いつだって向日葵は太陽に向く②
「吉崎さん…」
翠さんから声を掛けられたのは初めてだった
いや、掛けられた可能性はあり得るが記憶にないから多分無いのだろう。
「えっとね…その…」
分かりやすくモジモジとする翠さん
何々。
バックグラウンド知らなかったら告白だと思っちゃうよ。おじさんは
あれ?自分でおじさんって言うのなんか切ないな…
「ユウキくんはさ。葵ちゃんのことが好きなの?」
「……」
なるほど。
事態を把握した
つまりあれだ
この子は私達の関係性について
私→郡山葵
吉崎→ハルキスト
こういう解釈でいるのだろう。
そして、私を『共に恋する戦友』みたいな括りで見ているのだろう。
全くこれだから女という生き物は…
すぐに恋愛の括りで物事を考えたがる
男女2:2のグループがあったらそこに色恋があるのが当たり前だと信じて疑わない
少女漫画の見過ぎなタイプだな…
実際問題として学生のうちはそういうケースが多いのだろう。だが、しかしその実態は残酷なもので1人の男を好きな女2人で、抱き合わせで用意された男1人というパターンが主である。ソースは私だ
ハルキストとの仲を除けば、体の良い引き立て役として重宝されたっけなぁ…
「あのー…ユウキくん?」
我に返った。
いかんいかん目の前の翠さんを放ったらかしにしていた。
「えっとー…そう、見えるかな?」
内心の苛立ちを限界まで隠しながら苦笑いで答える
「え、違ったの?…だとしたらごめんね…」
なんで謝られてんの!?
なんでやらかしたみたいな感じになってるの?!
というか君もなんのごめんなの!?
「あはは…普通に仲の良い友達だと思ってるよ。」
笑顔を忘れないように全力で顔を作って答えた。
「仲良くなかった2人があんなに仲良くなったから、てっきりそうなのかと…」
というか何この子
なんで一会話ごとに…(間)を持たすの?
何なの。そういう文化なの?
「僕もまさか郡山さんと仲良くなるとは思ってなかったから正直びっくりしてるよー。」
よし、模範解答。
なんかこの子と話してると調子狂うなぁ…
私はヘラヘラと誤魔化しながらその場を立ち去ろうとした
「体育館裏で話してたときは、そんなじゃなかったよね?なんかユウキくん怒ってたし」
……
見られてたのか…
だとすると翠さんも私達の間柄に疑問を抱くのも無理はないだろう。
にしても、結論を私の好意でまとめるのは安直すぎやしないだろうか…
「あ、あぁーあれね。ちょっと郡山さんの事を誤解してたみたいでね。あれに関してはもう解決したよ。」
なんか嫌な汗が出てきた…
「そ、そうなんだね!ごめんね!変なこと言っちゃって…
なんかユウキくんがあの辺りから雰囲気が変わったような気がしてたの…だから…」
驚いた。
翠さんは私の変化に気づいていたのか…
何周も何周も人生を送ってきた私の精神のすり減りによって生じた変化を。
さては翠さん…私のことが好きなのか?
「小島くんもなんか心配してる風だったし。と、思ったら葵ちゃんと仲良くなってるし…その、意外だなぁ…って」
そうですよね。
ハルキストを見てた端に映る私を、認識したとかその程度ですよね。
図に乗ってごめんなさい…
あ、なんか移ってるな…癖…
「特に変わったこととかはないよ。ただ、郡山さんと仲良くなって少し明るくなれたかなって思ってるよ。」
これは嘘ではない。
今回のスタート時の絶望感は今や影も形もなく、ただ郡山葵という人物への猜疑心だけは唯一残っているのである。
「そっか…でも!私はユウキくんと葵ちゃんお似合いだと思うよ!うん!」
あちゃぁ…
この子はあれだ。
とにかく人を焚きつけて、自分と共同戦線張れる仲間を作ることに躍起になって、いざ失敗した時に
「え、どうしてどうして!ごめんわかんない!」とか言って梯子外して自分だけ上手くいくタイプのあれだ。
そしてそれを無自覚でやってしまうタイプのあれだ。
正直私はこの手の女の子は苦手だ
「え、えぇー…そんなことないと思うけどなぁ…」
と言うかもう解放してくれないかなぁ…
「そんなことあるよ!葵ちゃんがこんなに仲良いのユウキくんくらいしか知らないもん!私が保証する!」
たった数日の付き合いで何を保証するんだこの子は…
盲目な女の子はこれだから怖い。
「私達2人で頑張ろうね!」
いつしか彼女はハキハキと喋るようになり
対象的に私は歯切れが悪くなった
結局、協力を取り付けられたのか否かも分からない形で翠は去って行った…
「…なんだかなぁ……」
恥ずかしげもなく独り言を呟きながら頭を掻いた。
そして問題のWデートの日がやってきた。
あとがきって何か己の意見言える場って感じがして便利ですね。
こんにちは。
この度もここまで読んで頂きありがとうございます。
一応、注意書きさせていただくと
この女性に対する偏見は、あくまで僕個人の感性から出てくるものであって、
決してこういった女性を批判しているつもりはありません!
正直苦手ではありますが…
でも居ますよねぇこういう子。
こういう子はだいたい、『相談』と称してマシンガントークするタイプで、きまって撃たれる子が意見すると変な空気になるんですよね…
(身に覚えしかない)
ただこういう子の方が、すごく人生を楽しんでいるというか満喫しているような気がしてくるのが不思議ですよね。
僕みたいな蚊帳の外の奴には理解できないような青春が…
あれ…汗が止まんない…
最後に、今回の主人公の感情がこれまでとぶれてきてる気がしますが、これも素人特有のコンセプトが固まってない弊害ですので、是非暖かい目で見ていただけたらと幸いです。
長くなりましたがここで。