61話 現代知識
定期市から2日後、時刻は午前9時。
自分は南部教会内の物置を改造した作業場で、
1人実験をしていた。
右手の上に金貨を一枚置いて、親指に力を込める。
「裏よ、出ろ」
金貨を親指で弾くと、ピンッという金属の澄んだ音と共に、
コインは空中で回転する。
そして、落ちてくる金貨を手に取る。
「裏、かぁ……」
今やっているのは、先日のくじ引きで疑念を持った『運』に関する実験だ。
実験方法は単純なコイントスで、試行回数は1000回。
普通に考えるなら、『表』にしろ『裏』にしろ期待値は50%のはずである。
ではその結果はどうであったかと言うと、
まず、『表』が出るように念じながらコイントスを1000回。
その結果、『表』が出た確率は63.3%。
ただしこの結果だけでは、この金貨がたまたま表が出やすいだけという可能性があるため、
今度は裏が出るように念じつつ、再度1000回のコイントス。
その結果、『裏』が出た確率は61.5%。
2回の実験の結果を平均して、62.4%。
期待値50%に対して、62.4%。
この結果から自分が念じた方の目が出る……
つまり、自分の『運』に偏りがあると言えるのだろうか?
「偏りはある。だけどなぁ……」
試行回数は1000回と言っても、たかが1000回だ。
1000回程度ならこの程度の偏りは、稀によくある。
本気で確率の収束を導こうと思うなら、
10000回は試行回数を増やさないといけない。
「ただし、そこまでやったところでなぁ……」
仮にコイントスが60%になる程度の運があったとして、
それが実生活の何の役に立つというのか?
「せいぜい、カジノぐらいにしか使えない……」
まあ、もしもの場合の金蔓になるかもしれないが、
それでも勝率は60%……40%は敗ける。
長期的には利益は出るだろうが、短期的に見れば普通に敗けはある確率だ。
……だめだな。
これ以上の検証は掛かる手間に対して、利益が見合わない。
「あーもー……運とか面倒臭い……
運なんてそれこそ、神のみぞ知る、でいいだろうが……」
身の丈に合わない力なんて今さら悩んでも仕方が無いが、
使いこなせない力なんて持て余すだけで意味が無い。
しかし、力がある以上は、無視するわけにもいかない。
「くそ、運については一旦、保留。
……と、そろそろ時間か」
時刻は午前9時50分。
今日は、これから大事な仕事がある。
教会内の作業場から出て、同じ敷地内にある宿舎を目指す。
宿舎1階の奥にある食堂には、既に10名の人間が集まっていた。
この10名は、現在南部教会に避難している避難民である。
避難民の前に立ち、一礼する。
「お集まり頂き、ありがとうございます。
本日、皆様に集まって頂いた理由は、
私から皆さんにお仕事を依頼したいからです」
「ああ、ソージ殿の言う通り、避難民を集めたぜ。
それで、仕事ってのは何だ?」
この場の代表し、貧民街の代表であるギンさんが問いかける。
「皆さんには、これを作って貰いたいのです」
あらかじめ作っておいた縦、横1センチ、長さ5センチ程の長方形の木材を見せる。
「なんだこれは……判子か?」
「ええ、そうです」
その木材の片面には、鏡文字でひらがなの『あ』が刻んである。
インクを付けて紙に押せば、『あ』と写るだろう。
「普通、判子は家紋や家名、自分の名前だろ?
『あ』って何だよ?
さすがにそんな名前の人間は見たことも聞いた事も無いぜ?」
「ええ、それは名前ではありません。
他の判子も見てみてください」
「『あ』、『い』、『う』、『え』、『お』……何だ?
五十音を一文字ずつの判子にしているのか?
これで何をするって言うんだ?」
「これは、こう使います」
用意した木箱に、五十音が1文字ずつ刻まれた判子を、
とある組み合わせになるように並べていく。
長方形の判子は、ちょうど隙間無く箱の中に納まる。
詰め終わると、判子がずれない様にしっかりと固定。
最後にインクをつけて紙に押す。
『まーやきょうばんざい』
つまり、『マーヤ教万歳』と紙に写る。
「ああ、なるほど!
その判子を並べて、文章を作るって訳か?」
納得が言ったというように、ギンさんは感嘆する。
「そう、皆さんには活版印刷の『活字』……
つまり、この判子を作って頂きたいのです」
人類の3大発明……『火薬』、『羅針盤活』、『活版印刷』。
今回やるのは、この活版印刷だ。
原理は今見せた通り、一文字ずつ刻まれた判子……
正確には『活字』を並べることで文章を作る。
これによって最初に『活字』を並べる手間は掛かるが、
それさえ出来れば、後はインクを付けて判子のようにペタペタと押せば、
大量に文章を印刷することが出来る。
もし不要になった場合でも、ばらしてしまえば再利用出来るのだ。
元々、せっかく異世界に来たのだから、現代知識を活かして何かしようと思っていたが、
アンデッドスライム戦の後、手作業で同じ書類を何枚も書くのは面倒だったので、
活版印刷をやろうと思ったのだ。
この世界の本は、基本的に全て手作業で書き写す『写本』である。
その為、本の単価は高い。
だが、この活版印刷の技術が広まれば、今より安価に本を作ることが出来るようになるはずだ。
ただ、一見素晴らしい技術のように思える活版印刷にも欠点がある。
それは、1ページ分の文章を作るために、大量の活字を用意する必要があることだ。
実際、活版印刷が発明されたのは古代の中国であるが、
発展したのは中世ヨーロッパである。
なぜ中国で流行らなかったかといえば、中国が漢字文化であるのに対して、
ヨーロッパの文字がアルファベットであったからだ。
中国の漢字が何文字あるのかは知らないが、例えば日本の常用漢字で約2000字である。
それに比べてアルファベットは26文字しかないので、用意する活字は圧倒的に少なくて済む。
この問題は半角文字は1バイトしか使わないのに、全角文字は2バイト使ってしまうという、
メモリが少ない初期のコンピュータでも問題になったのだが……
まあ、それは今はいいだろう。
兎に角、活版印刷において、どんな文字を使うのかは重要だ。
では、この世界ではどうかと言うと何故か知らないが日本語を用いている。
その為、本来は活版印刷には向かないのだが、
使う文字を平仮名に限定すれば50音。
それでもアルファベットの約2倍だが……まあ、どうにか許容範囲だろう。
ちなみに活字は文字を彫る関係上、本当は曲線で構成されている平仮名よりも、
直線で構成されるカタカナの方が向いているのだが……
平民が主に使用しているのは平仮名なので、とりあえず平仮名を採用した。
「……という訳で、材料と彫刻刀はこちらで用意しましたので、
判子をまずは1文字につき、100個ずつ作ってみましょう。
期間は1ヶ月、日当は銀貨1枚です。
短い間ですが、宜しくお願いします」
銀貨1枚。大雑把に日本円にすると千円程度。
日当が千円とは安すぎないかと思ったが、
事前にギンさんと相談した結果、そうなった。
理由はギンさん曰く、「あまり多く渡すと、強奪目的で襲われるから」だそうだ。
ほんと、暴力で解決するのが一番だ、みたいな考えは止めてくれませんかねぇ……
そんな事を思いつつ、作業について説明を終了し、
避難民達はさっそく作業を開始した。
彼らは意外にも真面目に作業をしてくれてたが、
初めての作業であった為か、作業の速度は遅く、ミスも多い。
せっかく出来たとしても、文字の大きさがバラバラだ。
何というか、物凄いアマチュア感。
まだまだ練習が必要だ。
まあ、彼らばかりが悪いわけではない。
こちらも彼らに指導をしていたが、教える側も初めてなのだ。
自分の手際も正直言って悪かった。
改善点を考えつつ、彼らの作業を見守っていると、
まとめ役のギンさんが話しかけてくる。
「すまねぇな、ソージ殿。
わざわざ避難民達に仕事を作って貰ってよ。
本当なら職人に任せた方が良かっただろうに」
ギンさんは申し訳無さそうに一礼する。
「まあ、この活版印刷も流行るかどうか分かりませんので……
今はまだ、これで良いです」
避難民達の家はアンデッドスライムによって破壊されている。
この世界に住宅保険なんてあるわけないので、
彼らに対して、何の保証も補填もない。
とは言え、こちらも『ただ』で金をくれてやるわけにもいかない。
だから何か出来ることはないかとギンさんに相談された為、
調度良いので現代知識の実験を行うことにしたのだ。
確かにギンさんの言う通り、職人に頼んだ方が良い。
本来なら活字は木よりも硬い石や金属で作るほうが良いのだが、
避難民でも作れるように、加工のしやすい木材を使用している。
でも今はこれで良い。
ギンさんに言ったように、まだこの活版印刷がこの世界で受け入れられるか分からないのだ。
と言うのも、使う文字を平仮名に絞ったが、
平仮名だけの文章はとても読みにくい。
さらに、この街の識字率も正確には分からないが、50%あるかどうか……
だから、この街の人間が活版印刷を有難がるかは分からない。
だから、仮に失敗しても貧民街の住人にやらせた方が、
安価で済むし、彼らも仕事が出来るので良いのである。
そんな訳で貧民街の住人に作業をさせるのは良い。
それは良いのだが……
「……やっぱり変だよな」
この国は日本語を使用している。
よく異世界召喚ものでは、現地の言葉と日本語は違っていて、
魔法の力やテレパシーで日本と同じ感覚で会話が出来る、という設定はあるが、
この世界では正真正銘、使っている言語は日本語だ。
何故、この国は日本語を使用しているのか?
英語やアルファベットならまだ分かるが、
日本語は日本でしか使われていない、超マイナーな言語だ。
しかも、漢字に平仮名、カタカナと非常に複雑。
こんな言語が、偶然似る訳がない。
「……うん、絶対におかしいよな」
「……ん、何か言ったか?」
独り言に反応したギンさんに、何でも無いと言って誤魔化す。
「とにかく、やると決めたからにはやってみます。
こちらも手探りになりますが、ギンさんも避難民の取りまとめをお願いします」
「ああ、こちらもよろしく頼む」
疑問は残るが、頭を切り替える。
せっかくやるのだから、活版印刷の技術は是非とも流行らせたい。
現実世界の中世ヨーロッパで、最初に作られた活版印刷は聖書だったという。
この世界の宗教であるマーヤ教にも聖書はある。
ならば、受け入れられる下地はあるはずだ。
とりあえず、物が出来たらシモンに見せてみよう。
翌日、今日も教会の物置を改造した作業場で自分は実験を行っていた。
ただ昨日と違い、自分一人ではなくリゼットとアンナも作業場にいる。
彼女達には自分が異世界から来たことや、チートの事について一切話していない。
そのため、実験をやる時は基本的に、1人でこそこそやるのだが、
あまり隠し事をするのは気が引けるので、見せていい実験は見せるように心掛けていた。
今日、行う実験は先日の定期市で手に入れたマジックガンの修理である。
目の前の作業台の上には、3個のマジックガンが置かれている。
試しにトリガーを引いてみたが、どれも反応無し。
これを修理して撃てるようにしてみよう、というのが今回の目的である。
それでは、作業開始。
外装はただの筒の様に見えるソレを、ドワーフの職人に作って貰った工具で丁寧に外す。
マジックガンの中身は、半分が銃身で、もう半分は機械で出来ていた。
魔力を拡散させる為と思われるレンズに、
おそらく魔力を増幅するのに使う真空管のようなガラスの筒、
魔力を溜めておくためのバッテリーと思われる電池のような部品……
さらに、見覚えのある緑色の基盤……
その基盤には四角い『集積回路(IC)』や、
円柱状の『コンデンサ』、金属の線を巻いた『コイル』と思われる部品が付いている。
所々、配線が断線していたり、ガラスにヒビが入っていたり、
コンデンサが破損している部分はあるが、基盤そのものは無事のようだ。
元々、マジックガンは戦場で使うことを想定されているはずで、
部品の耐久性は高いはずなのだ。
「うん、外装はボロだが、中身はきれいだな。
これなら何とかなるかもしれない」
中身の様子を吟味していると、アンナが疑問を口にする。
「何だこれ?ソージはこれの仕組みが分かるのか?」
「いや、設計図も仕様書もないから分からないよ」
先程の予想はあくまで予想だ。
自分が大学に通っていた時に学んだ電気回路の知識から、
推測しただけに過ぎない。
「分からないって、じゃあ、どうやって直すんだよ」
呆れたように言うアンナに対して、返答する。
「今回やるのは『ニコイチ』や『部品取り』と言われる方法だ。
幸いなことに同じ物が3つあるから、それぞれ正常な部品を取り出して、
1つの正常な物に作り直す」
「ソージの言っていることは分かるけどよ……
仕組みも分からないのに出来るのかよ」
「新しく部品を作れって訳じゃないし、
故障している部品を他から交換するだけだから、パズルと同じだよ。
まあ出来るかどうかは、やってみないと何とも言えないけどね」
「ソージさんは、オートマトンのキカイ?は詳しいのですか?
私には、そもそも何が異常で、何が正しいか、分かりません……」
リゼットはマジックガンの中身を見ながら、疑問を口にする。
「いや、オートマトンの機械には全然詳しくないけど、
この手の機械の故障の原因はある程度見当が付く。
例えば、ヒューズやコンデンサがへたれているか、
配線が断線しているか、
または、ホコリやゴミが詰まっている。
あるいは、さび付いて動かない……
だから、これらの原因を排除してやれば、正常に動作するはずだ」
「???」
リゼットとアンナは不思議そうな顔をしており、
どうにも分かっていないようだ。
「まあ、見てろ。
たぶん、説明するよりも速い」
自分も1から説明するのは難しいので、説明を放棄して作業に移る。
ドワーフの職人に作って貰ったドライバーや、
火のフラグメントを利用した半田ごてを使って、
マジックガンから部品を外していく。
「あ、そうだ。
アンナ、これに魔力のチャージを頼む」
そう言って、見た目は電池のような円柱状の部品をアンナに渡す。
その円柱状の部品は、外枠がガラスで出来ており、
その中にフラグメントの粉末と思われる粉が詰められていた。
「何だこれ、フラグメントか?」
「どうやらそうらしい。
たぶん、このマジックガンは、このフラグメントに込められた魔力を動力として、
動いているんだと思う」
「ソージ……発言が『らしい』とか、『たぶん』とか、
『思う』って全部あやふやなんだけど。
大丈夫かこれ?爆発しないだろうな?」
「あ、そうか!
爆発する『かも』しれない」
その可能性は考えてなかった。危ない危ない。
「おいー!!
そんな不確かな物をアタシに持たせるな!!」
自分の言葉を聞いたリゼットは、さりげなくアンナから距離を取り、
そのアンナは手に持った部品を自分に向かって押し付けるが、
こちらも負けじと押し返す。
「大丈夫、マテリアルシールドとマジックシールドの魔法を使っておけば平気なはずだ」
「全然、大丈夫そうに聞こえないんだけど!」
「いやでも、この中で一番魔法がうまいのはアンナだから、
アンナにしか頼めないんだよ。
どうか、力を貸してくれないか」
「うう……その言い方はずるいぞ、くそー……
ああ、もう!やってやるよ!」
こちらの説得の甲斐もあり、アンナはいやそうな顔をしつつも、
バッテリーに魔力をチャージする。
アンナの作業を見守りつつも、マジックガンについて考える。
先程のやり取りにもあるように、マジックガンは電気ではなく魔力で動いているらしい。
うーん……魔力で動く機械って、ファンタジー……
果たして自分の電気回路の知識はどこまで役に立つのだろうか?
まあ、一応魔力と電気には共通点が無いわけではない。
魔力は鉄に対して流れにくいが、金や銀、宝石と言った貴金属にはよく流れる。
だから、この世界には本来は武器として使うことに適さない金や銀の武器がある訳で……
電気回路なんて『0』と『1』で正確に情報を処理するデジタル部分を除けば、
後のアナログ部分なんて電気さえ流れていれば、割と動いてくれる。
それと同じで、このマジックガンも中枢部分が壊れてたらどうしようもないが、
それ以外の部分は、魔力さえ流れていれば後はどうにでもなるはずだ。
そう予測を立て、他のマジックガンも同様に部品を分解していく。
それにしても……こうして機械をいじっていると、大学にいた頃を思い出す。
大学にいた頃は12月や4月になるとパソコンが大量に破棄されるから、
ゴミ捨て場から部品を拾ってきて、新しくパソコンを作っていた。
まあ、破棄されるだけあって古いパソコンが多く、
スペック面ではしょぼいのだが……
それでも元手はただである。
プログラムやサーバの勉強用に使ったり、
怪しい非合法ソフトを動かして遊ぶにはちょうど良かった。
そんな碌でもない思い出に浸りつつも、作業の手は休めない。
外した部品は、1つ1つ丁寧に汚れを拭き取る。
あとは、正常そうな部品を使って組み直し、
断線した配線を繋ぎ直す。
アンナからチャージが終わったバッテリーを取り付け、
最後に、外装部分を取り付ける。
マジックガンのステータスを確認すると、耐久値90%。
たぶん成功だ。
「よし、これで完成!
ね、簡単でしょ?」
「簡単じゃ、ないです……」
「簡単じゃねーよ!」
残念ながら、2人の同意は得られなかった。
気を取り直し、作業場から外に出る。
完成したマジックガンを即席で作った台座に固定し、トリガーに紐を括りつける。
そして、マジックガンから5メートル程離れた位置に、木で作った人間大の人形を置く。
前方、後方に人がいないことを確認し、
自分達にマテリアルシールドとマジックシールドの魔法を使用する。
その上で自分達は遮蔽物に身を隠し、用意した手鏡越しにマジックガンの様子を確認する。
「おい、ここまでやる必要はあるのか?
というか、ここまでやる必要があるのに、
ソージは普通に作業をしてたのか?」
「いや、まあ、爆発するかもしれないし、
部品単体と完成品では、危険度も違うはずだし……
念には念を入れておいて、損は無いだろう」
そもそも、このマジックガン……『MG-03S』はショットガンだ。
ショットガンは射程は短いが、放射状に無数の小さな弾をばら撒く危険な銃である。
狙って撃つような銃じゃないため、暴発した場合にどうなるか分からない。
「それでも、修理したからには試してみないとな。
よし、では行くぞ。
3、2、1、ファイア!」
トリガーに括りつけた紐を引っ張る。
マジックガンはキィーンという高い音が鳴ったと思った瞬間、
銃身から目にも留まらぬスピードで、パチンコ玉程の大きさの弾が発射される。
至近距離で無数の弾を受けた木の人形は、
文字通り蜂の巣の様に穴だらけになった。
「えっぐい威力だな……
これ、人間に当たったら確実にミンチだろ……」
「銃って、すごい……」
「ていうか、アレをさっきまで良く分からないまま弄ってたのかよ……」
「……今は反省している。
でも暴発はしなかったし、これで実際に使えることは確認できた。
あとは……装弾数は3発かな?」
アンナにチャージして貰ったバッテリーは、
撃つ前はフラグメントの粉末すべてが輝きを放っていたのに、
撃った後は容量の6割程度しか輝いていない。
おそらく合計で3発程度しか撃てないのだろう。
まあ、装弾数は少ないが、奥の手としては充分だ。
「よし、実験は終了だ」
いろいろあったが、今回の実験は楽しかった。
こんな風に邪教徒との戦いなんて考えずにすむ日が来ればいいと思う。
作者が大学で学んだことは、
極まったオタクというかギークは、ヤバイということです。
ソージは特殊な技能を持っているので大丈夫ですが、真似をしてはいけない。
なぜなら、私は小さい頃、壊れたテレビを解体しようとして感電したからです。
それはそれとして、
今回の話は、異世界転移の醍醐味である現代知識を使った話。
実際のところ、ファンタジー世界で活版印刷は流行るのだろうか?
私は流行る余地はあると思うが、どうだろう?
さて、今年最後の投稿は終了。
次話から3章が始まります。