68話 邪教徒
訂正のお知らせ
38話で40年前、ビクトルの聖騎士団を壊滅させたのは、
『堕ちた聖騎士マルク』としていましたが、
正しくは『邪竜使いエミール』でした。
3章、4章で、2人とも出てくる予定なので、
伏線を張ったつもりが間違って書いてました……
「分かりました。
では『第5開拓村の遺品回収』の依頼を請けましょう」
こうして、冒険者ギルドからも『第5開拓村の遺品回収』の依頼を請けた。
時刻は午後2時。
場所は中央教会、応接室。
シモンとの面会は1時からだったが、彼は今忙しいということなので、
ここで待たされていた。
大司教補佐官であるシモンは、この教会のナンバー2だ。
昨日いきなり会いたいと連絡して、断られなかっただけ良い方だろう。
シモンを待っている間に、冒険者ギルドから貰った資料を読み返すことにする。
当時の冒険者ギルドは、第5開拓村への食糧輸送部隊の護衛として冒険者を派遣していたそうだ。
第5開拓村はサフィア河を越えた先にあり、出現するモンスターのレベルが高い。
そのため、ギルドは半端な冒険者を派遣する訳にも行かず、ローテーションを組むのに苦労していたらしい。
開拓村というのは文字通り、未開拓の場所に新たに村を作ると言うことである。
だから、ギルドとしては苦労はしていたが、それは想定どおりの苦労であった。
依頼人となるゴーン家からは、危険に見合うだけの依頼料も出ていたこともあり、
冒険者ギルドとしては、特に不満も不審な点も無かったそうだ。
開拓は順調に進んでいたが、ある日、モンスターの襲撃を受けて壊滅した。
死体は見つからず、僅かに『喰い千切られた』手足が見つかった程度であった。
その状況でモンスターの襲撃を受けたと判断した理由は、
先程の説明にもある通り、喰い千切られた手足があったこと、
大型のモンスターの足跡があったこと、
そして、焼け焦げた、あるいは破壊された住居の残骸があったこと。
これらの点から、巨大なモンスター……
おそらく『ドラゴン』に滅ぼされたのではないか、それが当時の結論だった。
開拓村の壊滅後、冒険者ギルドには開拓村の遺族から遺品回収や遺体の捜索の依頼が出されるようになる。
出資者だったゴーン家が編成した調査部隊や、教会の慰霊団が遺品や遺体の捜索を行ったが、
それでも遺品すら見つからなかった者は多い。
これは元々財産と呼べるような物は持っておらず、
己の身一つで参加したものが多かったという事情もあるのだが……
冒険者ギルドにとって、遺品回収は厄介な依頼だ。
元々が高レベルのモンスターが出る地域であり、
それに対して、遺族の出す依頼料は低い。
なぜなら開拓民やその縁者は、一発逆転を賭けた貧困層が多かったからだ。
結果的に、多くの依頼は解決されることは無く、ギルドに残り続けた。
「……まったく、嫌になる」
やっぱり世の中、金と地位だよな。
金もねぇ、地位もねぇ、でも成り上がりてぇ。
そうなると、もう危険な賭けに出ざるを得ない。
その結果がこの様だ。
まったく、夢も希望もない。
それでも、それが賭けに負けた結果なら仕方が無い。
負けたら失う、それが賭け事と言うものだ。
だが、その賭け事にインチキが含まれていたとしたら……
それは納得が行かない。
あまりにもフェアじゃない。
「でも、結局本当はどうだったかなんて、分からない」
今分かっているのは、邪教徒のジェローム・ゴーンが第5開拓村を主導していたということだけだ。
まだ陰謀論の域を出ていない。
「ソージ様、お待たせしました。
ご案内致しますので、どうぞこちらへ」
若い女性の神官……シモンの秘書の言葉に立ち上がる。
やっぱり世の中、権力だよな。
大司教補佐官となると美人の秘書をはべらすこともできるのだ。
まあ、冗談はここまで、ここからが本番だ。
「すみません、午前の会議が長引いてしまって」
シモンの私室に通されるなり、彼は自分に対して謝罪する。
彼の机の上には、書類の山が出来ており、忙しいというのが言葉にせずとも分かる。
アレを見ると、日本に居たときの納期直前の書類地獄を思い出す。
何百ページもある仕様書。
これまでの会議の議事録。
部長や社長への承認依頼。
顧客との契約書……
コンピュータを自在に操るプログラマでも、重要な文章は紙で残さないといけない。
いや、だからこそか。
見ていると気が滅入る書類の山から目をそらし、シモンに視線を向ける。
「忙しいのはよく分かっているつもりです。
無理に会って貰っている立場なので、気にしないで下さい。
……それに、今日は無理を聞いて貰うために来ましたので」
「無理と思うなら、止めましょう」
「いやぁ、申し訳ないです」
「絶対に申し訳ないとは思って無いですよね……
まあ、こちらもソージには、お話したいことがありましたので、
今回の面談はちょうど良かったです」
シモンはため息を吐きつつ、秘書に合図を送ると、
彼女は部屋を退室し、室内には自分とシモンの二人だけになる。
彼に進められて、ソファーに腰掛ける。
対面にシモンも座り、彼は2人分の紅茶を入れる。
「さて……今日の本題は第5開拓村について、ですよね」
シモンの問いに頷く。
事前に今日の面談の内容は伝えてあるのだ。
「では、先に細かいところからすませましょう。
まず、『南部教会がブラックファングの治療を行うことに対する許可』について。
これが誓約書になりますので、署名をお願いします」
そう言って、シモンは2枚の誓約書を出す。
1枚は教会用で、もう1枚が自分用だ。
内容を確認したが、特に問題はない。
誓約書の隅に小さな文字で『ただし~に限る』のような、騙しも入っていない。
「内容は問題なし。しかし驚いた。
結構、揉めると思ってたんだけど。
何で今までは、誓約書は無かったんだ?」
確認した限り問題はないので、2枚の誓約書にサインを入れる。
「……言われませんでしたからね。申請があれば出しますよ。
ただし、分かっていると思いますが、誓約書は非公開でお願いします」
何という、お役所仕事。
教会側は出せと言われれば許可は出すが、積極的に許可は出したくないのだろう。
まあ、何にせよ。許可が出るなら自分に文句はない。
「次は活版印刷についてですが……この技術はソージが考えたものですか?」
活版印刷については現在製作中だが、
お試しとして聖書の1ページを印刷し、活版の試作品も提出済みだ。
「いや、活版印刷は日本の一般的な技術だよ。
俺はそれをこっちで再現しただけだ」
本当の事を言えば、活版印刷どころかインクジェットプリンターなんてものまであるんだが、
そこまで説明するのは面倒臭いし、仮に説明しても理解できないだろう。
自分の説明に対し、シモンは微妙な表情で頷く。
「ああ、ニホンの……」
「その『あなたの頭の中だけにある架空の国の……』みたいな反応は止めてくれませんかねぇ」
まるで自分が気狂いみたいではないか。
いや、似たようなものだというのも分かるのだが。
「いえいえ、そんなことは思ってないですよ。
ソージは記憶が戻ったんですか?」
「いや、全然ですね。
俺が日本という国で生まれたことは覚えているが、
どうしてこの国に来たのか、なんで神官になったのかは分からない」
「そうですか……まあ、記憶が戻るのを気長に待ちましょう。
話を戻しますが、この活版印刷はとても興味深い技術です。
ただ、西部教会のグレゴワールから、幾つかの意見がありました」
西部地区は、職人や商人が多くいる地区だ。
そのため、西部教会では神官が利用する装備や聖水、聖布の作成を行っている。
そこから意見が出ると言うことは、商売がらみか?
「この技術が普及した場合、教会の内外に与える影響は非常に大きいと予想されます。
そこで、この技術を教会が占有し、影響をこちらで操作したいのです」
シモンが言うには、この技術が普及すると、
代筆で飯を食っている人間が仕事を失うことになるそうだ。
この世界では、文字が書けるというのは立派なスキルであり、
文字が書けない者の代わりに文字を書く『代筆』が仕事として成り立っている。
この代筆を仕事としている人間は自分の想像以上に多いらしい。
代筆を専業としている者はもちろんだが、
パトロンのいない学者や芸術家の副業にもなっているそうだ。
下手をすると、これらの人々が活版印刷の普及によって職を失う可能性があり、
活版印刷の普及のメリットよりもデメリットが大きくなってしまう。
「ソージの希望としては、この技術を一般に広めたいと聞いていますが、
残念ですが教会としてはそれは出来ません」
「まあ、仕方がない。
では、活版印刷の技術と権利は教会に渡しますので、好きにしてください。
その代わり、お金を下さい」
活版印刷は普及して欲しいが、それは教会に敵対してまで広めたいものではない。
自分は、地動説を唱えたガリレオのように、教会に吊るし上げを喰らいたくはないのだ。
だから、この世界の人間がやりやすいようにやってくれれば、それでいい。
だが、ただで引き下がるつもりはない。
「ふむ……お金ですか、何に使うつもりですか?」
「貧民の支援ですね。
あと、まだ思い付きの段階ですが、南部教会にも孤児院を作りたいと考えています」
元々、活版印刷の技術は、印刷技術の向上と貧民街の住人に仕事を与えることが目的だった。
活版印刷が駄目になっても、異世界技術チートのネタはまだある。
貧民街の住人の仕事は、また考えれば良いが、
何をするにもお金は必要だ。
現状の南部地区は、はっきり言って治安が悪い。
路地の裏に行けば、ホームレスやストリートチルドレンが普通にたむろしている。
貧困層が多くいる地域なんだから当たり前なんだが、
自分は南部教会の司教なので、そこで生活しないといけない。
まったく、とんだ罰ゲームだ。
それでも最悪、自分はまだいい。
だが、仮にリゼットやアンナが襲われでもしたら、
自分は正気でいられる自信はない。
というか、たぶん南部地区の住人を皆殺しにすると思う。
まあ、そうなるとお互い不幸なので、そうならないように何とかするのだ。
とりあえず、貧民街という不名誉な称号を撤回するのが目標だ。
「分かりました。具体的な契約は、後日グレゴワールを交えて行いましょう」
「ええ、それでお願いします」
これで細かい相談は終わり、ここからが本題だ。
「さて……ソージは非合法ギルド『ブラックファング』の依頼を受け、
第5開拓村に行きたいと。
どうして、貴方は面倒事を持ってくるのか……」
シモンは頭痛を抑えるように、頭を抱える。
ちなみに、シモンにはブラックファングの事は全て正直に伝えてある。
冒険者ギルドと対応が異なるのは、自分は教会との関係を重視しているからだ。
まあ、今の自分は教会組織に所属する司祭だからな。
「それについては、本当に申し訳ないと思ってるよ。
俺だって今の教会の立場は分かっているし、
ただの依頼なら今回は見送るつもりだった」
教会が聖騎士団をアウインに集めているのは、アンデッドスライムが街の中で暴れたからだ。
聖騎士団は教会の剣であり、アンデッドを倒すことを使命としている。
それが、あろうことか街の中にアンデッドの侵入を許してしまったのだ。
それは教会の失態だ。
だから、この街の住人を安心させるため、
過剰なまでの防衛を行っている。
もちろん、こうして街を守ることは重要ではある。
だが、一体何から街を守れば良いのだろうか?
敵は何だ。
「大貴族ジェローム・ゴーン。
あれは何だ。この街の大貴族でありながら、邪教徒に組みした人物。
そもそも邪教徒とは何なんだ」
「そうですね。教会では主神マーヤの教えに背く者を、まとめて邪教徒と呼びますが、
大まかに分類すると3つの派閥があります」
今更といえば今更な質問であるが、シモンは丁寧に答える。
「1つ、マーヤ教以外の神を崇めている者。
2つ、マーヤ教を信奉していても、その教えを曲解している者。
3つ、死者の蘇生や不死を目指している者。
彼らは、単独で動く者も居れば、組織を作る者も居ます」
「なるほど。邪教徒は全てが繋がっているわけでは無いんだな。
ではジェロームが邪教徒になった理由は何なんだ?」
「それについては、私からお話しましょう」
自分の問いに対して、なぜか背後から声がかかる。
「っぁああああああ!!
何ぜそこに居るエリック!!
居なかっただろう!さっきまで!!」
そこには、平然と立つ異端審問官エリックの姿があった。
さっきまで居なかったのに。
こいつ絶対に忍者だ!
「何もそこまで驚かなくても」
「いやいや、後ろから突然出て来るなよ!」
素なのか、わざとなのかエリックは自分が驚いている理由が分からないらしい。
彼は平然とシモンの隣に腰掛ける。
どうやら、そのまま面談に参加する気のようだ。
「そう露骨に嫌な顔をしないで下さい。
一緒に邪教徒と戦った仲ではないですか」
そうだけど、苦手なものは苦手なのだ。
自分はチートという非常に厄介なものを持っている。
本質的には、異端審問官のエリックとは相容れないのだ。
「……エリック、ジェローム・ゴーンについて教えてくれ」
エリックは頷くと、封筒の中から、数枚の書類を取り出し自分に渡す。
その内容は、以前エリックと一緒にジェローム・ゴーンの屋敷に侵入した際の報告書だった。
「彼の地下の工房から研究資料と日記を見つけました。
それによると、彼が邪教徒と接触したのは、今から約12年前にさかのぼります」
当時、ジェロームとその正妻は仲睦まじい夫婦であったが、
子供は少なく14歳になる長女『アリス』しかいなかったのだという。
貴族にとって世継ぎを作る事は重要な仕事だ。
もし子供に何かあった時のために、たくさん子供を作るし、
そのために側室も作る。
ジェロームにも側室はおり、そちらには男の子もおり、
その子は、現在も存命している。
ただジェロームとしては、やはり正妻との子を世継ぎにしたかったようだ。
この国では必ずしも男性が家を継ぐわけではないが、
男子が望ましいとされている。
彼は高名な錬金術師に薬の調合を依頼したり、
教会に祈りを捧げてもらったり、色々と手を尽くしていたそうだ。
そんな彼の願いが通じたのか、ようやく彼らは待望の男子を授かったという。
だが、出産は難航し、妻は子が無事に生まれたことを確認すると、
そのまま息を引き取ったらしい。
そして、最愛の妻を犠牲にして生まれた子も、
半年後に母の後を追うように病で死んでしまった。
「その後からですね。ジェロームが邪教徒に堕ちたのは。
彼の日記からは邪教徒『エミール』と接触した形跡があります」
「……エミール?
どこかで聞いたことがあるような……」
「『邪竜使いミール』。
今から40年程前、ビクトル氏の聖騎士団を壊滅させた邪教徒です」
「……あいつか!」
ビクトル氏の因縁の相手が今回の黒幕ということだ。
邪教徒はいるだけで、周りが不幸になる。
殺さなければならない存在だ。
「ジェロームも不幸なのは理解するが、
だが不幸だからと言って、何をしてもいい理由にはならない」
自分だって、こんな異世界なんかに来てしまったのだ。
ある意味で自分よりも不幸な人間はいないだろう。
だからと言って、腹いせにチートで好き勝手していいかといえば、そうではない。
「ええ、その通りです。
その後、彼は第5開拓村を主導することになります。
記録上では彼の長女アリスは第5開拓村の襲撃に巻き込まれ、死亡した事になっていますが……
この娘も邪教徒に関与している疑いがあります」
「まったく、どいつもこいつも。
だが、これで第5開拓村への関与は確定か。
それで、奴らは第5開拓村で何をしていたんだ?」
「死者の蘇生と……モンスターの研究です。
どうも奴らはモンスターの特性を抽出して、人間に埋め込む研究をしていたようです。
あのアンデッドスライムも、そうした研究の産物である可能性が高い」
「つまり、人とモンスターを合成する気なのか?
確かに、モンスターは人間の能力を超越した存在が多くいる。
しかし……何のために?」
マンガやゲームの敵には、そういったマッドな研究者はよく出てくる。
例えば、単純により強い兵を作りたいだとか、
人間を超えた新人類を作りたいだとか。
そんなのがリアルにいると、ちょっと反応に困る。
バイクに乗った改造人間でも出てくるのか?
「そこまでは分かりません。
ですが、第5開拓村でヒューマン以外の種族の参加を認めたのも、それが原因だと思われます」
「うーむ……例えばエルフはヒューマンよりも長寿だが……
仮にエルフの『長寿』という特性をヒューマンに移植すれば、寿命が伸びるのか?
でも、生きてる人間ならまだしも、既に死んだ人間に対してはどうしようもないはず……
……駄目だな、分からん」
ジェロームの目的が亡き妻と子の復活だと仮定した場合、
それでは条件が合わない。
情報が足りないな。まだ、こちらが知らない要素があるのだろう。
「ジェローム・ゴーンについては、だいたい分かった。
それで、教会は第5開拓村の調査はしないのか?
今なら第5開拓村に用事がある人間が目の前に居るぞ?」
「行かない、という訳にはいかないでしょう。
ですが、現状では聖騎士団は動かせません。
……ソージは第5開拓村に邪教徒はいると思いますか?」
シモンは難しい顔で返答する。
「いや、流石に居ないだろう。
だが、何らかの手がかりはあるはずだ。
当時、教会は慰霊団を派遣しているが、邪教徒が居るという前提では動いてないだろう?」
事件が起きたのが10年前であり、かなり時間が経っている。
もし仮に邪教徒が今まで居たとしても、
ジェロームがしくじった事は知っているはずだ。
だとしたら、いずれ教会が調査に来ることは容易に予測できる。
「なので、自分の目的はあくまでも調査だ。
教会の聖騎士団を動かす必要はない。
それに、第5開拓村への足と護衛は、ブラックファングが用意してくれる」
「……分かりました。ただし無理はしないこと。
本来は英雄であるソージを、この状況で街の外に出したくはないですが、
万が一を考えると、半端な者を送り込むことも出来ません。
まあ、そこは僕が何とかしましょう」
シモンは悩んだ末、自分が第5開拓村に行くことを承諾した。
「良いのか、無理を言い出したのは自分だが、
流石に俺のせいで、シモンが失脚することは望まない」
このやり取りは、アンナの時もやったな。
よくもまあ、自分の様な身元不明の人間のために、面倒事を引き受ける気になるもんだ。
「別に構いませんよ。
今の役職に誇りも責任感もありますが、必要なら職を辞すことも覚悟をしています。
それに僕は一度も大司教補佐官、ひいては大司教になりたいと言ったことはないんですよ。
でも、何故か……皆が僕を……推薦するんです……」
そう言うと、シモンは頭を抱える。
「まあ、俺もクリストフ大司教の後は、シモンが継ぐのが良いと思う。
だから死なない程度に頑張ってくれ」
大司教を選ぶ際には、アウインの各司教の全会一致が必要だ。
つまり、自分も大司教を選ぶ権利を持っているのだ。
「はい、頑張ります……
それと、教会の聖騎士団は動かせませんが、
ソージだけに危険を負わせるつもりはありません。
……エリック」
「は!」
シモンに声をかけられたエリックは、立ち上がり右手を胸に当てる。
あ、嫌な予感。
「南部教会司教ソージと共に第5開拓村に赴き、邪教徒を調査せよ!」
「了解しました!」
「お前が来るのかよ!!」
こうして、なぜか異端審問官のエリックと第5開拓村に行くことになったのだ。