いつだって向日葵は太陽に向く⑥
風邪がすっかり治るのに
2日かかってしまった。
流石に翌日は2人に連絡を入れておいた。
特に彼女には昨日の謝罪の意も込めて懇切丁寧な文面を送った。
『お大事にね。』
なんとも淡白な、それでいて見えない優しさを感じるような。
たった5文字にここまでプラスな裏を勘ぐるようになった自分に違和感を隠せなかった。
正直、風邪で倒れずとも月曜日は休みたい気持ちはあった。
土曜の別れ際には雲を掴むような形で解散してしまった為、次からどういう面持ちで接して良いか分からなかった。
幸か不幸か、その夕暮れに尋ねてきたことで少しハードルは下がったものの
依然として2人の距離について言及は出来ていない。
あの日のハルキストの固い対応は
そこら辺何かを知ってのものだったのだろうか…
考えてもキリがない。
「行ってきます」
五里霧中の思考を放置したまま家を飛び出した。
学校に着いたらなんと声をかけるか…
というか、私自身から声をかけたことがあったか?
なんか急に話しかけてきて「彼氏面」とか思われないか??
「うーっす!何辛気臭い顔してんだよ。治ったんだろ?」
病み上がりの身体に打撃を与えてくる男は、私の知る範囲ではハルキストしかいないだろう。
「おかげさまでな。」
今日ほどこの一撃に感謝した日もないだろう
今思うと、彼女と何かあると決まってこいつはこうして接してくれる。
「…ありがとな。」
思わず出た感謝の言葉に私もハルキストも呆気にとられた。
何故だか2人して笑いが止まらなくなった。
私は多分
『考えすぎ』なのかもしれない。
仮に彼女と変な感じになっても、きっとこいつだけは側で笑い飛ばしてくれることだろう
とは言え流石に教室のドアを潜るのには躊躇した。
彼女は……いない。
こういう時までも人を惑わす才能を披露してくる奴だ。
1限開始ギリギリに戻ってきた彼女に、声をかけることはしなかった。
結局、放課後になるまで一度も会話を交わすことはなかった。
ようやく佳境まで辿り着けた。
このサブタイトルが⑩行くまでには1章を完結出来ると信じたい。
満員電車でメモにストーリー書くことにも段々慣れてきた自分が不思議です。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
引き続き見て頂けると幸いです。




