あぁ無情
それから
私は一体どれだけの時間を費やしたのだろう。
私は17歳に戻っては40歳に病床に伏す。
そんな科学で説明のつかない時間の行き来をただただ繰り返していた。
そんな繰り返しも5回を過ぎた。
一言で5回と言うと簡単そうだが
気持ちの上では私は132歳の感覚だ。
ただ勿論老いは無く、脳もクリアだ。
見た目も17歳に戻っている
これだけ経験したらそろそろ攻略の糸口が見つかってもおかしくない。
…のだが、そうもいかない。
私が過去にない行動を取ると、世界も過去にない展開を私に披露してくる。
柄にも無くチャラチャラした軽い男を演じると
私の好意を寄せる女性は更に軽い女になっている
またある時はスペイン人の如く
情熱的な一面で挑むのだが、
「ガツガツくるの怖い」と拒まれる。
そう。私がやり直している世界は
『私に優しくない世界』であった。
あぁ神よ。
あなたが私に与えたのは
ボーナスゲームなどでは無かったのか。
なんと厳しい現実を私に叩きつけてくるのだろうか。
これが人間の死なのだろうか。
極楽浄土など存在しないのだろうか。
100年を過ぎた頃、初めて出来た恋人とは
大人の階段に足をかける前に嫌われてしまっていた。
もう17歳に戻っても、その顔に若さは残っていなかった
185年が経過した頃
私は
世の中を穿った目で見るようになっていた。
そしてまた
“あの夏”が訪れた。