第『十三話』 「松尾アフター」 [終]
なんと『十二』話が話数オーバーを叩きだしました。
ということから僅かな後日談をこうして『十三』話とします。
どちらかといえばBD/DVDで追加された後日談ショートエピソードを思い浮かべていただければいいと思います
それから数ヶ月が経った。
ヨコハマの土地、かつての自宅ではかつて通りの生活が存在する。
いや、正確にはかつてではないかもしれない。
「ナオツグ、塩を取ってもらえますか?」
「あいよ」
松尾とユイは台所に立っていた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん御飯まだ!?」
思わずキッチンに瞳を向け声をあげた、美優に松尾は苦笑する。
「まだだ、待ってろ」
「お腹すいたよー」
これがいつもの光景。
「お兄様、ご飯が炊き上がりました」
「ありがとうミユキ、よそっておいてくれ」
「わかりました」
ロボットのミユキもそこには住んでいる。
研究所から逃げてきた身である以上は、研究所がなくなった今では帰れる場所はなく、松尾の提案でヨコハマにやってきた。
松尾政勝の失踪にともない、かつての研究施設は無人とされた。
人間の記憶を移し替えるための設備や、ロボットの部品を組み立てるなどがすべて証拠を残さず破壊されており、データの収集は叶わなかった。
しかし思えば高知城とはこの国を治める王。が住んでいた場所のはずだった。
そのあとの親方様など率いて場内を探索したが、そこには王。の姿もなく、政勝が居ないことから無人の城となっていたという。
王の不在というよりも、存在しなかったのではという説などまことしやかに流れ始める。
誰かが演じる王だった、他の国による侵略の一歩では、それとも――今も王はどこかにいるのではないかとも言われている。
そしてホニさんたちの送受信施設の破壊は一時的なものだった。
立川を離れてしばらくしてから、ロボットらが再起動し、松尾達を各国へと届けるだけの時間のみしか稼げなかった。
ということから今も、王がいなくとも数字禁止法は続いており、今も連行される者が多いという。
「それじゃあ、いただきます」
いただきますと他の者が松尾に続く。
最終的に、高垣はオカヤマに、フィアちゃんはアオモリに、親方様とホニさんはウラフクオカへと戻った。
それからヨコハマでは松尾と、ユイと、美優とミユキの生活が続いている。
他とは交流がないわけではなく――
「ツグ、遊びにきたヨ!」
「ん」
食事を終えると玄関には高垣とホニさんが立っていた。
「ユイ、来た」
「フィアちゃん!」
更に後ろにはフィアちゃんもいたようで、こうして時折高垣らは遊びに来ることがある。
親方様による坑道の復活によって、行き来が大分しやすくなったという。
「最後に会ってから数日も経ってないのに……まあいいか」
時折といっても割と頻繁であり、その度にもてなすこととなり呆れる。
フィアちゃんと美優がじゃれ会っている中、松尾とユイが二人それらを眺める。
「まだ実感が沸かないんだよな」
「私もです」
あの戦いの末の平和、日常。
数日間の戦いが嘘だったかのように、生活は続いている。
「まあでも、あることは実感が沸いてきた」
「はい……?」
そのことをユイの耳打ちした。
「私は以前からです、遅いですよ」
「わ、悪かったよ」
松尾よりも背が低いユイはぽかぽかと松尾の胸を叩く。
松尾にとっても痛くも痒くもないのが微笑ましかった。
「好きだ、ユイ」
あまりにも自然に出た言葉なので松尾は内心驚いた、しかし――
「はい、愛しています。ナオツグっ」
こうして松尾と、そしてユイの物語は一旦幕を閉じるのであった。
* *
「どうした? わざわざ人気のないところに呼び出して」
「……ごめんね、おにいちゃん」
「いや、いいよ」
松尾は妹の美優に呼び出されていた。
家から少しだけ離れた場所で、人通りも殆どない場所だった。
「ずっと言いたかったの……ありがとう! お兄ちゃん、私を助けてくれて」
「ああ、そのことか。家族としたら当たり前のことをしたまでだ」
そう言うと少し松尾よりも背が低いユイを撫でてやると、気持ちよさそうに幸せそうに頭を揺らす。
「それでね、それと話しておきたいことがあるんだ」
「ん? なんだ」
美優は表情を引き締めて、真剣な顔で口を開いた。
「お兄ちゃん、あのね――」
ここまでお読みいただきありがとうございました。
妹を救い出す、物語のメインストーリーは描写し終えました。
改めてありがとうございました!
ここで、緊急告知!
続編・数字禁止法R
制作決定です!
この十三話の意味深な終わり方から続く形となりますが、あくまでもこのお話は十三話で終わりです。
作者の我ままによって実現してしまった延長戦ですので、数字禁止法Rをお読みいただくか、いただかないかは読者のご判断にお任せしたいと思います。
二つのエピソードからお話をお選び出来る様にする予定です。
二つのエピソードで結末などが変わります、どちらかをお読みいただくか、どちらとも読むかに関しても読者にお任せいたします。
作者自身の感想から言いますと、かなり蛇足といいますでしょうか、十三話で綺麗に終わってもう続きはいらないという方はそれで十分良いかと思います。
絶対読むなよ!というフリではありません、例え読んで気に食わない場合・つまらなかった場合・不愉快な場合などは活動報告や感想に書き殴っていただいて結構です。
それでは次話でお会いしましょう。




