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翠晃冠は向日葵になれない①



さて皆様。


改めて原点に立ち返ってみましょうか



『ヒロイン』とは何か。


かつての私は

羨望の対象であること

才色兼備でクラスの人気者、器量の良さ


これらを王道ヒロインの例として挙げていた。




だが、果たして本当にそうなのだろうか。


『ヒロイン』とは、その人その人の心を射止めた女性を指すのでは無いだろうか。



一般的な作品におけるヒロインが先に述べた条件に当てはまり、主人公の心を射止めたことから『ヒロイン』と称されているのであり


先の定義から『ヒロイン』を逆算して見てしまっている人も多いのでは無いだろうか。





条件に当てはまるから『ヒロイン』

なのではなく

『ヒロイン』の多くにこれらの女性がいるということである。



故に私は提唱しよう。


女性は誰もが皆、誰かのヒロインなのである

と。



決まりきったヒロインなど存在しないのだ

と。










…まぁ何故これだけ大それた前置きをしたかと言うと。




「付き合ってください‼︎」


今回もまた、王道ヒロインの共通項を兼ね備えた彼女

郡山葵の告白現場に遭遇していることに他ならなかった。






「ごめんなさい。あなたのことそういう風にみれなくて…」



またしても聞き覚えのあるセリフが吐かれてしばらくした後に彼女が私の方へ歩いてきた



私は隠れることもなく彼女の襲来に備えた。





「あれ、同じクラスの相トくん・・・だよね?」


「そうだよ。」


私は毅然とした態度で接した。

不思議と彼女に物怖じする私の存在は影も形も残っていなかった。




「え、もしかして今の見てたの!?

ちょっとやめてよー!」


彼女は冗談まじりな言い方でこの場をやり過ごそうとしてきた。




「ねぇ…郡山さん。」


私の心はとても穏やかであった。


「な、なに…?」

かえって彼女が物怖じしているようにさえ感じる。



「僕と友達になってくれないかな?」



この日の夏空はまだ汗ばむほどの暑さを擁していなかったが、

私達二人の間を纏う空気は、冬の訪れを匂わせるほどに冷たく乾燥した様相であった。


















「え、やだ」


「え!?」

思わず私は食い気味にリアクションしてしまった。


「え、調子乗ってたかなやっぱ

うわーーーなんかごめんなさい本当に」



私の強気の仮面は一瞬にして剥がれ落ち

情けない私の心が風にさらされていた。





「ふふふ。相トくんって面白いね。」



あ…

気づいた時にはやはり彼女のペースに巻き込まれていた。




「いいよ。」



やはり彼女は、郡山葵という女性は




「友達になろっか。」




私の手に負える人物ではないようだ。




奇しくも先程までとは異なり

彼女の目は、玩具を前にした子供のように

きらきらしたものになっていた。


サブタイトルがなかなか出てこなくなりました。



余談になりますが、

翠晃冠の花言葉は『内気な乙女』だそうです。


当初の翠の像にぴったりでしたが、直近のアグレッシブな翠にはどうなのでしょうか。



この花言葉も、今回のサブタイトル決めで見つけたので偶然ではありますが

なんともすごい偶然でした。



時に女性は愛しい人のために大胆な行動をとることがあるように思います。


それは内気…内に気持ちを秘めたものが表に出てくる

という意味では、あの翠もあながち間違っていないのかもしれませんね。



少し初期と文章のテイストが変わってきておりますが、ご了承くださいませ。



長くなりましたがこれで。

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