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第6話:受けて立つ鉄研

「ありゃ、こんな時間に電鉄さん、プレスリリース発表だって」

 部室でノートパソコンを使っているツバメが、ホームページの巡回をしていて、北急電鉄のそれに気づいた。

「はい、『6』!」

 他のみんなはトランプでゲーム『大富豪』をしている。

「なぜトランプってこんなに時間いっぱいかかって、それでいて楽しいのでしょうねえ。はい『7』!」

 詩音が口にする。

「そりゃ、うちの高校、お家芸は野球でもなくサッカーでもなく、トランプだもん。でも、クラスの男子じゃ、マージャンパイ作ってやってるのもいるけど。はい『8』!」

 華子がそう言いながらカードを出す。

「刻むねー。でもマージャンパイ自作とか、不正ありまくりだと思うけど。ほい『9』!」

 カオルがカードを出す。

「せっかくのトランプラリーのカード使ってトランプしてる私達もどうかと思うけど。『10』!」

 御波もカードを切る。「はい『J』誰か出して!」「指定しないの!」

「うむ、カードゲームも良いのだが、鉄研のテツならではの楽しい暇つぶしがあるのだな」

 総裁が言い出した。

「お金かかっちゃうんじゃない?」

「最近みんなお金のこと気にし過ぎだよー!」

「正直、遠征のやりすぎで心配ですのよ」

「カネがないのは首がないのと同じっていうじゃない」

「む、その点、この遊びは鉛筆と消しゴムとノートさえあればできるのだな。新入生諸君は見ておくが良い」

「はあい」「なんでしょう」「拝見します」

「まず、ノートのページの真ん中に、四角と、その脇に線を書き、そしてその線の終端を短くT字にする」

「まさか、これって」

「うむ、感のいいマナくんは察しがついたようだな。

 この四角はプラットフォーム、線は単線線路、T字は車止めで、このノートという土地に初めての鉄道が開通したことを示すのだ。

 そして、ここからである。まず客車列車が来ている時代と思いたい。機関車はB型蒸気、客車もマッチ箱のような感じの古典客車だな。こうなると欲しくなるのは?」

「機回し線!」

「そのとおりである。機関車で客車を推進するのは問題が多すぎるので、折り返し運転するに当たり、機関車を付け替えるために機回し線を敷設する。車止めを消しゴムで撤去し、延長して車止めをもう一度つくり、ホームの手前で分岐、側線にして、ホーム終端より遠いところで合流させる」

「おおー!」

「そして、である。どうせであるのだから側線にもホームを作って貨物の扱いをしてもよいな、と」

「では、荷役用に切り欠きホームを!」

「それも良いアイディアと空想力なのだが、戻る方向に機関車の駐泊所も作っても良いのではないか。ここまでのノートにかいておらぬが、この路線がそこそこ距離があれば、水の補給も必要であろう」

「ですねえ!」

「せっかくだから貨物ホームと貨物駅も別につくろう。消しゴムで撤去し、鉛筆で線路と施設敷設」

「なるほど!」

「駐泊所には詰め所も作ってみると良いのだな」

「なにか、鉄道模型レイアウトのプランニングみたいですね!」

「さふである。これはどんどん発展していけるのだな。駅から下まで距離があるので、片側ホームの中間駅もつくろう」

「いいですね!」

「中間駅にはまだ本線が単線なので、列車交換設備をつくろう。事故防止に安全側線も」

 つつっとキラ総裁の走らせるシャーペンの先が線路を描いていく。

「と思わせておいて」

「ええっ!」

「この側線はそのまま延長して、機回し線までつないで、複線区間にしてしまおう。距離も短いし、こうしたほうが、なにかと車両運用に都合が良いはずだ」

「なかなか賑やかになりますね!」

「そこに、こちらから別の鉄道会社が線路を敷設する。この町を起点とした私鉄であるな。ホームははじめの鉄道と90度直交の角度であるが、こうしたほうが用地買収に苦労した私鉄風味で楽しい。おそらく栄え始めたこの駅の町での乗り換え需要を見込んでの開業であろうな。

 その90度ある角度の2社の線路を遠くで連絡するY字連絡線も引いておこう。これで車両を2つの鉄道の間でやりとりできる」

「その線を通る砂利輸送列車なんか似合いそうですね!」

「さふなのだな。非力な電気機関車に2軸の無蓋車を連ね、後尾を凸型の緩急車トフが〆る貨物列車が土手の上の鄙びた連絡線を往くと思えば、その妄想だけでご飯が美味しくなるというものである」

「たしかに食が進みますね!」

「ほんとかな」

「こうして紙の上に妄想鉄道の歴史を広げていけば、時間を湯水、というより、大型ダムの『ただし書き操作』放流のごとくに轟々と浪費できて、暇つぶしとしては大変ぢつに良いのである」

「すごいです! 紙と鉛筆だけでゲーム『A列車で行こう!』ですね!」

「いや、おかしいって」

「うむ、こっちだと緩和曲線とか外方分岐とか、ゲームよりリアルな線路配置ができて奥が深いのである」

 いつの間にか、みんな、キラのノートに見入っていた。

「あれ、そういや、このトランプラリーのトランプのハートのエース、マークが赤じゃなくて金色だよ?」

「まさか、これ、『箔押し』ですの? あの加工は印刷所さんに頼むと高いですわよ」

 それを聞いたツバメが、ノートPCに表示されているpdfファイルを何度も読んでいる。

「どうしたの?」

「……当たってた」

「え、何が?」

「みんな、忘れてたよね……私も忘れてたけど。ヒドイ!」

「ヒドイって」

「トランプラリー、賞品はトランプだけじゃなくて、ラリー完遂者に抽選で1組様に景品があるって話し、あったよね」

「あ!」

「そういえばそんなことがあったような」

「どうせ当たんないと思って見てなかったけど」

「ここにあるわ。『ハートのエースに北急のこのような箔押しマークがある方は特別賞でございます』」

「ええっ、じゃあ、特別賞当選!?」

「む、ふむり。特別賞は『汚職事件』であるのか。ここに地検特捜部と税務署の方々が来るのであるな。まずお迎えにお茶を出さねば」

「ちーがーいーまーす! 『お食事券』!! もう、古典的だし話しててナンデそのネタが分かるか、むしろわかんないですよ!」

「でも、このお食事券、『京丹後鉄道 「くろまつ」ディナー4名様分』ってありますよ」

「京都!!」

「京丹後鉄道! あれって、大赤字で有名だった北近畿タンゴ鉄道が事業者変わったってやつでしょ! たしか高速ツアーバス大手のウィラートラベルに」

「というか、京丹後鉄道ってどこ? えっ、……舞鶴?! 京都の日本海岸じゃない!」

「遠すぎますわねえ」

「うむ、わかったのである。これはこのトランプラリーをした電鉄さん、北急電鉄が、系列の北急トラベルのお仕着せツアーを使わせることで景品のモトを取ろうと考えたのであるな。

 宿泊、新幹線、JR特急券。それぞれにマージンがあるので、トラベルさんは十分利益が出る」

「そういう構造でしたか……。やっぱり、お金ないので、この権利、放流しましょうか」

「うぬ! それはもったいないオバケが出るのだな!」

 キラ総裁が色めく。

「古い! 古すぎる!」

「すなわち、これは我が鉄研への宣戦布告であるのだな!

『どうせ他に安く行く方法など思いつかないだろう』という。

 これは我々鉄研に対する挑戦なのである!

 受けて立とうではないか!

 我々は節約旅行でしっかりディナーを頂きに京丹後に征くのである!」

「ま、まさか、また遠征?!」

「さふである。節約に励みつつ、なおかつワタクシの親戚が大阪岸和田にいるのだな。そこを拠点とすれば、かなり節約できるはず!」

「全員泊まれるんですか?」

「うむ。ワタクシの親戚は建設会社なので、遊休している宿泊設備はどっさりあるのだな。

 そして片道は親戚と我が実家の間で仕事の連絡で高速道をハイエースワゴンが行き来しておるのだ。

 日程によっては利用可能! 片道は実質タダなのだ!」

「ヒドイ! ヒドスギル!」

「いざゆかん! 春の京丹後へ!」

「へ?」

「総裁、今は2015年7月末、ですよ……?」

「うむ。著者がサボっているうちに3ヶ月があっという間に過ぎてしまったのだな。

 ここはワタクシ総裁の権限で3ヶ月ロールバックする。

 すなわち、宣言するのであるが、今は『4月下旬』なのである」

「ヒヒヒヒヒ、ヒ ド ス ギ ル ー!!!」

 ツバメがのけぞって白目になる。

「にもかかわらず、今は『4月下旬』なのだな。

 夏は夏で別のネタがあるので、我々も4月下旬のこととして行動するのである。

 こうでなければ実録ギャグ漫画となった『鉄子の旅』とおなじ、恐ろしいことになるのだな」

「恐ろしいって?」

「漫画で書いている時点ですでに旅のその時と風景も季節も変わってしまっていた。アニメ化はそのさらにあとなので、考証の面でまさに、しぬほど大変だったらしい」

「そりゃそうだ」「しにますよねえ」

「うむ、ということで、突発! 京丹後旅行である。部員諸君は旅の準備を始められたい。

 ちなみに新入生諸君は初めての遠征である。先輩に倣って旅の安全に留意するのであるな」



「こんにちわー」

 集合はキラ総裁の指定した、海老名のコンビニであった。

「このお兄さんがワタクシの実家、長原建設のCOO、副社長のジャガー兄さんなのだな。今日ハイエースを運転してくれる運転士、ウテシなのだ」

「ジャガー!?」

「『砂雅亜』と書いてジャガーなのだな」

「すごいキラキラネーム……総裁の家、やっぱりみんなそうなんだ……」

「まずはともあれ、それぞれに朝ごはんを用意して、ハイエースに乗車なのである」

「『ハイエース』って動詞? ヒドイ!」

「そうともいう」

「いわないいわない」

「では、乗車確認後、出発なのだな」

「このカーステレオの曲は『アイドルマスター』?」

「ジャガー兄上は『ジャガーP』なのである。7月の10周年ライブには絶対行くと休みを今からとっているのだな。サイリウムは予備があるのにアイマス仕様のサイリウムも買って課金しているのである」

「課金は大事だからねえ」


「高速乗るけど、海老名JCTはNEXCOの設計ミスの道路で、万年渋滞するようになってるので、厚木ICから乗るよー」

「この曲いいですね」

「うん。アイマスの『my song』って曲だね。伊織ちゃんと真とあずさが歌った曲だね」

「コーラスがイイですね」

「そう。センスいいねー」


「うむ、新東名は120キロ対応だけあって、道路規格が高そうである」

「なんか、鉄道趣味やってると、高速道路もそういう目で見ちゃうよね」

「おおー、この曲もいいですね!」

「『メッセージ』だね。アイドルマスター・シンデレラガールズの曲。渋谷凛、安部菜々、緒方智絵里、島村卯月、本田未央が歌ってる」

「ジャガーさん、よく覚えてますね」

「うむ、アイマスのアイドルはポケモンより多いのだな。だが、それを覚えてこそのPなのである」

「当然だよー」

「じゃあ、イチオシのアイドルって誰です?」

「ウサミン星人の安部菜々!」

「そういう人がいるんですか」

「コールっていうんだけど、サイリウムの振り方が『太鼓の達人』の出題とそっくりなんだよー」

「ジャガー兄さんはアイマス曲限定で太鼓の達人の超達人なのだ」

「そうなんですかー」

「そりゃ、Pだもん」


「おお! 高速道路を痛車が走ってる!」

「並走するので観察できますわね!」

「しばらく拝見したいのである。む、しっかり作りこんであるなかなかの力作なり」

「いいですね!」

「艦これのキャラを貼ってあるんですね」

「むむむ、私も車を買う年齢になったら、ぜひ挑戦したいですわ!」

「え、詩音ちゃん、痛車自作するの?」

「なければつくればいいじゃん、ですから」


「伊勢湾岸道に出て、名古屋市内を回避するのである」

「そういや、帰りはなんでこれじゃないの?」

「うむ、ジャガー兄上は大阪で会議をせねばならぬので都合がつかないのだな」

「でも、COO自身がハイエース運転してるって」

「まあね。でも、節約は基本だよ。あんまり疲れてると新幹線使うしかないけど、お金のことをしっかりするのは経営の基本だからね」

「うむ、名港中央がもうすぐである。左側、沖側の金城ふ頭にリニア鉄道館があるのだな」

「寄って行きたいですー」

「む、兄上の仕事の都合があるので却下なのである」

「えー」

「残念ながらそこは通過し、湾岸長島パーキングエリアで休憩と昼食なのである」


「すごーい! なんですか、あの見えている遊園地。大きなジェットコースターが見える!」

「ナガシマリゾートというものなり。プールや温泉もあるらしいのだな。

 この湾岸長島は日本最大級のパーキングエリアで、一般道からも利用できるのだな」

「でも、正直、ちょっとがらんとしてますね」

「うむ、だからこそ、ゆっくりご飯が食べられるというものである。本来なら世評も高く人気店の多いエクスパーサ御在所、刈谷ハイウェイオアシスを選ぶのだが」

「なぜ?」

「うむ、兄上がやや、おつかれなのである」

「ごめんね」

 ジャガー兄さんが謝る。

「いえ、お疲れ様です! 何か一緒に食べて休みましょう!」

 みんながそう言うと、彼は笑った。

「はは、皆元気でいいねえ」


「さて、食事も終えて、往路後半戦、東名阪自動車道から名阪国道、そして西名阪自動車道である」

「すごいテクニカルコースですね。カーブがきつい上に2車線で路側帯もない!」

「アベレージ早いし大きなトラック多いから、時々ぞっとするよ」

 そして、ハイエースは大阪に入る。

「しかしなあ。キラがこんなに友達いっぱい連れてくるとはなあ。キラ、小さいころは東京駅とか大阪駅でウロウロするが大好きでね。オレもよく連れて歩いたよ。

 でもね、東京駅であんまり乗りたいって新幹線見て言うから乗せたら、大阪ついたらずっとギャン泣き。アレは参ったなあ。

 キラ、新幹線は、見るのと乗るのが目的で、新幹線でどこかに行くという目的の概念がなかったんだよな」

「うぬ、兄上の言うとおりなのである」

「総裁にそんな幼い時代が」

「そうだよ。今、総裁って呼ばれてるだね。なるほどねえ。

 小さい頃は食も細くて、結構内気で静かに電車の本読んだりしてたから、心配してたけど、本当にトモダチ増えてよかったよ」

「弥栄なのである」


「そして岸和田着なのである」

「着いたー!」

「でも、この岸和田の街、すごい深夜の雰囲気。まだ午後8時なのに人影がない……」

「大阪の南海電車沿線でも、密かに少子高齢化に寄る見えない過疎、空き家問題が進んでいるのだな」

「地方創生の影ですね。経済回すって言っても……」

「うむ、鉄道を語る上で、経済からの視点は大変重要なり。良い観点なり。

 そこで関西私鉄の離合集散の歴史など、大変興味深いのであるな。

 まず、今夜は岸和田のおじさん宅でソフトドリンクによる宴なのである」



「2日目は、兄上が思いの外喜んでくれたので、再び兄上の運転するハイエースで京丹後鉄道の豊岡に向かい、ディナーなのである。お食事券で足りない人数分は前もってジャガー兄上が払ってくれたのだ」

「すまないですー」


「北近畿豊岡自動車道で北上である」

「昨晩は、ほんと、まさか枕投げをみんなでできるなんて思いませんでした」

「そうだね。うちの廃棄予定の古い枕取っておいてよかったよ。やりたいだろうなーとおもってたから。オレも小さいころ、やりたかったからねえ」

「おかげさまで、思う存分、枕投げを堪能いたしましたわ」

「しかし総裁とカオルの枕スパイク、痛かったなー」

「総裁とカオル、運動神経、無駄にいいからなー」

「それも枕投げの楽しみですよ」


「豊岡自動車道、無料区間あるけど、露骨に無料らしく車線細い……」

「うむ、やはりここでも課金は大事なのである」

「なんですか、このアイマス曲。伴奏だけ長く続きますけど」

「ああ、これ、『約束』って曲のTVバージョンだね」

「うむ、ジャガーの兄上はアイマスについて語りだすと止まらないのである。覚悟されたい」

 (十数分後)

「ぐ、ぐすん……!」

「なんで……なんでそんな悲しみを超えて……」

「千早さん……!」

「それにみんなが力添えするみたいに……なんというナムコ演出!」

「うむ、このアイマス『約束』のエピソード1つで我が精鋭の1航艦はみな撃沈なのである」

「みんな、ほんと、純情でいい子たちだねえ……」

 なぜかジャガーももらい泣きしている。

「ライトにも、もっと会わせてやりたいよ」

「ライト兄上は今どこにいるのであるか?」

「例によって艦がいつも出航中みたいで携帯がつながらない。メールはできるけどなあ。海上自衛隊艦艇勤務てのはしんどいよな」

「でも、ライト兄上は幼い頃から艦船大好きであるから仕方ないのだ」

「だよなあ。でもライト、艦船で艦これってできるのかなあ」

「それはわからぬのである。インターネットは出来るらしいのであるが、DMMができてしまうということは、そのままむふふな動画も見られてしまうからの」

「総裁、むふふ言わないの!」


「途中カーナビがわりに使ったケータイ地図のグーグル先生お得意の気まぐれで迷子になりかけたが、豊岡駅に着いたのである」

 キラのケータイが、そこで鳴った。

「この着信メロディは…『パンツァー・フォー』?」

 『パンツ阿呆?』『いや、その定番のボケはいらないから』

「うむ、ワタクシには豊岡にテツでガルパン(アニメ『ガールズ・アンド・パンツァー』)好きの知り合いがいるのである。その彼女に現地ガイドを頼んでおいたのだ。

 しかし、はて、どこにいるのだ? 乗り場もわからぬ。この豊岡駅の橋上駅舎の上なのか?」

「総裁ー!! ちがいますー! 橋上駅舎の上はJRだけでーす!」

 声が聞こえた。

「おお、我が友!」

「京丹後鉄道の乗り場は地平レベルにあるんですよー。ナンデ忘れるんですかー!」

「うむ、KTRの頃から乗ることがかなわなくてのう」

「まず、その前に駅のカフェでご飯しましょうよ!」

「えっ、ディナーの前に腹ごしらえ?!」

「だって、『くろまつ』の出る西舞鶴まで結構時間かかりますよ。ここはぜひ、お食事を」

「汚職……」「いや総裁、そのボケもういらないから」

「行きつけのカフェなんで、ぜひ!」

「では、ここは甘えましょうか」


 カフェの中で。

「はい、皆さん分のKTR最後の日の入場券と、京丹後鉄道最初の日の入場券をお渡ししますわ」

「おおー!」

「素敵ですわ。どちらも硬券ですのね」

「京丹後鉄道のは切符がウィラーカラーのピンクですね! 可愛いです!」

「KTRの切符も渋くていい! おとーさんが喜ぶと思う!」

 華子のお父さんは食堂サハシのマスターで、切符テツである。

「さすが我が友の歓待である」

「そういえば、お名前」

「え、私? 私は田嶋ミエと申します。あ、名刺お渡ししないと!」

「……まさか、鉄道むすめの?」

「偶然そうなんですよ。あっちは但馬、私は田嶋なんです。私のほうがちょっと年上ですけどね。それに由来の但馬三江駅は、コウノトリの郷駅になってしまいましたが。てへ」

「うむ、そしてワタクシと同じ年齢なのである」

「総裁がいつもご迷惑おかけしております」

 ミエがペコリと謝る。

「えええええ! そんなことないです! いつもいろんなところに連れてってくれて、ありがたいです! 鉄研も作ってくれたし!」

「そうですよ!」

「それならいいんですが」

「うむ、我が友、ミエは非常に辛口なのである」

「京都の地酒、ハクレイ酒造の『酒呑童子』と同じならしいんですよー。ついツッコミ厳しくしちゃって。だって、総裁、突っ込みどころ多くて」

「それは言えてると思う」

「うぬ、心外なり」

「それはそうと、このカフェになぜNゲージのレールが? まさか!」

「マスターもテツなのですよー。で、これ」

「まあ! ウィラートラベル仕様のタンゴ・エクスプローラー!」

「架空ですけどね」

「いや、よく出来ていますわ!!」

「ピンクとホワイトのウィラーの高速バスのカラーリングの車体にうっすらとディーゼルの排気スス汚れのウェザリングがしてある!」

「まさに『キレイに汚してますねー!』ですわ! 素敵です!」

「みなさんがいらっしゃるっていうんで、超特急で作ったんですよ」

「すごーい!」

「うぬ、もっと拝見したいのだが、列車の時刻が迫っておるの」

「じゃあ、行きましょう!」


(■注 おしらせ)

(ここからの記載は、二〇一五年四月十一日の取材旅行の結果を元に書いたフィクションです。あくまでもフィクションなので、そこのところを理解してよろしくお願いします。著者より)

(おしらせ終わり)


「おおー、ホームで待っているのは800形801であるな。工臨らしきJR側の構内にDD51もいる。

 ああ、SLを追放するものと蛇蝎の如く嫌われたDD51がこんなに珍しがられるなんて、無情よのう。209系に至っては登場時は散々な言われ方をしたのに、『ありがとう209系』などと言って涙ぐむなど、もはや一般人にとっては意味不明であろう。

 ワタクシは新車も古参車もそれぞれ深く愛しておるのだな。DD51もまた、同じように愛しておるのだが」

「でも、800形のこのリニューアル、微妙に好きじゃないんですよ。なんかKTRらしくなくて。妙なところにお金かけてる気がするし。

 あ、この800はトイレのないタイプで、普通のトイレ有りのタイプの700を水戸岡鋭治さんが改造したのが『あかまつ』・『あおまつ』、そして『くろまつ』なんですよ」

「そんなにバリエーションあるんだったら、鉄コレで商品化すればいいのに」

「ううむ、それができないのがKTRがウィラーに代わられた原因とかかわっていそうでの」

「大人の事情ですかねえ」

「では、ちょっと撮影して、車内へ」


「あれ、なんか、ミエさんが言うのとか、総裁から聞いていたより、なんかきれいなモダンでいい感じですね」

「一般車なのに」

「あ、運転台の周りが焼付塗装で木目調になってる!」

「え、ほんとですか!」

 ミエさんが驚く。

「リニューアルされて嫌だったんだけど、内装が結構いい……。意外です」

「うむ、思わぬ発見のあと、いよいよ西舞鶴に向けて出発なのである」

「おおー、気動車のサウンドとこの加速が、いかにもローカル線に来た、って感じですね!」

「うむ、さすがこの感じをマナはわかるのであるか?」

「いいですよね。まさに鉄研で旅行してるってかんじですよね。一人だと、一人で感じてるしかないから」

「さふである。それこそワタクシの目指すテツ道の一環なのだな」


「あ、列車交換駅だ」

「向こうからなんか来るよ」

「対向列車なり。だから列車交換というのである」

「ミエさん、あれは何ですか?」

「あ! コミューター車803ですよ! 『あかまつ』とペア組んでる車両です!」

「おお、いきなり目玉列車が!」

「列車交換しますね」

「走りだしてから『あかまつ』が見えますね」

「写真待機!」

 列車が走り出す。

「いいですね! なんか、すごくグレード高く繊細な感じで」

「さすが水戸岡デザインですわ!」

「702号『あかまつ』はフラッグシップ車であるから予期していたのだが、意外なのがコミューター車がかなりの高級感があったことであるな。単なるクリーム色かとおもいきや、なかなかデザイン的にも芸が細かい」

「そうですねえ。これは『くろまつ』への期待が高まりますね」


「京丹後鉄道は、駅ごとにそれぞれ、いろいろ工夫がありますね」

「あの看板、京丹後七姫伝説ですって」

「その草生したローカルホームにちった桜の花びらがすごくなんとも風雅ですわ」

「やっぱり京都なんだねえ」


「あ、また交換駅だ」

「また列車が来る。あれは? 緑色だけど」

「すごい、カニが正面にデザインされてる! 大阪の有名な『かに道楽』みたい!」

「709号、『丹後ゆめ列車Ⅱ』ですね」

「すごい派手なデザイン!」

「こういうなかに、『けいおん!』ラッピングの車両もいたんですよ」

「いろいろあって面白いですね! 鉄コレで出ればいいのに。なんで出ないんでしょうね」

「単線鉄道はすれ違う列車ごとに楽しみがありますわね」


「あ、海だ!」

「天橋立の看板がありましたよ!」

「天気がちょっと良くないなあ」

「でも、この鈍色の海と空が日本海、って感じですよね」

「天橋立は山から見るとはっきり見えるんですが……」

「うぬ、でも『くろまつ』ディナーが作戦の主目的なのであるな」

「総裁、どんだけ食べるんですか……」

「あ、オープンカーが並走してる!」

「むしろこれぐらいの日差しが、オープンカー日和かもですわね。あまり晴天だとオープンカーはしんどいのですわ」

「え、詩音ちゃん、オープンカー乗ったことあるの?」

「はい、お父様の趣味で乗っている車がミニコンバーチブル・クーパーSというものらしいのですが、私、乗って鉄道は楽しくても自動車はよくわからなくて」

 携帯の画面を詩音が見せる。

「げ、ショップデモカー仕様じゃないですか!」

「いまいちわかりません……」

「知らないということは、げに恐ろしきことよのう」


「天橋立駅ですね。隣に287系と381系が並んで、新旧交代の感じですね」

「381系の国鉄特急色の秀逸なカラーリングが印象的ですね。風景にこんなに似合うなんて。屋根もスッキリしていてデザイン性が高い! まさに昭和デザイン!」

「でも、今のは実際に乗ると振り子というより、ガタが来た揺れで、なかなかしんどいんですよ」

「日常で乗車してるミエさんらしい意見ですね」

「うむ、そう考えると287系はやはり快適であるな。電源コンセントのある席もあるし、第一、静かで揺れがすくない。やはり30年近い時間というものは残酷なのである。

 しかし! 381系もまた、かつての名車であったのだ」

「そうですわね。全車、無事の引退までの仕業を願いますわ」


「あの可愛い緑色の列車は」

「宮福のMFですよ!」

「なんか、凄くキュートなデザインですわね」

「前のデザインのほうがかっこよかったんですが……」

「うむ、じきになれて、そのうち模型で作りたくなるのがミエのパターンであるな」

「……チキショウメェ!」

「あ、ニコ動の総裁MAD!」

「うむ、現代ファン用語の基礎知識なのであるな」


「おおー、だいぶ地形が急峻になってきて、レイアウトにしたら素敵になりそうな区間ですね」

「海から立ち上がった崖の上、急カーブの沿道を見下ろす車窓がまたなんともいいですね」

「レイアウトでは高低差は正義であるのだな」

「これで天気が良ければ……」


「ここ! この土手を登ったら由良川橋梁ですよ!」

 ミエが興奮している。

「おお! って、あんまり知らなかったんだけど」

「でも、すごいゆったりとした大きな川ですわね」

「うむ、以前動画でここを通る『あかまつ』『あおまつ』と川面をゆくジェットスキーを空撮したのを拝見したのだが、ここであるのか」

「スパンの短いデッキガーターの連続がクラシカルで、渋いですわ」」

「保線用の側通路の手すりなんか、細かくていいですね」

「一見平凡に見えるけど、なかなかこういう鉄橋はないですわ」


「おや!」

「あ、『くろまつ』がスタンバってる!」

「たぶんスイーツコースの営業中で、車内は停車しての車内販売のお買い物タイムなのかもしれません」

「そんなのがあるんですね」


「で、西舞鶴、到着ー!」

「というか、これで半分!? 意外と見どころありましたね」

「これで天気が良ければ」

「ミエさんまだ気にして……。大丈夫ですわよ。おみやげ買って、ちょっとしたら、いよいよ『くろまつ』ディナーですわ」

「舞鶴といえば海上自衛隊。なんかおみやげ、いいのないかなあ」

「キラ総裁のお兄さん、ライトさんの艦の記念品、ないかしら」

「うぬ、ライト兄上の乗り組んでいた『ひゅうが』はこれなり」

「ええっ、第3護衛隊群第3護衛隊・定係港・舞鶴!? じゃあ、ここじゃないですか!」

「前は、なのである。兄上は新造艦、ヘリコプター護衛艦DDH183『いずも』配属に変わったのであるな。第1護衛隊群第1護衛隊で相変わらず横須賀なのである。とはいっても艦艇乗組は作戦行動の保秘のため、常に出航しているかどうか不明なので、連絡がなかなか取れぬ」

「それより『くろまつ』!」

「うむ、この旅の最大の目的なり」

「隣にタンゴ・ディスカバリーが止まってます!」

「JR側にロータリー車も止まってる。雪深い土地なんですね」

「ここはディスカバリーの床下を観察しつつ、『くろまつ』を待とうとぞ想いけるのだな」


「『くろまつ』が来ますよ!」

「駅員さんとのお話に興じてしまい、思うのほかあっという間であった。まずは車外から拝見」

「窓のブラインドとカーテンに、テーブルランプがおしゃれですわ」

「水戸岡先生は窓枠を額縁と考えていたそうです」

「うむ、ミエは水戸岡先生と遭遇しておるのだな」

「ええっ、本当ですか!」

「詳細はまたあとで。それより、『くろまつ』が一旦引き上げそうであるな」


「そして! いよいよディナーなのである!」

「総裁、食が絡むと眼の色が変わるから」

「む、しかたがないのだ。そしてこれはカラーコンタクトではないのだな」


「アテンダントさんに迎えられての乗車とは、やはりなんとも贅沢である」

「というか、この『くろまつ』、私たち鉄研とキラのお兄さんしか乗らないって、どういうこと!?」

「うむ、そこは時間的にいろいろあるのであろう。

 聞いた話では、ディナーには早すぎるし、食べたところで食後に降り立つ終点の豊岡の宿はビジネスホテルばかり。かといって素泊まりでは旅館は成り立たない。

 商品設計としての研究がまだ必要であるのだろう。

 とはいえ、民間で勢いのある経営のウィラーがこの状態を放置するとは思えぬ。

 今はまだその過渡期ということで、幸運で我が鉄研専用列車となったのであるから、存分に堪能しようぞ!」

「はい!」

 声が揃った。


「敷いてあるランチョンマットからして良いデザインですね」

「アテンダントのお姉さんの案内も肉声」

「というか、研修中なのか、アテンダントさんが我々鉄研一行と同じ数って……」

「幸運と思うのであるが、いずれこれが満員になって、京丹後鉄道を栄えさせてくれるよう祈るのであるな」

「でも、さすが水戸岡先生のデザイン、木を多用したいい感じですね」

「鉄道車両に木材を使うのは一時困難であったのだが、やはり木材は良い。使い込むと味が出てくる。ただの軽金属や樹脂ではこうは行かないからのう」

 そのとき、ミエがかばんを開け始めた。

「なんですか、って、ええっ、KATOユニトラックの線路!?」

「それに載せるのは、さっきの模型、ウェラー仕様とノーマル、とはいっても手入れしたディスカバリー!」

「そして、『あかまつ』と『あおまつ』! 雑誌で見たことある! けど、これ」

「うむ、ミエの親戚がフルスクラッチで作ってくれたものらしい。世界で2セット4両しかないものなり」

「すばらしい! 素敵ですわ! 車内の調度とも調和して、すごく贅沢!」

「それに、外! なんか、晴れてきましたよ!!」

「明るくなった青い空がすごく綺麗に窓枠で切り取られてる……。素敵。

 並んだ窓が、展示された連作のモダンアート絵画のようですわ……」

「ああ、あまりの美に、詩音ちゃんが気絶しそう!」

「その前にいよいよ待ちかねた食事である」

「総裁、食はハズさないですね」

「さふなのである」

「お弁当形式なんですね」

「車内で調理するのは困難が多いからの。合理的な判断であるな」

「ちらし寿司にかまぼこ、お刺身、お稲荷さん、焼き魚、ローストビーフ、まいづる肉じゃがですって」

「絵入りのおしながきが箱についてる」

「写真撮らなきゃ!」

「そして箱を開けて、もう一枚写真」

「おおー!」

「山菜とか花が添えてあって、素敵ですわ!」

「うむ、本当に気絶する前に頂きますなのである」

「いただきまーす!」


「となりにコミューター車が!」

「列車交換ですね」

「向こうから見られてますよ!」

「なんとも贅沢なり。といいつつ、さすがディナー料理うまし!

 なんとも滋味、上品な味わいなり!」

「向こうの車両側にミエさんが模型をおいたけど、それもまたお食事いただきつつ拝見すると、実に贅沢でいいですわねえ」


「由良川もそうでしたけど、海がさっきの鈍色から、鮮やかな色になってきましたよ!」

「すごい!」

「と思えば、トンネルの中に入ると暖かなランプの色が真っ暗な窓に写って、なんとも旅情をそそりますね」

「うむ、かつての夜行列車のようなムーディーな趣なり」


「さっきのレイアウトにしたい感じのとこで、また停車ですね」

「観光用に停車サービスとは、ダイヤが密な鉄道にはできないことです。ローカル線であることを逆に有効利用した演出ですね。妙手です。すごいです!」

 カオルが興奮している。カオルは自分でダイヤを組むバイトをするほどの超高校級のダイヤ鉄なのである。

「あ、道路で車の人が手をふってる!」

「ふりかえしましょう!」

「挨拶の交換ですね!」

「うむ、観光列車らしいシーンで、じつに絶佳であるな。レイアウトで再現したい良き風景である」


「模型もアテンダントさんにウケていて、弥栄なり。

 ミエは、この模型を作った親戚さんと、この『くろまつ』の営業運転初日に乗車し、そして、水戸岡先生とお会いしたのであるな」

「すごい! 水戸岡先生、ちゃんと初日に来るんですね!」

「それこそ仕事というものであろう。ミエの送ってきた写真の水戸岡先生の模型を見る目がまた素晴らしい視線で、なるほどとワタクシも思ったのである。鉄道模型を作るものとして、鉄道デザイナーと意気が通じるというのは、また素敵であり、また一つの頂点であるな」

「私もそんな機会に遭ってみたいものですわ……」

「ああ、詩音ちゃんが本当に気絶しちゃう!」

 そのとき、御波が、つぶやいた。

「私も、そういう未来、望んでいいのかな」

 総裁は、頷いた。

「その未来は、御波、君が作るものなのだ。そして、作れるものである以上、放棄しなければ、かならずやってくるのだ」

 御波は、うっすらと涙を浮かべた。

「うむ、その涙は、念願が成就した時のためにとっておくのだ。

 今は、まず存分に楽しむのだ」

「はい……」

 御波は、涙を拭った。


 それからあとも、一行は車内探検をしたり、アテンダントさんから車内販売で記念品を買ったり、それと一緒にアテンダントさんを質問攻めしたりした。

「トイレが昔ながらの循環式であったが、そこに水戸岡とサインのある絵が飾ってあった」

「それだけで違いますわね」

「あと、食後のお茶が実に美味しいのであるな」

「料理も素晴らしい味でしたが、ほんと、楽しいディナークルーズですわね」

「まだ外は明るいけどねえ」

 そこにアテンダントさんが来た。

「えっ、スイーツがあるんですか?」

「『智恵の餅』ですって」

「ん! 甘いけど、甘すぎず!」

「美味しい! 程よく冷たくて!」

「ここはひとつ、追加でソフトドリンクを所望するのであるな」

「グラスがまた素敵!」


 その時、御波は、列車が進んでいく風景に、心を奪われた。

 晴れ間から降りる光jに輝く、桜の咲く小さな駅に伸びる、弱々しい線路。

 でも、それが、御波には、写真以上に、こころに焼きついたのだった。


「これで、旅が終わるわね」

「ええ。素敵なひとときでした」

「こんな素敵な列車が、私達だけ偶然貸し切りなんて、ほんと、身に余るほど勿体無いですわね」

「そうね。きっと、いずれ満員御礼になってくれることを願ってるわ」

「人の乗っていない観光列車は、哀しいですものね」

「きっと、乗るよ! だって、ボクたちがまた乗りたいんだもん!」

「華子らしいなあ」

「またボクをバカにするー!」

 みな、笑った。


 そして、たっぷり身も心も満腹した一行を乗せて、ディナー列車『くろまつ』は豊岡に到着したのであった。


 そのあと、回送になって去っていく『くろまつ』を見送り、豊岡のミエの家で彼女の秘蔵の鉄道コレクションをみて、みな深く感動した後、岸和田にもどり、もう一泊して、神奈川に帰るのであった。


 だが、


 ちなみに。


 ここまでせっかく節約してたのに、彼女たちは、

・LCCでおみやげ買い過ぎてて搭乗時に手荷物追加の追加料金

・機内の空調と、旅に浮かれて喋り過ぎでのどが渇いてLCCの機内飲料買って追加料金

 さらには

・LCC機内食のお好み焼きが面白そうでつい食べたくなってさらに追加料金

 になり、その上成田発着のLCCのなので、

・せっかくだからと成田空港で食事して追加料金(あそこの食事は高いのもあり)

 そのうえ成田から神奈川へ帰るときに

・160km/h運転を面白がってスカイライナーに乗って追加料金、

 トドメに

・すっかり遊び疲れてロマンスカーにのって追加料金 

 となり、その結果、


 結局、節約旅行作戦は、節約という観点では、失敗したのであった。


「うぬ!! 著者、余計なことを書かんでくれたまい!」

「今回がこんなオチとは……! くっ!」

「じっと財布の底を見る……えーん、笑えないよぉ!」


<了>



「まさかこういうことになるとはねえ」

「でも、素敵だったなあ。『くろまつ』ディナー」

「イイ体験したわよね。まさにプライスレス」

「でも、これ、次はどうなるの? ほんと、マジでお金なくなるわよ!」

「ヤバい! やばすぎる! 次回、『約束の地へ』……って、約束の地って、いったいどこなのよ?!」

「つづくっ!」


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