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同居人達の騒がしすぎる日常  作者: 66お兄さん
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続!キャッチアコールド!

今度は榛樹が寝込み、雅希が看病します。でもやっぱり雅希は榛樹にドキドキしっぱなしで…

「ふんふふ〜ん」


どうも、重田雅希です。俺は今、ばか

の榛樹のためにお粥を作っています。俺は昨日、過労で風邪を引いて倒れてしまったのだが、珍しく榛樹が甲斐甲斐しく世話をしてくれてちょっと…ちょっとほんとにすこーしだけ格好いいなとか思ってしまった。しかし、その結果あの馬鹿は俺の風邪がうつり、寝込んでいるのだから世話ない。


「出汁と、あと醤油をちょっと入れて…」


お粥の味を見て、同時に卵と玉ねぎを柔らかく煮てとろみをつけたスープを作る。


「よし、こんな感じかな」


味に満足して火を止め、榛樹の部屋に持って行こうとお盆に載せた。

ーーーーーー


「はるー入るぞー」


「あっまさ、ふぁっぶえっくしゅんっ!」


「おーおー風邪こじらせてるねー」


茶化しながらも、幼馴染の悪化のしように少し罪悪感が湧く。


(こいつ、俺の世話してくれたから風邪引いちゃったんだもんな。ちょっとは優しくしてやるか)


「大丈夫か、はる?」


そう聞きながら咳を連発して布団にくるまっている幼馴染の頭を撫でてやる。


「うーまさー」


「ん?」


「チューして」


「一生寝込んでろ」


「ヒドイ!!」


優しくしようなんて思った俺が馬鹿だった。こいつは自業自得だ一生風邪引いてやがれ。


「ほら、お粥作ってやったぞさっさと食えそして寝ろ」


「わーいなんかトゲがある!あ、でもさ。」


熱のせいかやたらテンションの高かった榛樹がふと真面目な顔になる。


「一緒に居ると風邪うつっちゃうからさ、離れてた方がいいよ。オレ、またまさに倒れられるの嫌だし」


苦笑いしてそう言う彼に、ふふんっと鼻で笑って昨日の言葉をそのまま返してやる。


「『恋人がへばってるのに放ってなんかおけない』、だろ?」


「う、うーん困った…まさは男前だなぁ…」


「今更気づいたのか」


俺が寝込んでいる時に彼が言ってくれた言葉。それがどれだけ俺の支えになったのか。今度は俺が、榛樹の支えになりたい。


「ほらほら、早く食べないとお粥冷めちゃうぞ」


「あっ食べる!まさ!あーんしてあーん!」


「は⁉︎」


キラキラとした目でこちらを見つめてくる。…どうやら拒否権は無いようだ。


「も、もう!ほれ、あーん!」


「あーん」


ヤケクソ気味にお粥を食べさせると、酷く嬉しそうな顔をして咀嚼する榛樹が居て、こんなのもたまにはいいかななんて思ってしまう。


「あっち!でもウマ!やっぱりまさの料理美味いな〜オレとは違うわ」


「はるのお粥も美味しかったぞ。なんか、頑張った味がした」


「それ褒めてる…?」


怪訝な顔で聞いてくる彼が妙に面白くてつい笑ってしまう。


「何笑ってんだよー」


「あはは、ごめんごめん」


「嫌だ許さない。そんなまさにはくすぐりの刑だ!」


「うわっばかっあ、あははは!くすぐんなよっ」


「嫌だね。これでもくらえ!」


「あ、あはははは!やめろってば、はるっ」


くすぐられているうちに俺が布団に寝転ぶような状態になり、榛樹がその上に覆いかぶさっていた。


「…まさ」


赤く蒸気した顔をしている榛樹が抱きしめてくる。凄く体が熱くて、その熱さは俺のものなのか彼のものなのか分からない。


「…好きだ。」


彼が紡ぐ言葉に何も言えなくなって、でも受け入れたくて榛樹の背中に手を回す。体がどんどん熱くなっていく。凄く熱くて恥ずかしいのに、心地よい。


「雅希」


「…っ」


耳元で俺の名前を囁かれてついドキリとしてしまう。少しだけ横を見てみると真っ直ぐな目でこちらを見つめる彼と目が合い、つい目を逸らしてしまう。


「雅希、こっち見て」


「は、榛樹…」


じっと見つめる目が、いつに無く真剣で。いつもヘラヘラしているのにふとした時にこんな顔をするから本当にずるい。


(こうしてると、ちょっとはかっこいいんだよな)


筋肉もあり、身長もある。顔も整っててよく女の子に笑顔が可愛いと言われているのを耳にする。でもふとした時にする真剣な顔が少しだけかっこいいということをあの子達は知っているのだろうか。俺を抱きしめたり、手を繋いだりすると凄く嬉しそうな顔をすることも、知っているのだろうか。


「まさ」


「あ…はる…」


少しずつ榛樹の顔が近づいてきて、どんどん心臓がうるさくなっていく。それに耐えるように彼の背中に回した手に力を込める。だが。


「はるちゃーーん!!!」


「はるちゃん」


「どっせえぇぇぇいぃぃ!!!??」


「ぐふぅっ⁉︎」


花之介と伶織が飛び込んできて、上に乗っかっていた榛樹を全力で蹴り飛ばす。


「あれー?はるちゃんとまさちゃん何やってたのー?」


「…はるちゃんにお粥食べさせてた?」


「そっそうそう!!そうなんだよはな!!!お粥!!食べさせてたんだよねー!」


「まさ…いたい…」


俺が全力でヤケクソ気味に叫ぶと転がっていた榛樹が恨めしそうに見つめてくる。


「ぼくもやる!はるちゃんに食べさせるー!」


「僕も」


「え⁉︎いやでもオレ自分で食べられるからそういうのは大丈夫かななんて…」


「はるちゃんあーん!」


「あーん」


「え、うわっ熱っ!あっちいいいっっ」


「はる⁉︎うわっはなもれおもストップストップ!」


「ほらはるちゃんもっと食べてー!あーん!」


「あーん」


「もう勘弁してくれえええっ」


「はるちゃん逃げたー」


「逃げたー」


全力疾走で逃げる榛樹と、スプーン片手に追い掛ける花之介と伶織。


(全く、ほんとに騒がしいなぁ)


お粥テロをされている恋人を助けに行こうと腰を上げる。自然と口角が上がるのを感じながら。

ーーーーー


「い、いたた…」


「あーやっぱりヤケドしたか」


花之介と伶織のお粥テロに対して死闘を繰り広げた榛樹は、口の中に不名誉の負傷を負っていた。


「これじゃしばらく痛いだろうな」


「えー…誰かさんのせいで腹も痛いしさ〜オレ病人だぜ?」


「悪かったって」


ジト目で見てくる榛樹に苦笑しながら答えると、彼がニヤリと笑う。嫌な予感。


「じゃあ今度まさからハグしてね」


「は、えっええ⁉︎」


「けってーい」


「だ、誰もやるなんて言ってない!」


「お腹痛いなー?」


「う…っ」


「拒否権無し」


「は、はるのばかぁーーーっ!!」


どうやら、俺に心静まる時間はもうしばらく有りそうに無いみたいです。

遠い目をしながら、自分の未来に不安を感じずにはいられない俺なのだった。

読んでくださりありがとうございました本当に嬉しいです!これから新キャラなども出て来たりする予定です…気力があれば…

またお会いできることを願っています。

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