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無機質な部屋で少年は何を思う③



「ただいまー…ってなんかすごい違和感なんだけど。」


翠は苦笑いしながら家に帰ってきた。



私は疲弊して彼女に返事を返すこともしなかった。





あれからしばらく何度も何度もこの家から出ようと挑戦をしたのだが、一向にドアは開かず


いや、ドアに触れることが出来なかった。





「さては色々頑張ったのかな?

この部屋の散らかりようを見る限り」



廊下からリビングにかけて私の努力の片鱗がそこら中に散らばっていた。






「一旦お茶でも飲もう。

ちゃんと説明してあげるから」




彼女は至って冷静にこの状況を一瞥して

自室に戻って行った。








数分後、私服に着替えた彼女が出てきた


「ち、ちょっとその格好…」

私は思わず目を背けてしまった。


キャミソールにショートパンツと

童貞を惑わす装備で出てきた彼女を直視するのは容易ではなかった。




「あははは…ごめんごめん。

暑いし許してよ。」




彼女は悪びれた様子もなくソファに腰掛ける





結局居た堪れなくなった私がお茶を用意した。

尤もこれだけ部屋を汚した責任も感じている。






「結論から言うとね。」



彼女はお茶に口をつけることもなく話を始めた。





「ユウキくんはもう死んでるの。」



彼女の口から淡々と告げられたその言葉はひどく残酷な現実であった。




「…え?」


ステレオタイプな反応を見せて台本通りのような声を上げてしまった。






「ユウキくんはこの部屋の中でだけ生きられるの。

これから40歳のあの日までね…」





彼女は何か遠い過去を思い出すように夕焼けの日が差す窓の外を眺めた。



「も、もしかして吉崎さんも…」


「うん。私も自殺しようとしたことあるんだ。

それも結構早いうちにねー。」




明るく話す彼女の表情に明るさは微塵もなかった。

西日のせいか、はたまた。





「ただ死を選んだことを後悔するよ。

これからのここでの人生に比べたらね」



「あ、でも。」



「ユウキくんは私と生活するから孤独じゃないんだね。」



「……ずるいな」






彼女が吐く言葉の一つ一つに私は恐怖を感じた。



彼女は恐らくこれだけ長い時間を過ごすことよりも、この部屋で一人で10何年過ごした日々が過酷だったのであろう。



理解することが私には出来なかった。

まだ未経験の私には到底分かりえないのだろう。




分かったフリは彼女の気に触れてしまうと思い、私は黙って俯いた。





「ま、なっちゃったものは仕方ないよね。


何にせよ今回は春樹くんも死んじゃって、ユウキくんまでここにいるし

後の人生は40歳までのんびり過ごすことにするね。


よろしくね。相トさん。」





彼女はぬるくなり出したお茶に初めて口をつけた。

つられて私も茶を口にしたが、いよいよ喉の渇きが落ち着くことは最後までなかったのだった。



4連休と、そこから数日ほど空きましたが

ありがたいことに更新ない中でも見ていただけたら方がいるようで



はたしてどこから飛んできたのでしょうか。


ありがとうございます。



正直内容がとんでも展開ばりに変わってしまって

着地点が見えづらくなっておりますが、


トータルで見たらまだ半分の折り返しにもついてないので、もうしばらく方向性が見えにくいと思いますが


気が向いたら今後ともよろしくお願いします。




長くなりましたがここらへんで。

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