擁立?
逃亡の為の買い物が終わったと言うのに、情報省の動きは止まりそうな気配。
また戻っても良いのかねぇ、日常に……
「起きてるか」
「また戻って来たのね」
「手放さないと言ったはずだ」
「はいはい、それで? 」
「寝るぞ」
「はいはい」
どうにも意欲が消えちまったみたいだな。
それでもちゃんと供給してやるから心配するな。
「くっ……なんで……なに……よ」
「クククッ、旨いか」
「どうして……こんな」
「そちらに必要な物をこちらが出す、その代わり」
「はいはい」
「どうにも意欲が無いな」
「出る訳無いでしょ。もうアタシは終わりよ」
「どうしてだ」
「そんなの当たり前じゃない。それで、いつ引き渡すのよ」
「誰に何をだ」
「とぼけないでよ、国に引き渡すんでしょ」
「手放さないと言った意味が分かってないな」
「そんな訳無いじゃない。魔族とか人類の敵とか言われて……」
「ふむ、そう言う事なら連れて行くか。よし、来い」
「はいはい」
どうにもここは目があるからな、店に連れて行くか。
引き払ったつもりの店だが、情報省が止まるなら戻ってもいい。
中々相性の良さそうな奥さんも出来たし、クククッ……
もう手放すかよ、諦めろってんだ。
☆
「ここで待ち合わせるのかしら」
「ほれ、中に入れ」
「早くしてよね、もう諦めているんだから」
「悪いが、立会人は無しだ。オレに従うか」
「従うと言ってるでしょ」
「ええと……病める時も、健やかなる時も、ええと、何だっけ、ええと……」
「何のつもりよ……そんな結婚式みたいな」
「まあいいや、さて、初夜といくか。こっちだ」
「は? ……え……どういう……事よ」
「これからもよろしくな、奥さん」
「え……えええええっ」
「くっくっくっ、嫁さん確保、もう手放さないぜ」
「なに……よ……それ」
(どうなっているのよ……アタシ、殺されると……なのに……奥さん? ……何の冗談よ……キルちゃん、アンタ、まさか、最初から、そのつもりで……ねぇ、そうなの? ……そうだったら……ねぇ……期待……しても良いのかな)
翌朝、心地良い隣を感じながら目覚める。
「奥さん……奥さん、起きて」
「うーん……あれ……えっ……ここは」
「起きたか、奥さん。旅行に行くぞ」
「昨日の、あれ、本気、なのね」
「改めて聞くぞ、オレの嫁さんになってくれ」
「こんな……アタシで良いのね」
「姐さんじゃないとダメなんだ」
「ううっ……うううううっ」
「さあ、旅行に行くぞ」
「何処に行くの? 」
「サンドロスだ」
「えっ、でもそれは」
「里帰りだよ。もしかしたらオレもな」
「え、でも……」
「オレは外で生まれた魔族かも知れないんだ」
「えええ、そんな、じゃあ」
「確かめに行く。両親の故郷かも知れない場所へな」
「そうだったのね」
「オレの母親の名前は、クリス」
「え、それって」
「父親は、マグラス=カーティス」
「キール=マグラス=サンドロス……」
「こんな人目から隠れるような場所に店を構え、ひっそりと生きる理由が他にあるとしたら」
「そう言う事なのね」
「母親は精神系と無属性が得意だった」
「ああ……クリス様……こんなところに……」
「知り合いか」
「幼馴染ね、それで、クリス様は」
「6年前に盗賊に」
「だから人間は嫌いなのよ」
「全員殺してやったさ」
「え、当時……」
「10才で盗賊8人、おかしいか」
「凄い……キルちゃん、アンタやっぱり」
「それを調べに行くのさ」
「残党も良いかしら」
「うえっ」
「あれ、どうしたのよ」
「忠告、聞いたんだけどさ、信じない人も多くてさ」
「どれだけ残った」
「58人ね、半分以下よ」
「今頃は粛清の嵐か」
「みんな喜んで船に乗って行ったわ。あたし達を裏切り者と言って」
「世界が平等ならあれで良いが、周囲が怪物だと言うのに、自分だけ聖人になって存続出来るなどあり得ん」
「うん、あたしもそれで目が覚めたのよね。確かにあり得ないわ、あんな夢」
「それで、夫婦の会話に混ざったのは? 」
「あら、そうなっちゃったのね」
「ううう……」
「なんだ、愛人になりたいのか」
「王子様なら愛人の1人ぐらい、居ても良いわよね」
「良くて庶子、悪くて無関係だ」
「それでも良いわ、多いみたいだし」
「ああもう今日は寝るから好きに吸ってくれ」
「頼もしいわね。じゃあ、みんなも良いのよね」
「ああ、50でも100でも好きに吸え」
「凄いわね」
ああ、この気だるさが堪らん……身体からマナが抜ける感覚……何人と……言ったっけ……これは……良いな……気持ちが……
(はああ、もう良いわ、当分……あらしももうひぃ……もうろめらい……もういひ……あらあら、みんなダウンなの? ……ちょっと、マリーナ、あんたよく平気ね、この子の魔力、凄く濃密なのに……もうかれこれ6年の付き合いだしね。とっくに慣れたわよ……羨ましい話だわ。けど、これからは共有で良いわよね……嫌と言っても無理でしょ、くすくす……うん、無理ね。もう手離せないわ、こんな良質な魔力持ちとか。しかも、これだけに吸われて平気とか、確かに王族だわ……キルちゃんなら間違いないわ。擁立するならこっちよ……そうみたいね、だからこそあたしも留まったんだし)
仕方が無いよな。みすみす殺されに帰るような旅路、止めるしかないじゃないか。
世界の情勢と自国の理想、その未来の予想を語って止まってくれたが、無理だったら今頃は……
両親の故郷かも知れない国なら……仮初でも親子だったんだし、ここはひとつ、やってみるのも良いか。
どのみち目標とかも無かったんだし、そういう方向性でも良いか。
しかし、弱ったな。クマネコバスに60人は乗れないぞ。
椅子で30人なのに、60人とかすし詰めになっちまう。
寝る場所も無い乗り物とか、どうしようも無い気が……
家具を除けるのは嫌だけど、除けないとどうしようもないか。
翌日、裏庭の一角にクマネコバスを出し、中の家具を収納する。
確かに広くはなりはしたけど、これでも60人はきついような……
「へぇ、面白い乗り物じゃない」
「これに全員はきついだろ、さすがに」
「そうでもないわよ。確かにこのままじゃきついけど、上のほう空いているし」
「2段にすると言うのか」
「ハンモックなら寝られそうだし」
「全員で乱交になりそうだな」
「あはは、面白そうね」
「となると、操縦席に仕切りが要るな」
「ここで動かすのね」
「お前らは後ろで好きにしろ。この席はオレとあいつだ」
「マリーナも幸せ者ね。だけど、分かってるのかしら」
「姉さん女房の何が悪い」
「あはは、それなら良いのよ」
とりあえず仕切りは出来たが、後ろがどうにも……
網を中央に張り巡らせ、2段にはしたが……
「うわ、ここが新しいアジトなの? 」
「寝れたら何でも良いわ」
「そうね、屋根もあるし」
「こんなところに花壇があるわよ」
「何を植えるのかしら」
「こっちは大きな桶があるし」
「洗濯じゃない? 」
「お前ら服着ろ」
「良いじゃない、そんなの邪魔よ」
「恥じらいは無いのか」
「そんなものじゃご飯にならないわ」
「そうそう、だからアンタもそれ脱いで」
「こら、オレに触るな。服を引っ張るな、こら」
昨日、あれだけ吸ってまだ欲しいのかよ。
やれやれ、貪欲な事だよ。
よくそれで人の中で隠れて生きられたな。
とっくに発覚して騒ぎになってもおかしくないぞ。
「昨日の今日だけど、これは良いわね」
「もう冒険者の真似しなくて良いのね」
「全員で冒険者、モンスターは全員で吸って……そんな事、もうしなくて良いのね」
「そのモンスターはどうなったんだ」
「どうって魔鉱石になったわよ」
あれ、じゃあ倒立討伐以外なのか。
どういう理屈になっているのか分からんな。
「それで、メシはどうなんだ」
「食べられれば食べたいけど、無かったら別に良いわ」
「うん、マナさえあれば1週間ぐらいは耐えられるし」
「水とパンがあれば欲しいけど、無かったら良いわ」
「どんな食生活してんだよ」
「人間の国で満足に食べられるとか、夢物語よ」
美女に囲まれてその美女達の食生活を聞かされて、それで平気な男が居るのかよ。少なくともオレには無理だ。
ボックスから串肉を取り出す……舌が驕ると拙いから市販の串肉な。
口をあけると周囲からゴクリゴクリと……ふん、やっぱりやせ我慢か。
周囲の奴らに配ってやれば、夢中で食い始める始末。
木のカップをつらつらと出し、エールの樽を出して開ける。
そうなるともう、串肉食ってはエールを飲む集団が出来上がると。
しかし凄い食欲だな。あの50センチ串に肉の塊が5個もある……
1本で満腹になりそうなアレを、さっきから出して出して出して……
ひたすら持って行くんだけど、どんな腹してんだよ……ポンポン……
良い音がするな……ポンポン……ポンポン……
「止めて……お腹……はちきれ……そう」
「もう……食べられ……ああ、刺激が……辛い……叩かないで」
タヌキが大量に出現したな。
握りこぶしが5つの串肉を何本食ったと思ってる。
そうなるのは当たり前だ、全くもう……
エール樽も5つも空いてるし、串も238本もあったぞ。
1人平均4本かよ。あの肉の塊5つの串4本かよ。
1本が500グラムもありそうな串を4本かよ。
500本も買っておいた肉が一気に半分かよ。
家畜混成肉2キロとエールか、そりゃ動けんな。
「うわ、酷い事になってるわね」
「どうしたサンドラ」
「ちょっと来てくれるかしら」
「ああいいぞ」
死屍累々からの撤退……好きに寝ていろ……
「何の用だ」
「ちょっと、服ぐらい着なさいよ」
「あいつらに脱がされてそれっきりだ。服はあいつらが敷物にしている」
「はぁぁ……困った子達ね」
「何であんなに飢えている。あの広場のでかい串肉を、1人4本も食ってたぞ」
「それがね、あたし達はマナと密接な関係があってね、体内マナの回復が無いのよ」
「そりゃ年中吸ってるから回復しなくて良いと、身体が覚えちまったんだろ」
「うん、恐らくそうじゃないかと言われているわ。だからね、体内マナが枯渇寸前だと、食欲もあんまりなくてね、冬眠のような感じになるの」
「ああ、低い身体能力と低い思考能力、生きていけたら何でも良いと、羞恥も何も無い」
「うん、そんな感じ。だからさ、起きたらあいつら、多分暴れると思うわよ」
「乗り物を壊さないでくれよな」
「でもあれでどうするの? サンドロスは島なのよ」
「あれで行くぞ。全員であれを担いで飛んで行こう」
「そのつもりで食べさせて吸わせたのね」
飛べるのは後で教えてやるとするか……
「それで、そろそろ本題といこうか」
「そうそう、あのね、君の理念を知りたいの」
「そんなものは無い」
「えっ……でも、それじゃ」
「君臨すれども統治せず。統治はお前らが好きにしろ。オレはただ国を守る為の道具に過ぎない」
「凄いわ……よくそこまで……」
「いや、面倒だろ、統治とか。オレはもっと単純に生きたいんだ。敵が来れば倒す、来ないならのんびり過ごす。ほら、単純だ」
「じゃあ、政治には関わらないと言うのね」
「自殺願望はさすがに止めるぞ。オレも楽園が消えるのは好まん」
「ますます理想だわ。お願いします、あたし達の旗頭になってください」
「いいよ」
「あっさりね」
旗頭と言っても単なる神輿の上の飾りだろ。
そんなので良いならいくらでもなってやるさ。
だからやりたいようにすればいい。
オレはそういうのは苦手だし、金だけ出して放置で良いよな。
「じゃあまずは軍資金の提供といくか。こちらの手持ちは白金貨400枚あるが」
「うえっ……ど、どうしてそんなに」
「稼いだ」
「そんな、あっさりと」
「これで欲ボケの支援者は要らんだろ。やりたいようにやってみろ」
「本当に理想だわ……ありがとう、これで心置きなく戦えるわ」
「商業ギルドの総長と副総長には伝手かある。買物は本部で直接購入も可能だぞ」
「とんでもないわね」
「副総長とはオレお前の仲だ」
「あわわ、そんなに」
「さあ、方針が決まれば傭兵を雇うなり何なりしろ」
「傭兵……そんな事も出来るのね」
「確か、商業ギルドの再生課の課長の故郷はアークスネルだったはずだ。伝手が欲しいなら聞いといてやるぞ」
「お願いします」
「どんだけ居ればいい? 5千か1万か」
「そ、そんなに」
「さて、稼ぎに行くか」
「あたしも行くわ」
「稼ぎ方は秘密なんだ、悪いな、クククッ」
「じゃあ、計画を詰めておくわ」
「お互い、がんばろうな」
「は、はい」
(凄いわ、計画がトントン拍子に……あの子達もこっちに来れば良かったのに……哀れだけど……もう、今頃は……さて、報告しないと)
(どれだけ取れた……85匹だね、くすくす……100は越えていたはずだ、半分逃したか……大丈夫だよ、貧乏人には何も出来ないさ……もうすぐだ、もうすぐ親父は死ぬ……長かったね……ああ、長かったさ。あいつを追い出してもう……21年目になるね……今頃はとっくに……うん、殺したと報告受けてるし……盗賊崩れか……バカだよね、隠れ切れると思うところが特に……ああ、甘いな、くっくっくっ)
(入れ替わり作戦、巧くいきましたな、陛下……あのバカ共は今頃、ワシの人形を暗殺する気でいるのだろうの……哀れなものですな。既に計画は破れ、すっかりバレているとも知らず……じゃが、惜しい事をしたな……いえいえ、あのような甘い夢を信じるような、頭の弱い者達は要りませぬ……半数か……忘れ形見の説得で残ったようですな……ふふふ、離れても見抜くか……かなりの逸材と……それ程か……資金を出し、口は出さず、ただ忠告するのみ……理想だな。なれば余計な支援者は付かずに済むか……はい、擁立せし後は単独派閥になろうかと……割れぬならば理想よ……して、作戦なのですが……うむ、こちらもそれに呼応せよ……ははっ、畏まりましてござりまする)
さすがにクマネコの数はまだまだ減ったままなので、他のモンスター狩りをする。
と、その前にサンドロスの様子を上空から調べようと、遥か上空からマナサーチ。
あれ……やけに少なくないか? たったそんだけ? あれ? ……じゃあサンドロスってのは、グライエスから分かたれた一派か何かなのか。
そうだよな、こんな小さな島に何万とかあり得ないと思ったけど、これじゃ村じゃないか。
やれやれ、傭兵は数百あれば余裕だぞ。
嘘……探知? ……冗談だろ、ここは上空2000だぞ。ヤバ……どうすっかな。今更逃げるってのも……
「これは実に大胆、そして豪胆、ますます相応しき」
「王の手の者か、単なる視察だ、他意は無い」
「刺青無しでとは、いかなる秘術かお教え願いたく」
「飛翔魔法だよ」
「それを成すと言われるか。何人にもなし得なかったものを」
「そりゃやり方を知らないからね」
「お教え願えるか」
「もう刺青は止めたのかな」
「古きしきたりに馴染まぬ者も多くなりましてな」
「グライエスとは違うと」
「分かたれたのです。彼らは未だに追及の日々」
「殺した盗賊は8人、消した仇も8人」
「お見事です。しかし」
「罠に嵌めて全員の心臓を突いた。なんせ当時は10才、レベル1だったからな」
「途轍もなき、感服仕りました」
「良いだろう。事が終わりし後にでも、飛翔の秘術を伝授しよう」
「ありがたき、ではこれにて」
「サンドラか、良い娘だな」
「お召しになりますか」
「それは本人の気持ち次第だろう。それに妻ならもう娶った」
「なんと、して」
「母親の幼馴染だ。年は離れているが、オレには必要だ」
「なれば、アリーナ」
「馴染みか」
「姪にて」
「返さんぞ」
「光栄に存じます」
やれやれ、すっかり絡め取られたか。
そんな事じゃないかと思っていたが、案の定、サンドラは国王派かよ。
国の人口ではっきりしたな。
恐らくあの100人余りの集団が偏ればそれで決まる程度の規模の国。
いや、島だから助かっているだけで、アラネイ守備隊でも勝てそうな国だ。
それが魔族のみで構成されているなら別として、刺青無しが多いとか。
国として弱体化しているって事じゃないか。
魔導兵器が人間に戻ろうとする時、人間は果たして受け入れ……ないよな。
となると、国防の問題が一番大事になるな。
内乱とかやってる場合じゃないから、国王も表立っては動けんのか。
下手に2王子粛清とかやっちまったら、これを機にライデル辺りが……
そうなれば恐らく引き分けか負けるか、どちらにしても国は終わりだ。
引き分けても次は確実に負けるだろう。だからこそ今外に弱みを見せる訳にはいかないってのに、バカ王子達はそれを起こそうとしているか。
国王暗殺なんてゴタゴタ、外に見せたら一発だぞ。
そんな自殺願望は外でやってくれ。
両親の国を消したいならオレがお前らを消してやろう……なんてな。
さて、何を狩ろうかねぇ。
クマネコはまだ少ないし……
意外や意外。ドラゴンとかさ、トカゲの親戚かと思えば、何とも味わいの深い肉じゃないか。
クマネコも旨かったが、更に上の旨さがあるとは思わなかったよ。
いやはや、貧しい食生活だった弊害が出ているな。
どんな味とか表現が出来ないんだからさ。
しいて言うなら口中の快感とでも言うべきか……
口の中でサラリと溶ける癖に、舌触りも滑らかで、満足感のある後口。
そうだなぁ……極上のチョコレートの食感(推定)と、国産和牛の最高の味(推定)って感じかな。
両方とも食った事無いから、ネットでの表現から推測するしかないって悲しいね。
どうせオレは10円チョコと輸入半額バーゲン肉にしか縁が無いさ、はふうっ……
いかんいかん、そんな暗い想い出はスッパリ忘れよう。
あれは前世、前世、終わった事、過去の話……今は違う、今はもう違うんだ。
はぁはぁはぁ……
いかんな、思い出すとヤバい記憶がドンドン沸いてくるぞ。
悲惨な食生活はもう忘れて、もっとこれを食おう……うまうまうま……
はぁぁ、久しぶりに満腹だな。
クマネコも食ってたけど、あれは商品って気持ちが強くて……でもこれは我慢が効かなかったな。
さて、次はどれを狩るか……迷うな、くっくっくっ……