異世界研究ノート [第3章終了時点の設定]
第3章終了時点でソージが把握している異世界の設定についてです。
第3章で説明していることをまとめているだけなので、
読み飛ばしても問題ありません。
現在、第5開拓村の戦いから1日経過。
野営の中、教会へ提出する報告書をまとめていた。
今はブラックファングの団員達が見張りをしており、
リゼット達は睡眠中。
先程までは、エリックも起きていたが、彼も寝床に向かった。
まあ、ノートを書くのなら今だろう。
教会への報告書を脇に寄せると、アイテムメニューから『異世界研究ノート』を選択する。
すると、何も無い空間から一冊の本が現れる。
今回の第5開拓村への遠征。
無事に終わる予感は最初から無かったが、
終わってみれば、その成果は予想外のものになった。
無論、自分にとっては良い方に。
敵の邪教徒の目的、その手段にもおおよその見当が付いたし、
邪教徒の1人、アリスを倒すこともできた。
さらに、女神ルニアにも会うことが出来たし、
彼女から新しい聖剣『フルムーン』と聖騎士の最強魔法『バニシング・レイ』を賜った。
だが、良いことばかりでもない。
ペンを握る右腕を見る。
あの時、バニシングレイの出力に耐え切れず、自分の右腕は崩れ落ちた。
しかし、今は何不自由なく動いている。
それはおそらく……
まあ、それはそれとして、今回の事件で得た知識をしっかりと纏めておこう。
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『邪教徒の目的』
アウインの名門貴族『ゴーン家』の当主ジェローム・ゴーン。
彼は邪教徒『邪竜使いのエミール』と協力していたことが、
彼の残した資料から分かった。
彼はアウイン内部で極秘に邪教徒の研究をしており、
その研究内容は、『死者の蘇生』と『モンスターの研究』。
死者の蘇生は、邪教徒なら当然の様に行っている研究なので割愛する。
『モンスターの研究』
ジェロームとエミールはモンスターの研究、具体的にはモンスターの特性を抽出して、
人間に埋め込む研究をしていた。
アンデッドスライムもこの研究の産物であり、アンデッドスライムとしての能力を極限まで抽出したものが、
あのアンデッドスライムだったのだ。
当初の予想では、モンスターの特性を抽出して強い兵を作るつもりか、
エルフの特性を抽出して、寿命を延ばすつもりかと思っていたが、
第5開拓村でであった邪教徒を見て、大体の目的は把握できた。
『邪教徒』
第5開拓村で出会ったのは、『レベル99の医者 秋月レイ』と
『レベル99の神官 量産型救世主1号』の2人であった。
奴等は、自分と同じ転移者の身体を乗っ取った邪教徒『アリス・ゴーン』と
邪教徒『邪竜使いエミール』であった。
身体の乗っ取りについては、ブルード鉱山のソウルイーターもやっていたことだ。
そして、これで邪教徒の目的は把握できた。
つまり、異世界から転移者を呼び寄せ、その身体を乗っ取ることで、
死者蘇生の魔法『リザレクション』を手に入れることだ。
まあ、問題はどうやってこの世界に自分達を転移させたのかだが……
おそらく、モンスターの研究の応用だろう。
これについては、女神ルニアの『使者』が説明してくれるそうなので、
その者を待つとしよう。
『女神ルニア』
この世界の宗教であるマーヤ教の女神、月と死を司る夜の女王。
それが自分の身体に憑依した。
おかげで、彼女に身体を乗っ取られるわ、
身体が女性に変化するわで、大変な事になった。
まあ、それでも彼女との協力関係になれたのは良かった。
新しい聖剣『フルムーン』と聖騎士最強の呪文『バニシング・レイ』。
これだけも十分な成果であるが、さらにこの世界の情報も手に入れることが出来た。
『ゲームのフラグメントワールドとこの世界』
女神ルニア曰く、この世界はフラグメントワールドを元に作られた世界なのだと言う。
だから、この世界で日本語が使われていたり、フラグメントワールドのスキルが使えることに対して、
納得することが出来た。
とは言え、あくまでも元にしているだけで同じではない。
例えば、自分の身体は欠損しても魔法で治すことができるが、
この世界の住民は身体が欠損した場合は、魔法では傷は塞がるが、失った身体は元に戻らない。
これはつまり、自分の身体とこの世界の住人では適応されているルールが異なるということである。
『今後の目標』
邪教徒アリスは、アウインを攻め滅ぼすと言った。
自分はこの世界で生きていくと決めたのだ。
もちろん、そんな事はさせないし、逆に邪教徒は皆殺しだ。
そして、この世界に生きるものとして、
女神ルニアに自分がこの世界に来た理由を問いたださなくてはいけない。