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錯綜する世界と進み続ける時間⑥



郡山 葵


有馬 茜



私のこの人生に大きく関わった二人。

私はこの二人に何を感じたのだろう…


私はきっとあの夕焼けの日に

光さす茜を前に恋に落ちたのだと思う


これが恋でないのであればなんだと言うのだろうか



では、葵は?

蘇った記憶の最後に私達は何かを確かめ合っていた…

それは今の茜に抱いている感情と何が違うのだろうか?



私は記憶の復元による脳への負荷から飛んでしまったに違いない。

ただ、脳がクリアになってからいくつかのが浮かんできた。


幸いにも茜が訪ねてこない環境で考える時間は十分にあった。



『郡山 葵がこの時間軸に存在しない』ということだ。


私の知っている葵はクラスのマドンナで

近所にまでその名が轟いている人気者だった。

仮に葵が人気だった時間軸をAと仮定する。


定かではないがAの時間軸では、有馬茜という名前は聞いたことがない。

…最もそこまで意識してなかったといえばそれまでだが


そして私と葵がお互いの思いを伝えた所を最後に、突然葵の存在を誰も知らない時間軸に来ていた。


『有馬茜だけが葵を知っている』という疑問。

今際の際にあった有馬茜だけは葵の存在を知っており私が知っていることに驚嘆していた。

これを仮にA'とする。


そして、この時間軸。

私と有馬茜が出会い、今日の関係に至る時間軸をBとする。



AとBにはやや時間の連続性を感じる。

私の記憶に大きな齟齬が無いのがその証拠であろうか…

ではAとBは何なのだろうか。


そしてA'で葵の存在を知っていた茜は何だったのだろうか?



「…ふぅ…」

駄目だ。考えて分かることなのだろうか

そもそも私の時間逆行すら非科学的現象なのに、その時間内に起こった非科学的現象を証明しようとするのが間違いである。



問題は…

二人への感情をどう整理つけるか。ということだ。



私が二人にぶつけた『好き』という感情は、恐らく1青年が抱く恋心と相違はないことだろう。


他の人に言わせてしまえば、

中学校の頃に好きだった女の子に告白したのと、高校生で好きな子に告白をするそれと同意であろう。


その都度都度の感情がその言葉を呼び起こしているに過ぎない。



ただ。


私のそれはどうだろうか?

確かに都度の好意の表れには違いないが

今の私にはどちらへの好意も新鮮でどちらもクリアである。


これをどう処理すればいいのだろう…




「『なーにブツブツ言ってんだよ』」

突然頭を叩かれた。

どうやら私は小言で呟いていたようだ


「痛えなー。もっと病人を労われよハルキス……ト…?」



「ん?あたしは別に村上春樹好きってわけじゃないわよ?読んだことないし」

看護師のおばさんが豪快に笑い飛ばしてきた。





ハルキスト……


私は血の気が引いていくのを感じた。

「あ、あはは…」

もう一つ引っかかっていた違和感が正体を現した。




消えていたのは郡山葵だけではなかった。

「おい嘘だろハルキ…」



私は記憶を戻したことで、親友の喪失感を味わうことになった。



10代の恋愛は幻想である。

20代の恋愛は背伸びである。

30代の恋愛は時間との戦いである。



世の哲学者が恋愛とは〇〇である。みたいなのを語ってるのを見ては、こんなん俺でも思いつくやろ!

って思ってましたけど

いざ考えてみると恐ろしく陳腐なものになってしまいました。


今回の恋愛の見方については、種々様々の考え方があると思います。

よく男性は別フォルダ、女性は上書きフォルダというように恋愛の考え方を見ると言いますが


僕は女性の上書きする考えが『大人』とされる風潮が嫌いです。


そもそも、世の中の恋愛は相手に見切りをつけるのが早いというべきか

付き合うのも早ければ別れるのも早い


忙しない世の中だと思います。

付き合ってから相手を好きになるとか、聞いてびっくりです。


人の恋愛感に茶々入れることが出来るほど大した人間でもないのでこれ以上は言えませんが



人を好きになる感情と付き合う決断とは隔絶されたものであると思います。

色んな人を好きになることは人間なら仕方ないと。

そこから交際という覚悟を決める所を分岐点に考えるべきではないか。


と、独り身のアホがほざいてみます。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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