裏側や
ファストフード店の店員の笑顔の裏側
女性の心の裏側
包み隠されていることが多いから私たちは
平穏な暮らしをすることができている。
その全てを公にしたらどうなるだろうか
考えるだけでゾッとする。
私はこのループに入ってから
電車に揺られている人々の観察にハマった。
これだけ繰り返していると乗る車両やドアを変えるのは勿論のこと
各車両に乗っている特徴的な人のことは大体覚えていた。
あの妊婦さんは私の降りる駅で降りる
あの学生は次の駅で彼女が乗ってくる
あのサラリーマンは常に汗を拭っている
あのカップルは彼氏が常に不機嫌だ
あの女性はたまに目が合う
みんなこの時間軸を理として生きているのに
私はこの時間の檻から出られずにいる。
私は何故この理不尽に生きなければいけないのだろうか
ただ死は許されない。
それだけは体に染み付いている。
だから堪らなく辛いのだ
逃げられないジレンマによって疲弊した心はこの電車に乗るたびに剥き出しにされる
「おそーい!」
もうこの言葉にすら心が揺さぶられる。
今考えると、これまで彼女より早く到着することを試していなかったな。
次は、気をつけよう。




