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錯綜する世界と進み続ける時間⑨


肌を焼く日差しと滴る汗に不快感を感じつつ、私は車椅子を押されながら外に出た。


ジメジメした陽気と強い日差しを肌に感じて、今が夏であることを改めて思い出した

病室は冷房が効いており移動する範囲も涼しい環境だった為にすっかり忘れていた。


最も暑さ以外に私の手に汗を握らせるのはこの状況である。



「今日はよく晴れてるねー。」

「う、うん」


庭には他の散歩客もいたが私の心はそれらを視界に入れることはなかった



「あんたってさーああいう顔がタイプなんだねー」

「い、いやそういう訳じゃ…」


「へぇーじゃあ可愛ければ誰でもいいんだぁーふーーーん。」

「あ、いやそういう訳でも…」



「…」

「…」



「ねぇ」

「は、はい!」


「夏って…好き?」

「え?」


「夏だよ夏。このジメジメして暑い季節のこと!」

「あ、あぁ特に思い出もないしそんなにかなぁ…」


「ふーん」

「…」


「…」

「そういう茜は…」


「私は嫌い」

「ぇ…あぁそう…」



「みんな夏だからって浮かれてさ」

「…」


「軽い言葉で人を惑わしたりさ」

「…」


「軽い気持ちでバカなことしたりさ」

「ごめん…」



「なんで謝るのよ笑」

「いや…だって…」



「嫌いだったんだけどさ!」

「…」





「あんたに会えたから今はそんなに嫌いでもないかな…なんつって。」

「…」



「…」

「…」



「…照れた?」

「て、てて、照れてねぇよ!!」



「あははは!顔赤い!」

「…ったくなんだよ…」



「あーおっかしい!」

「…」



「…」

「…」



「…」

「…」





ものの数分のデートがとても長い時間に感じた。




「あのさ…」

ついに私は本題に切り込んだ


「今日は…なんか話があったの??」



突然車椅子が止まった



というよりは車椅子を押す茜の動きが止まった。



今まで進行方向しか向けておらず茜の顔を確認することは出来なかったのだが

突然私を追い抜かし、振り返った。


「ん?」

私の言葉は喉元で止まった


あの日、あの夕暮れ時に見た彼女を彷彿とさせる笑顔でこちらを見る茜はとても綺麗で

その笑顔が私の言葉を喉元で締め上げる


「え…あ、あの…」


もう頭が真っ白になって言葉が出なかった





「今日はさ…」

ふと彼女を見上げた




「ただ…悟と一緒にいたかっただけだよ。」





顔が熱いのは夏のせいだけではない

向けられた視線をかわせなかったのは

きっと一時の感情ではないだろう












今回は少しだけ新しい試みを試してみました


会話文だけで情景を表現するのやってみたかったのですが中々難しいですね。


今回茜の最後のフレーズを言わせたくてここまで書いてきたと言っても過言じゃないです。



このフレーズはとある漫画のワンシーンにインスパイアされて書きました。

その漫画では男の子がこれに近い発言をするのですが

まぁ女の子に言われた方がときめきますよね。


そんな欲望全開の回になってます。



今回茜の回は尺が長くなりそうですが、

果たしてどういう風にまとめようか…



次のサブタイトルから少し展開が変わります。

よろしければご覧頂けると幸いです。





最後まで読んでいただきありがとうございます!

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