螺旋の運命を辿るあなたは④
吉崎翠
身長は平均的
顔は綺麗な方であるが、きっと街中で見たら埋もれるクラスなのかもしれない
そんな彼女は、ハルキストが居なければきっと互いに違うテリトリーで生活してたであろう
そんな関係だった。
恐らく彼女が郡山葵と関わるようにならなければ、私は名前すら覚えていなかっただろう
尤も彼女から見た私も同じに違いない。
「だいぶびっくりしてるみたいだね」
病室に入ってきた彼女は、吉崎翠に違いないのだろうが雰囲気はとても私の知るそれではなかった。
髪は明るく脱色し
派手なメイク、着崩した制服
郡山葵と同じ高校の制服をこれでもかと崩し
これでもかと言わんばかりの尻軽さを出していた。
「な、なんでここに…」
突然のギャルの襲来と、飲み込めない現実に
私は目を合わせることができなかった。
「なんでって。そりゃあ…」
そういうと彼女は私の隣に腰掛けた
「なんとかしにきたんだよ。」
郡山葵といい吉崎翠といい
何故こうも時間軸が変わると女性は変わるのだろうか
いや、時間軸など関係なくとも女性は環境によって姿形を変えるのだろうか。
彼女は私の肩に太ももに手を添えた。
「え…ちょ、ちょっと」
思春期真っ盛りのウブな男の子のような反応をしてしまった。
いや、見た目上間違ってはいないのだが
「いつの時代もさ。人の心を誤魔化すのは性欲なんだと思うんだよね。私は」
この子はなにを言っているのだろうか
妙に達観した発言で私の脚をなぞる手に意識がいってしまいそれ以降なにも考えられなかった。
「ねぇユウキくん」
私は本能と格闘する理性をひとつまみ程度会話に向けた
「な、なんだよ…」
彼女は少し微笑んでは私を揶揄うように体を寄せてきた
「なんで小島くんは死んじゃったんだろうね」
一気に私の理性は現実に戻された
先程までの絶望は、まさに性欲によって誤魔化されていた。
人間とは実に複雑で単純な生き物だと痛感した。
そして彼女は、
この時間軸の彼女は何故ハルキストのことを知っているのだろうか。
葵から聞いたのだろうか。
いや、こんな見た目の彼女と地味な葵に接点があるとは思えない。
ましてや、軽々しく人の死を言うこともないだろう。
いや、それ以前に
「なんで吉崎さんは俺のこと知ってるの?」
この時間軸では私と葵でさえ初対面だと言うのに
何故今会ったばかりの彼女は私のことを知っているのだろうか。
謎が謎を紡ぎ頭の中でひしめき合っていた。
彼女は私を揶揄う手を止めた。
少し黙った後に、人一人分の距離を開けて私の方に居直った。
「ユウキくん」
様相に似合わない真剣な眼差しが向けられ
流石の私も彼女に向き合った。
この緊張感はなんと言えば良いのだろうか
ラブレターとも果たし状とも取れるような文章を受け取り校舎裏に呼ばれるようなそんな
変な緊張感が私を纏っていた。
「私、全部知ってるんだよ。全部」
全部?
一体彼女はなにを知っているのだろう
ハルキストが死んだ理由?
私が入院している理由?
それとも…
「全部は全部だよ。」
彼女は私の心を見透かすように続けた
「もっとも君は、私のことを覚えてないみたいだけどね。
ね。相トさん」
そういうと彼女は髪を耳にかけた。
その顔に見覚えはあった。
なんなら初めて彼女を見た時から
どことなく面影を感じていたのかもしれない
いや、そもそも彼女の名前を覚えられたのは潜在的に刷り込まれていたからなのかもしれない。
その顔は女子高生が同級生に向ける笑顔ではなく
患者に向ける慈愛の微笑みに感じた。
「え?あ、嘘だろ。あんたもしかして…」
彼女はまた微笑む
「お久しぶりです。相トさん。
多分180年ぶり…ですかね?」
彼女は私を最後に看取った優しい看護師その人だった。
女性は本当に環境によって姿を変えますよね。
私の友人の女の子は、かつてすごく大人しい子で
高校で仲良かった頃もまだ大人しくもしっかりした子でした。
ただ大学に入ってから彼女は
酷く言えば男にだらしなくなり
浮気を屁とも思わない
ただし自分がされると「もう信じれない」と言う
常識では測れない存在になってしまいました。
いや、これが今の世の常識なのかもしれない
私の認識が変なのだ
そう思って生きてきましたが、
まぁこういう場なので自分の意見を全として言わせてもらうと
本当に世の中の女の子の大半は都合良すぎますよね。究極のご都合主義とでもいいましょうか
それに散々振り回された挙句用が無くなったら捨てる
あくまで自分はお姫様のような気持ちでいて
年を重ねるごとにそれへの執着が高まり自己肯定感をさらに強くする。
私は女性のそういうところが本当に苦手です。
もしこの文章を読んで気分を害した方がいたら申し訳ないですが
だいたい気分を害する方は、無意識にこれをやっていると思います。
ま、何が言いたいかというと
私は結婚に向いてない気がしますね笑




