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止まらない止まらない止まらない②


これまで気づかなかったのが不思議であった

ハルキストの病室は私の隣であった。

あの騒がしい声の持ち主は、仮に記憶に無くても気には止まるだろうし、それがきっかけで記憶が戻ることもあったかもしれない。


現に私はあの声が聞こえたことで完全に思い出せた。

なのに何故今まで気づかなかったのか。




頭に宿る疑問の芽を育てたまま私は恐る恐る彼の病室に足を運んだ。





痛々しく痩せ細った彼を見るのはひどく心が痛んだ。

私の知っているハルキストの面影はあれど、

その姿はとても「元気印」の印象とは程遠いものであった。




彼は俯いたまま呼吸だけを繰り返していた。


「小島さーん採決の時間ですよー。」


私の横を看護師さんが抜けて入っていく。


「あ、南ちゃん待ってましたー!」


「もーー。同じ苗字だからって馴れ馴れしく呼ばないでよねー。」




さっきまでと打って変わって元気を装っているのが分かり見ていられなかった。


こけた頬に更にエクボを作って笑う彼の姿は、それまで知っていたハルキストそのものであった。

もしかすると、私は知らず知らずのうちに彼のことを『根からの元気印』と決め付けていたのではないだろうか。



もしかしたら昔から彼は…



笑顔の画面を貼り付けていたのではないだろうか…


そう考えると合点の行くこともある

妙に空気を読むところもあったり

私と葵との間に何かあるとバツが悪そうにしてた。



いや、元気だからと言って空気をよまないのは等しく考えてはいけないな。




というか、ハルキスト相手に私は何をもじもじしているんだ。



震えが隠せない足に鞭を打ち、病室に足を踏み入れた。




「嫌だなぁー彼女に見えましたー??俺は南ちゃん一筋なのにー。」


ハルキストの声で動き出した足がまた鉛のように重くなった。



「えー?でもあんな可愛い子がお見舞いに来てくれるだなんて。向こうは小島さんに気があるんじゃない??」



……


私は固唾を飲むことしかできなかった



「あー。あの子はね」






その先が中々語られず恐る恐る顔をあげると

真っ直ぐな目でこちらを見るハルキストの顔があった。



「ごめん。南ちゃん。

この続きはまた今度話すね。」


別人のように真面目な声で看護師さんを払うハルキスト




そして遂に病室は私とハルキストだけの空間となった。

先程までの喧騒から打って変わった病室は、静寂さから耳鳴りが聞こえるのではないかと思うほどであった。




「よ、よぉ」


先に沈黙を破ったのは私だった。




「久しぶりだな。ハルキス…」

「なぁ」



再会の挨拶叶わず遮って彼は口火を切った。




「何の用だ?相ト」


そう冷たく言い放つ彼の言葉は真剣さの奥に沸沸と怒りの感情が見え隠れしているようだった。

こう一年ぶりに作品の続きを書き出すと

当時どういう流れにする予定だったか全く思い出せないものですね。



ただ、一年前のメモを見る感じだと今回の展開は考えていなかったようでした。


自分ことなのに他人事のように言っておりますが

その時の考えで物語が変化するのもまた一興なように感じます。



次いつ更新が止まるかわからないので、思いつく時に思いつくだけ更新していこうと思います。



長くなりましたが読んでいただきありがとうございます。

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