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プロローグ②



心臓が激しく脈を打つ

視界も揺れてきた



あ、あり得ない…

その席は君じゃない。

君の事は覚えていないが、少なくとも

その席ではない事は知っている。


「え、あ、あの!」


震える身体を誤魔化しながら声をかけた。


「何?」

何度見ても彼女と重なる点は見つからない。

ただ、ここを自分の席と言う彼女は

とても嘘をついているようには見えない。


「…何なの?呼んだなら要件は?」

つくづく私は彼女を怒らせる才能に長けているようだ。


「な、名前はなんて言うの?」

緊張と興奮からだろうか。身体がフラついてきた。先程落ちた時に頭を打ったのも原因かもしれない。



「何?口説いてんの?」

「いや、ち、違くて!」


つくづく彼女のペースに呑まれてしまう。



「茜。有馬ありま あかね


やはり聞いたことがない…

この教室という事は同じクラスだよな?

それにこれまでの人生でも覚えのない名前だ



「有馬さん…僕は相トって言うんだけど…」

「知ってるよ。」


え?

頭の整理がつかない。

相変わらず揺れる脳みそが働かない。


「出席番号、あんたの後ろだから。私」


…この子はいよいよ何を言ってるんだ。

だとしたら知らないはずがないだろう。

私の存在を向こうが知ってるくらいだ



「そっかそっか…ははは。」

適当に流すことしかできなかった。


「てかあんたさっきから汗凄いけど、大丈夫なの?」


気がつくと、私は全身が汗だくだった。

全速力で走って教室で暴れて、それを直したらそりゃ汗もかくさ…


「大丈夫大丈夫。それより有馬さん!」

現実を確かにするかもしれない一言をぶつけた。




「郡山葵のこと、知ってる?」



結果を聞くのが怖い…

脚がガクガクしてきた。



「ん?」

訝しげな顔を浮かべる彼女の顔に、思わず顔を伏した。


やっぱりそうなのか…

「なんであんたが葵のこと知ってんの?」



思わず目を見開き、彼女に視線を合わせた。




バタッ



「ちょちょちょっと!あんた大丈夫じゃなかったのかよ!」


あれ?

視界にはまたしても黒い穴が見える

身体に力が入らない…


この感覚に身に覚えがある。

病室で味わった感覚のそれである。



死ぬのか?私は。


一筋の光が、希望が見えたというのに

こんな所で私は死ぬのか。



嫌だ。まだ死にたくない。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


必死の思いで神に祈った

だが、祈り叶わず意識は遠のいていく


「おい!ちょっとしっかりしろってば……」



私の意識は闇に落ちた。

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