58話 打ち上げ2
リゼットは小さく息を吸い込むと、意を決したように言葉を放つ。
「私は、ソージさんの為に、死ねます。
あなたは、ソージさんの為に、死ねますか?」
「……は?」
思わず間の抜けた声が出る。
リゼットは何を言ってるんだ?
口を開こうとしたところに、リゼットの指が自分の唇に当てられる。
どうやら、黙っていろ、と言うことらしい。
しかし、『自分のために死ねるか』とは何とも唐突な話……ではないのか、彼女の場合は。
リゼットに関して、自分は命を救った立場にある。
あの『エルフは災いをもたらす』と、信じて疑わないブルードの町に彼女を置いたままならば、
いつか彼女は彼らに殺されていただろう。
つまり自分はリゼットの命の恩人だから、逆に自分が死にそうになった時、
彼女には自分のために死ぬ覚悟がある、と言うことなのだろう。
確かに自分が逆の立場なら、同じような行動に出ると思うが、
それでも、彼女にはそんな風に自分の人生に縛られるような生き方をして欲しくない。
自分は彼女を奴隷としてではなく、妻として迎えたのだ。
自分のために死なねばならないなんて、それは奴隷の生き方だ。
とは言え、それが彼女の決めた生き方ならば、それはそれで尊重はする。
自分がしなければならないのは、彼女の生き方の否定ではなく、
別の生き方もあるという選択肢の提示だ。
結局のところ、生き方なんて自分で決めなければ意味が無いのだから。
リゼットに関して考えを纏めると、アンナの方に視線を向ける。
さて、リゼットには自分に対して命を掛けるだけの理由はあるが、
彼女に対してはどうだろうか?
一応、アンデッドスライムとの戦いでアンナを助けたが、
あの様な戦いで、仲間をフォローするのは当然のことだ。
恩に感じる事はあっても、一々命の恩人だなんて言ってたら、キリがない。
それ以外では、ビクトル氏の遺産で貸しがあると言えばあるが……
これもまた、彼女の命を対価とするようなものではない。
自分がした事と言えば、色々な人に話を聞いて回っただけで、
それに対して、大きな対価を払ったわけではない。
そもそも、遺産は既に彼女に譲渡したのだ。
だから、自分にはもう遺産に対する権利なんて無い。
仮にあったとしても、今更、見返りを求めるつもりはない。
はっきり言って、それは格好が悪すぎる。
つまり、アンナには自分に対して多少の恩はあるだろうが、
彼女が命を差し出す程ではない。
もし自分の妻になるためには、命を懸けると誓いを立てなければならないとしたら、
彼女は受け入れないだろう。
しかし……
「ッ!!
こ……!の……!!」
アンナは勢い良く立ち上がり、そのままテーブルに手を叩きつける。
彼女は何かを話そうとするが、うまく言葉が出ないらしい。
赤かった顔がさらに赤くなっていく。
そりゃ自分のために死ねと言ってるようなものだから、怒るのも当然だ。
だが、続く言葉は自分の予想とは違うものだった。
「……っ、ああ死んでやるよ!
それでいいんだろ!!」
叫ぶ様に口を開いたアンナに対して、リゼットは冷静に言い返す。
「……狂っているのでは、なかったのですか?」
「っああ、そうだよ!
アタシもリゼットと同じように、狂ったんだよ!!
くそ、これで文句はねぇだろ!!」
ぜぇ、ぜぇと息を荒げるアンナに対して、
リゼットは自分のほうを向くと口を開く。
「ソージさん、私は良いのではないかと、思います」
「えぇ……訳が分からんぞ……」
おかしいだろ、今の会話の流れ。
アンナが狂ってる?
何が?何で?
まったく意味は分からんが、これは恐らくミレーユさんがまた何かやったに違いない。
何をやったんだとミレーユさんの方に視線を向ける。
「あははは!!
すごいじゃない!
愛されているじゃない!!」
「愛、だと……
なぜそこで愛が出てくる?」
ミレーユさんは何が可笑しいのか分からないが、爆笑している。
まったく……狂っているやら、愛されているやら、意味が分からない。
これが文化の違いと言うやつなのか?
「フフ……愛なのよ。
それで、ソージはどうするの?
あなたの為に死ぬとまで言った女を捨てるの?」
ミレーユさんは尚も笑いながら、自分に対して問いかける。
リゼットとアンナも、自分の方に視線を向け、自分の言葉を待っている。
何が何やら分からないが、彼女達の間には、この流れに疑問はないらしい。
どうも自分が知らない間に彼女達だけで、何かしらのやりとりがあった様だった。
しかし、この流れは良くない。
このままでは、良く分からないまま自分とアンナの結婚が決まってしまう。
状況的にアンナと婚姻を結ぶことが最善だと言うのは理解しているし、
リゼットから気になる発言はあったものの、彼女も婚姻そのものは否定していない。
だからと言って、このまま結婚が決まってしまうのは納得が行かない。
「……ミレーユさん、ちょっと黙って下さい」
この既に外堀が埋まっていて、結婚を決めなければならない今の状況は、
リゼットと結婚を決めた時の状況と似ている。
あの決断はミレーユさんのお膳立てはあったが、自分で決めたことだ。
今更、何かを言うつもりはない。
しかしだ。
今回もリゼットの時と同じように、乗ってやる必要は無いのだ。
だったら、どうするか?
決まっている。
この場の空気を一度、リセットする。
「……なるほど、政略結婚が必要だと理解はしました。
だが、別にアンナじゃなくてもいいんだろ?
この中から、適当に選んでもいいんだよな?」
シモンから渡された紹介状から、適当に1枚引き抜く。
「お、金髪碧眼の美少女だ。これなんていいんじゃいか?」
紹介状を片手に、ひらひらと見せ付ける。
自分の言葉によって、場の空気が見事に凍りつく。
アンナと結婚しなければならない、という前提条件の破壊は成功したようだ。
「ッ!!
ソージさん、それは……!」
「彼らは、自分ではなく英雄と言うステータスを欲しているに過ぎない、だろう?
別に良いじゃないか。
政略結婚ってのは元来、そんなものだろう?」
シモンの言葉を遮り、口を開く。
まあ、実際にこの中から誰か選べと言われたら、アンナを選ぶ。
初対面の時にやられた仕打ちは今も忘れないが、
それでも、そうなった理由には納得しているし、
ビクトル氏からの遺言もある。
それに、彼女の魔法の才能は有用であるし、
面倒な家の付き合いがないことも魅力的だ。
アンナの事を愛しているかと言われると、愛してなどいないが、
これから愛していこうとする気はある。
では、アンナの側はどうだ?
「なあ、アンナ。
自分はビクトル氏の遺産を見つけ、それをアンナに譲渡した。
もし、それに負い目を持っているのなら、それは不要だ。
自分がそうしたいからしただけで、見返りを期待してやったわけじゃない。
だから、それを聞いた上で、アンナはなぜ自分と結婚しようと思ったんだ?」
アンナとリゼットとミレーユさんの間に何があったかは分からない。
それは後で聞きだすとしても、今重要なのは彼女が自分と婚姻を結ぼうと思った理由だ。
「……自分のためか?
それとも、教会のためか?
または、別の何かのためなのか?」
誰のために? 何のために?
リゼットの時もそうだった。
あの時、リゼットを見捨てると言う選択が出来なかったから、
リゼットを奴隷として買い、そして、彼女と結婚することを決めた。
でも、それはリゼットの為でもトマの為でもない。
自分が彼女を見捨てないと決めたからだ。
では、アンナはどうだ?
「あ、アタシは……」
もし、ここで教会のためだとか、シモンやミレーユに勧められたからでは、
今回の結婚は無しだ。
自分の英雄としての名声でも、高いレベルでも……
まあ、無いとは思うが自分の事が好きだからでも、何でもいい。
理由は何だっていいが、その理由がアンナ自身で決めたものでないと駄目だ。
アンナは一度小さく息を吸うと、意を決したように話す。
「……ソージは、アタシに逃げるなと言ってくれた。
アタシは散々迷って、周りに迷惑かけて……
迷走した挙句、アンデッドスライムと相打ちで死のうと思ってた。
もう一度やり直したいなんて、言ったのに……逃げようとしたんだ」
アンナは言葉に詰まりながらも、一言一言をしっかりと言葉にする。
「……ソージは言ったよな。
アンデッドスライムを倒すことは終わりではないと。
実際に、そうだったと思うよ。
未だに街は壊れたまま……本当に大変なのはこれからだと思う」
「……ああ、そうだな」
「だから……今度こそ本当にやり直したいと思う。
アタシは、ソージに命を救われた。
だから、アタシがソージの力になれるなら、アタシは何でもするよ」
そう言ったアンナの顔は真剣だった。
その表情からは、誰かにやらされたから、なんてものは見えない。
彼女の意志で決めたことなら、自分から言うことはない。
「そうか……分かった。
アンナ、これからよろしくな」
アンナに対して、右手を差し出す。
「う、うん、よろしく」
アンナは最初、戸惑っていたが自分の右手をしっかりと握り返した。
その顔には、気恥ずかしさと戸惑いはあるが、
それでも嫌な感じはしない。
前向きにやっていこうとする意思がある。
アンナとの初対面は最悪ではあったが、
これからはお互いうまいことやっていけそうだと思う。
「と、ところでさ……」
握手をしたまま、アンナはこちらの顔色を伺うように口を開く。
「ん?」
「初めて会った時に、その……
色々酷いことをしたけど……怒ってないの?」
「おう、奇遇だな。
自分もその時の事を考えていた。
……で、逆に質問するが、怒ってないとでも思っていたのか?」
握った手に、ギリギリと力を込める。
アンナがあの様な対応をした理由は理解するが、
だからと言って、あのような仕打ちをして良いわけがない。
アンナがこのまま何も言わないなら、水に流すつもりだったが、
彼女の方から突っ込んでくるなら容赦はしない。
「あ、あがががががが!!
手が、手が潰れる!!!」
「はぁ……今ので気が済んだからいいよ。
それに自分も部屋のドア壊したりしてるからな」
そう、どんな理由があっても、人の部屋のドアをぶち破って良い理由もまた無いのである。
まあ、それはお互い様と言うことで。
自分とアンナがそんなやり取りをしている横で、
シモンとミレーユさんは、ほっと胸を撫で下ろす。
「一時はどうなるかと思ったけど、何とか纏まって良かった。
うう、胃が痛い……」
「本当にね。
ソージは、アンナが教会のためって言ったら断るつもりだったんだろうけど、
もしアンナがそう答えたら、どうするつもりだったのよ?」
「そりゃ、この中から適当に選ぶんじゃないですかねぇ……
いくら政略結婚と言っても、本人の意思は重要でしょう?
少なくとも彼女達は、名声欲しさに表面上は友好的に接するでしょうし。
別に面従腹背は馴れてますので」
「やれやれね……
一応、言っておくけど、私達はあなたの事を思ってやっているのよ。
まあ、私も悪ノリが過ぎたとは思うけど……」
「シモンやミレーユさんが自分の事を思って行動してくれているのは、理解しています。
ただし、自分の事を思い通りに出来ると思われても困りますってことですよ。
……もちろん自分が胡散臭いというのも理解していますがね」
「ええ、そうね。
これからは気をつけるわ。
……で、シモン。アレはどするの」
アレという部分に不満をにじませ、ミレーユさんがシモンの方を見る。
「ミレーユ、まだ納得できませんか?」
「あったりまえでしょう!
ソージは冒険者ギルド側の神官だったのに、教会が持っていちゃうんだから!」
ミレーユさんとシモンの間で見えない火花が見える。
「ちょっと待て!
何だよ、アレって?
これ以上まだ何かあのかよ!」
ようやく、結婚の話が終わったと思ったのに、まだ何かあるのか?
シモンは自分の方に向き直ると、落ち着いた声で話し出した。
「はい、ソージはアンデッドスライムの撃破に多大な貢献をしました。
その功績が認められ、あなたを南部教会の司教に任命することが決まりました」
「……はい?南部教会の司教?」
南部教会の司教はアンナだ。
自分が南部教会の司教になるということは、
アンナが司教の役職から外されるということを意味する。
「って、ちょっと待て!
約束が違うだろうが、アンナの職務放棄については罰しないはずだっただろう!」
自分の言葉に対して、シモンは落ち着いてくださいと手を上げる。
「勘違いしないでください。
この任命については、アンナの職務放棄は関係ありません。
これはソージの功績を正当に評価した結果です」
「正当な……評価?」
「はい。アンデッドスライム戦の功績もですが……
被災者の救護や、異端審問官と共同で提案した身体検査、
南部地区の復興計画、そして六重聖域の発見。
いずれも素晴らしい働きでした。
教会はソージの活躍を高く評価しています」
「いや、確かにそうかもしれないが……
それは、アンナを蹴落として自分を司教に据えるほどのことなのか?」
「はい、そうなります。
改めて言いますが、アンナの降格については、職務放棄が理由ではありません。
しかし……彼女は南部教会の司教に就いてから、これまで職務放棄をしていたので……
言い難いことですが、南部教会司教としての実績が、『まったく』ありません」
つまり、直接的にはアンナの職務放棄を理由に彼女を降格したわけではないが、
その職務放棄によって、ぽっと出の自分よりも実績が無いのだと言う。
「ハハ……笑えよ、ソージ……」
アンナは自分から視線を逸らすと、自虐的な笑みを見せるが、
まったく笑えない。
「もちろんソージを英雄と称した以上、それに見合った地位を、
という思惑があるのは否定しませんが……
それがなくとも、ソージとアンナを比べた場合に、
敢えてアンナを司教の位に留める理由がありません」
「むむむ……」
これは困った。
先ほどの政略結婚については、やや後ろ暗いものを感じたが、
南部教会司教の話は、正当な評価の結果だ。
普通に考えれば、これは喜ぶべきものだろう。
ここが異世界だろうと日本だろうと、基本的に昇進は喜ばしいものだからだ。
だが、自分にとって、それは微妙なところである。。
司教の役職があれば、この世界での生活基盤を得るという目標については、
かなり盤石な形で達成できる。
自分も結構いい年齢である。
いつまでも冒険者稼業なんて出来ないのだから、今回の司教への就任は受けたほうが良い。
しかし、もう1つの目標である、なぜ自分がこの世界に来たのか原因を見つけるについては、
大きく遠のくことになる。
司教という1つの教会を任された人間が、
世界の調査で教会を空けるなんてことは許されないだろう。
メリットとデメリット。
あちらを取れば、こちらが立たず。
ならば、結局優先順位を付けて選ぶしかない。
それを考えると、やはり、この世界に来た理由が気になる。
分からないままにしておくのは、気持ちが悪い。
先程も考えたが、自分は今27歳。
プロスポーツ選手の引退年齢も、だいたいそれぐらいだったはずだ。
今のこの身体に衰えは微塵も感じないが、
いつまでも冒険者稼業はしていられないだろう。
ならば、身体が動く内に動くべきだ。
その結果として、デメリットとなるのは教会の役職だが……
前向きに考えるなら、既に必要な実績は確保しているとも考えられる。
ならば、後から取り返すことも出来るだろう。
やはり、このまま司教になるのは避けたい。
何とか妥協案を探るべく、悪あがきを開始する。
「……自分は記憶喪失です。
未だに神に対する祈りや儀式にも、戸惑っている状況です。
そんな半端な者を司教の地位に置くべきではありません」
「確かに、上に立つ者として礼節や、当然知っておくべき知識というものはあります。
その足りない部分は、アンナが補いますし、僕もミレーユも協力します。
それに、僕個人の意見としては、そのような礼節は些細なことだと思います。
神の使徒として、邪教徒に立ち向かっていく強い意志。
弱者に対して、率先して救済を行う慈愛の精神。
それこそが、最も重要な資質であると僕は思います」
自分の悪あがきは、あっさりとシモンに言い返される。
まったく……強い意志だの、慈愛の精神だの、ものは言いようだが、
彼の言葉は正論だ。
正論というのは強い。
なにせ正しいからだ。
元々、常識から外れた事を言っているのは自分の方なのだ。
自分の事情を正直に話すことが出来れば、シモンも納得してくれると思うが、
現状では話すつもりは無いし、話せない。
だが、それは同時に正論を言えないと言う事も意味している訳で……
……駄目だ。
これ以上の屁理屈を重ねても、要らぬ軋轢を生むだけだ。
「……南部教会司教の件、拝命致します。
ただし、自分は無くした記憶を探しています。
その記憶は、恐らく教会の中でじっとしているだけでは見つかりません」
「ふむ……それは困りましたね。
確かに、我々としてもソージが何者であるのかという疑問は解決しておきたい案件です。
しかし、司教として教会を空け続けることも困ります」
やはり、そうだよな。
それではアンナの職務放棄と変わらない。
「おい、二人共!
アタシの方を見ながら話をするな!!」
アンナからシモンに視線を戻して、話を続ける。
「そこで、冒険者としての活動を続けさせて欲しいのです」
「それは……」
「教会を空ける事になるのではないか、でしょう?
それは問題がないレベルだと考えています。
自分のレベルは70を超えます。
敢えて自分に回さなければならない仕事は滅多にないでしょう」
この世界では異変の解決は、まず冒険者が対応する。
教会や国が動くのは、冒険者では対処が不可能となった場合だ。
だから、冒険者ギルドに所属し続けていれば、自分がこの世界に来た原因について、
何か情報が入ってくるかもしれない。
その情報は、もしかしたら自分に頼まれないような、
小さな事件に隠されているのかもしれない。
だが、異世界転移がそんな小さな事件に収まるとは思えないし、
そんな小さな事件を全て網羅することなど不可能だ。
寧ろ、可能性としては自分が動かなければならないような大きな事件にこそ、
その情報が隠されている可能性があると思う。
「……分かりました。
その条件を認めましょう。
但し、冒険者ギルドの依頼で教会を空ける場合は、事前に僕に連絡をして下さい」
シモンは熟慮の末、自分の提案に頷いた。
「ええ、それで構いません」
「それでは、ソージにとっては重責かもしれませんが、
あなたならきっとやり遂げることが出来ると僕は思っています。
ソージ、改めてこれからよろしくお願いします」
シモンから差し出された手を握り、握手を交わす。
「よーし、じゃあ色々有ったけど、乾杯しましょう、乾杯。
ほらほら、皆グラスを手にとって……」
ミレーユさんの音頭で、それぞれがグラスに手を持つ。
まったく、ここに来てほんの30分程度で、自分の環境は大きく変わってしまった。
まあ、でも人生なんてそんなものだ。
自分の思い通りに行ったり、行かなかったり……
それでも、動き続けていれば多少はマシにすることが出来る。
リゼットとアンナの顔を見る。
自分の事情を知らない彼女達は、純粋に自分の南部教会司教の就任を祝ってくれる。
このまま自分の事情を話せないまま終わるのか?
この先、彼女達とうまくやっていけるのか?
それは分からない。
それでも、諦めずに足掻いていれば、案外何とかなるものだ。
だから、せめて気持ちぐらいは前向きに。
「じゃあ、行くよ。
ソージとアンナの結婚と、ソージの南部教会司教への就任を祝って……」
ミレーユさんの声にあわせて、グラスを掲げる。
「乾杯!!」
これにて、第2章終了です。
さて、ここで3点お知らせです。
1.本小説は4章で終わります。
当初は全7章の予定でしたが、自分の執筆スピードを考えた結果、
このままでは終わらんということで、
本筋に関らないエピソードを省略。全4章で行くことにしました。
と言うわけで、残りはあと2章。
ちょうど起承転結の「承」が終わったところです。
今回の2章によって、ソージの目的である生活基盤の確保は完了。
次の章からは、なぜソージがこの世界に来たのかの方に話の軸が移ります。
3章は、開拓村を中心とした話。
ただし、1章の幕間で行った第6開拓村ではなく、
既に失敗してしまった第5開拓村の話になります。
なぜ、前回の開拓はなぜ失敗したのか?
モンスターの襲撃?本当に?
と、またソージが色々と何とかする話になります。
2.ソージの一人称を変更
ソージの一人称を「自分」から「俺」に変更。
理由は書き難いから。例えば「自分で考えろ」なんて台詞は前後をみれば、
誰を指しているのかは分かりますが、ぱっと見ると私は混乱します。
特に、本作品はソージの一人称で思考垂れ流しなので、余計に書き難い。
30万字近く書いて今更何言ってんのって話なんですけどね……
・暦の導入。
これも理由は書き難いから。何月何日を入れると矛盾が発生しそうで明示してなかったのですが、その結果、アンデッドスライムを倒してから何日目、みたいな表記になり、余計に私が分かりにくいということに……
これも、今更何言ってんのという話ですが、そういう感じでお願いします。
以上です。
この変更によって、お話自体の内容に変更はありません。