いつだって向日葵は太陽を向く④
「ちょっとしっかりしてよ!全然使えないじゃん」
郡山葵のアシストがメインでどうにか2ショットプリクラまで達成した私達だが、
彼女の言うように私は何もすることが出来なかった
彼女のお陰で、2人を横並びに座らせることが出来た。
彼女の采配でボディタッチをさせることも出来た。
「あたし1枚ゆーきと2ショットやるねー!」
確かにこれは、戦略的に相手を2ショットに持ち込めるが私は恥ずかしい…
そんなこんなで私の入る余地もなく、郡山葵の手柄で当初の目的を果たしていった。
「ご、ごめん…」
というか顔近い近い。
こんな感じだったかな今までも。
「最後くらいはそれっぽく振舞ってよ?」
最後…
あぁ、2人きりで帰らせるところか。
「善処します…」
確かに2人は良い雰囲気と言える感じだが
どうやって2人で帰らせるんだ??
落書きを終えると、何やら郡山葵は2人を連れて機械裏に消えた。
ものの数分もせずに出てきたが、
ハルキストはわざとらしく目を逸らし
翠さんはキラキラした目でこちらを見てくる
なーんか嫌な予感がする…
「じゃ、じゃーさー」
カタコトでハルキストが口を開いた。
「オレたち寄るとこあるから先に行くなー」
「うん。また学校でねー!」
平然と郡山葵が見送る
翠さんは私にガッツポーズを見せてきたが
気にせず手を振った。
「…あー。雨強くなってきたね。酷くなる前にあたしたちも帰ろっか。」
折り畳み傘を出しながら彼女は言った。
「そ、そうだね。」
……
なんだこの妙な沈黙は
アウトレットから駅まで10分とない道だったが、沈黙の息苦しさは体感時間を長引かせる
「あ、あのさ。」
重い口を開いて聞いてみた
「どうやって2人きりで帰らせたの?」
問いかけたものの彼女はこっちを見なかった
返事もない。
「あのー…郡山さん?」
「………ったの。」
雨足が早いこともあって聞き取れなかった
「え?」
「………いって言ったの!」
「ごめんなんて??」
彼女は赤い顔をこちらに向けて叫んだ
「だから!ゆーきと2人で帰りたいって言ったの!!」
思わず足を止めてしまった。
なんか返さねば
このままだとまずい。
頭では理解しているが、声帯が動くことは無かった
「もー恥ずかしいから言わせないでよ…」
再びを視線を前に逸らしツカツカと歩いていく。
つまり…
そういうことなのだろうか…
頭の中で猜疑心と興奮がせめぎ合っていた
どう答えるのが正解なのだろうか
どう丸く収めるべきなのだろうか
「え、あ、あぁー!なるほどね!
そうすれば向こうは自然に2人で帰らざるを得ないし、雰囲気に触発されて翠さんも勇気出すかもしれないってことね!
流石は郡山さんだ。考えが僕の想像の上を行くなぁ!
でも、身体張りすぎじゃない?w」
口からは自分の保身の言葉が溢れ出てくる。
よくもまぁここまでペラペラ薄い言葉を話せているもんだ。
自分で自分に関心してしまうほどだ
「翠ちゃんは、下の名前なんだねー…」
あれ?郡山さん
今そこを気にしちゃうの?
「え、あぁ本当だ。気づかなかったなぁ!
ははは…」
限界まで空笑いをしてみたものの場が盛り上がる訳もなく
いつものように小粋に茶化してくる彼女の姿もそこには無かった
「私は苗字なのにねー。そっかそっか。」
分かりやすく拗ねている
私の葛藤は、目の前の彼女の愛らしい顔を前に一つの答えを選ばざるを得なかった。
「あ、葵さん?」
返事がない。
やってしまったか?調子に乗ったか?
「…ん?」
「葵さん…で、良いかな?…」
「…呼び捨てにしないの?」
急にハードルごっつい上げてくるな!
陸上競技なら下を潜れるくらいの高さよ。
「あ、葵……」
顔から火を吹きそうなくらいに真っ赤になっているのを、悪戯な笑顔で覗き込んで
「なーに?」
出会った頃のように笑いかけてきた
今思うと、
いやもう思うまでもなく
この時、既に
私は彼女に恋をしていたのだ。
結局、何回人生を繰り返そうとも
どんな道筋を歩んでこようとも
最終的に、この結果だけは避けられないのだろうな。
「帰ろっか。」
私は己の気持ちへの覚悟を決めた。
そして運命に抗う決心をつけた。
雨上がりの薄日差す空を見上げて
強がって笑ってみせた。
どうにかこうにか1章の折り返しまで書けた…
こんばんは。
物語は起承転結って言いますが
言わんとすると、ようやく起に当たるのかな。
承の概念が分からないけど
なんか書いてて、こんな女の子いたら良いなぁって凡庸な感想しか出てこない…
夕方、仕事帰りに電車に乗っていると
青春している高校生カップルを見ては
羨ましさのあまり直視できない年になってしまいました。
Twitterとかを見てるとやはり学生が多いのか、
学生らしい悩みを抱えていますね。
是非、今という時間を楽しんで欲しいものですね
大人になってこういう羨望を抱かない為にも。
最後まで読んで頂きありがとうございました。