表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/103

少女はただ青い青い空を仰いだ⑤


何故だか分からないが



相ト悟を取り巻く人間が次々にこの時代に飛ばされているのである。




そして私も…






「先に伝えておくね。残りの時間は君と最後まで一緒に過ごしたいから。」




コーヒーをかき混ぜる優しい手が少し震えているように感じた。






「明日からは君はこの部屋の住人になるんだ。これまでの僕のようにね。」




「そして、ある時まで君は16歳と40歳を繰り返す人生が始まるんだ。


途方もない人生が始まる。」




彼の目はとても冷たく寂しいものだった





「ここからは僕の経験の話になるんだけれど…」


そう前置きして彼は仮説を話した。



・次の転生者が来るまで24年間を何度も繰り返すということ

・40歳の明日になると、周りの人間の記憶はリセットされるが自身はその記憶を持っているということ

・自殺を図ろうとしても必ず40歳の明日までは生が繋がっていること





彼の言葉に彼の背負ってきたものの重たさを感じた。




一体彼は何年間『彼』の人生をやってきたのだろう。




私はこれから何年間それを繰り返すのだろう





「そして一つ、大きな気づきがあったんだ。

それがさっき見せた男なんだ。」



再度相トの写真を引っ張り出してきた。




「前の24年間で私は彼と友人になった。

そしたらどうだい。


今回の24年間では始まりから彼と友人だったんだ。」




興奮気味に彼は話していた。




「翠。この男は、これからの君の人生の何か変革になると思うんだ。


よく覚えておいてくれるかい。」





彼は私に写真を手渡した。



受け取るその時に私の腕は強く引き寄せられ

彼の胸の中に身体が収まった。



あまりの勢いにコーヒーは盛大に溢れてしまった。





「ねぇ…ひとつ聞いてもいい?」


私は恐る恐る疑問を彼にぶつけた。



「さっき言ってた『これからはこの世界の住人になる』っていうのはどういうことなの?



もしかしてあなたも私のことを忘れ…」



彼が私を抱きしめる力が強くなった。






もうこれ以上は何も聞けなかった。







私はまた声を上げて泣いた。


泣いて泣いて泣いて

大声を上げて泣いた。







その後私たちは日の高いうちから愛し合った

結婚してからというもの夫婦の営みは少なくなっていた方であったのだが



今生の別れともいえるこの現実に、私達の生存本能が働いたのであろうか。




すっかり部屋が暗くなってもなお私達は愛し続けていた。





部屋の電気時計が23時59分を示しているのに気づき、彼は天井を眺めた。




「翠。」



「なに?あなた」




彼の顔からは涙が溢れていた。






「これからの人生、もし良かったら」





彼はぐしゃぐしゃの顔でこちらを向いた。







「僕を忘れないでい」













ピピピピピピピピッ




朝日が私の顔を突き刺した。


目覚ましの音と共に目を覚ました私は


自分の置かれている全てを察した。









「おはよう…あなた。」



誰もいないセミダブルのベッドの隣を見つめ

吐き出された弱々しい独り言は

けたたましいアラームの音に打ち消された。



全然関係ない話ですが、


先日近所のコンビニで元奥さんと思しき

よく似た女性と遭遇しました。



このご時世でマスクをしているので本人か否かを判断するのは難しく

またじろじろと見て他人だった場合嫌な思いをさせるのは憚られました。




背丈と目元がそっくりで思わず動揺しました。



エナジードリンクを買ってすぐにコンビニを出ました。




彼女は私の家からは3.40分ほど離れたところに住んでおり

偶然には会い様のない距離だったのですが




もしかしたら私の幻覚だったのかもしれません。





離婚から一年

かなり病んでるのかもしれませんね。




戯言にお付き合いいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ