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弓と剣  作者: 淳A
遠雷
457/490

閑職  オベルテ皇王庁執務官の話

 宙に舞うサリ様を見つめながら思う。 なぜ準大公がなさったというだけで誰も責めないのか。

 サリ様が喜んでいらっしゃる事は分かる。 だが同じ事を普通の準大公がなさったら即座に爵位剥奪か、そこまではいかなくとも養育権取り上げとなったはずだ。

 もっとも「普通の」を準大公の形容詞として使うのは正しいとは言い難い。 過去の準大公はほとんどが諡号。 つまり普通の準大公ならお亡くなりになっている訳で、爵位剥奪となるような事はしたくても出来ない。

 生きていらっしゃるだけで既に非凡。 そんな御方のする事を存在しない前例と比べても無意味。 とは思うが、サリ様を宙に投げるのはいくら何でもやり過ぎだろう?

 例とするのは畏れ多い事ながら皇王陛下でさえ何をしても許される訳ではない。 育児をなさらない陛下が、たかいたかいをなさるはずはないが、もしなさったとすれば相当な物議を醸したであろう。 後宮内での騒ぎでは収まらず、内乱となり、譲位を迫られる事さえあり得る。

 もしかしたら北では誰でもやる遊びで危険ではないのかもしれないが、これが安全ならあれも安全それも安全と安全の範囲が拡大されてしまう。 現に準大公が普段なさっている遊びはどれも後宮内では禁忌と指定されているものばかり。


 サリ様をお守りする護衛に危機感が全くなく傍観しているだけなのも問題だが、突然現れた部外者が毎日のようになさっている遊びを危険だと指摘したところで何の説得力もない。 これだけ見ても準大公の子育てが間違いだらけである事は火を見るより明らかで、看過すべき事ではないのに準大公だと不問になる。 それこそが問題なのだ。

 たかいたかいも不問とされるかどうかはまだ分からないが、過去数え切れない問題行動が全て不問にされた事を考えると、おそらく。 何しろ害獣として知らぬ者がいない猫又でさえ不問にされた。

 御本人は害獣と知らずに拾ったのだとか。 さもありなん。 しかし害獣と知った後も飼い続けているのはなぜなのか。 いくらサリ様には何の害もないとしても。

 私自身は猫又が実在の動物とは思っていなかった。 実在していたとしても本当に害獣であるのかを疑問視していたと思うが、皇王庁執務官のほとんどは大変迷信深い。 プリンタップ部長は去年まで神棚に猫又除けのお札を入れて拝んでいたし、テイソーザ長官は部長より更に猫又嫌いで知られ、普通の猫でさえ家内で飼う事をお許しになった事はない。 準大公といえども今度こそ年貢の納め時、と思ったのだが。

 ところが準大公が猫又を飼い始めていくらも経たない頃、腰のベルトに親指サイズの猫をぶら下げる事が流行った。 よくよく見るとしっぽが左右に分かれ、猫の頭の上でハートの形を作っている。


「ヒジューア。 何だ、それは」

「これか? お守りだ。 金運を向上させる」

「一体どこでそんな物を買った?」

「市販はされていない。 ダンホフ銀行で新規に口座を開くと貰えるのだ」

「新規口座? お前は昔からダンホフ銀行に口座を持っていたではないか」

「それがどうした。 私がどこに幾つ銀行口座を開こうとお前に迷惑が掛かる訳でもあるまい」

「ああ、掛かるね。 大いに。 お前が下らん物をぶら下げているせいで次期部長の席をふいにしたら、こちらにお鉢が回って来るという迷惑が」

「ふん、何を今更、往生際の悪い。 次期部長はお前で決まりだ。 現部長のベルトに何がぶら下がっているのか、少しは気に掛けるんだな」


 ヒジューアにそう言われて部長のベルトに視線を向けたら、なんと。 猫又の色違いがぶら下がっている。 改めて気を付けて見れば、ほとんどの同僚が猫又のお守りを持っていた。 腰にぶら下げてはいなくとも財布の中に入れていたり、服のポケットに入れていたり。 猫又を愛玩動物にした事を問題視しているのは私だけ。 害獣について熟知しているはずの皇王庁執務官でこれだ。

 スティバル祭祀長がこれは慶事の先触れとおっしゃったからでもあろうが、肝心の陛下が少しもお怒りではない。 お怒りどころか新年の公式の席では準大公をお側から片時も離さない御寵愛ぶり。 舞踏会では軽やかな足取りで準大公夫人と踊られた。 猫又は姿は見えなくとも準大公夫人のお側から片時も離れないという噂があるのに。


 春には竜鈴が鳴り、いつの間にか猫又は竜鈴鳴動の先触れであったと信じられている。 竜鈴が鳴った事は嬉しいし、城を揺るがす玉竜の呼応なら私もこの耳で聞いた。 準大公が青竜の騎士である事を疑った事はない。 だから、たかいたかいを許すのか?

 許すも許さぬも私にそのような権限はないのだが。 外戚部執務官の役目はこれこれこういうしきたりがあると外戚に指摘するだけだ。 しきたりに従わない外戚を叱責、或いは懲罰する権限もある事はあるが、準大公は私の上司の上司と同格で、叱責するには皇王庁長官の同意が要る。 その長官が準大公のお肩を嬉しそうに撫で回している現状では同意してもらえる見込みはまずないと言っていい。

 私から見れば諸悪の根源は準大公。 と言うか、あの御方が子育てに深く関わっている事が問題なのだ。 なぜ青竜の騎士ともあろう御方が子育てに関わる? 準大公は中級貴族の御出身だが下級貴族でさえ自ら子育てする事はない。

 ただ準大公が受けた教育は平民用小学校を卒業されたのみ。 成績表を見れば、秀、優、良、可、不可の五段階評価で体育が秀以外、どの科目も良という非常に特異なお育ちだ。 御本人が勉学に無関心なのは頷けるが、ヴィジャヤン伯爵家で小学校に通われたのは準大公だけと聞いている。


 御自分が受けた教育に関してどう思っていらっしゃるか、直接準大公に伺った事があった。

「あの学校で学べてよかったです。 自慢する訳じゃないけど、良を貰えたし。 いい先生にも出会えました。 特に一年生の時の先生には大変お世話になって。 今でも年賀状のやり取りをしています」


 どうやら初等教育しか受けていない事を恥とは思っていらっしゃらない。 因みに同学年の生徒の成績を探らせたら全員秀か優で、良は一人もいなかった。 勿論、可と不可もいない。 つまり準大公は同学年の最下位。

 公正な評価でありながら子供の気持ちを傷付けない、という意味では優れた学校なのかもしれないが。 だからと言ってこのまま放置し、準大公が学齢に達したサリ様を平民学校に通わせたらどうする。 あり得ないと笑えるか? 準大公の準大公たる所以を知っていれば。

 誰がサリ様を養育しようと「遊びが大切」と言ったはずはないし、サリ様が成人なさるまで問題らしい問題など一つも起こらなかったであろう。 とは言え、サリ様のお言葉、身体能力、共にお健やかでいらっしゃる。 それは大変喜ばしいのだが、お健やかでありさえすれば学習を疎かにしてヒャラを踊っていてもいいのか? 皇王妃陛下がヒャラを踊る機会など、ただの一度もあるとは思えないのに。

 サリ様を空に放り投げたに至っては、もし受け止め損ねたら? ここで危険か危険でないかを議論している場合なのか?


 なぜ頑として養育権を手放さないのか、それも私には理解出来ない。 貴族の子は親の都合で生まれ、死ぬ。 子を愛する貴族はいないと言うつもりはないが、子の安寧より家の存続と損得勘定が優先されるものなのだ。 それが分からぬ出自でもあるまい。

 確かに瑞兆をお手元で養育すれば箔が付く。 サリ様としても実父母を無下にするのは心情的に難しかろう。 とは思うが、皇王妃陛下であろうとしきたりを無視する事は難しい。 実父母であろうと臣下は臣下。 年に一回、新年の挨拶でお目通りするだけの関係となる。 特別扱いは新年の御挨拶の順番に現れるだけ。 それも一代限りで終わる。 養育期間が長ければ長い程年金の額が増額されるとか、領地が増える等の実益はない。

 なのに莫大な養育費が掛かる。 準皇王族をお育てするには警備や格式を調えねばならないから。 これはあまり世間に知られていないが、準大公が養育権を手放さない限り国庫からの援助はない。 皇王族の婚約者であろうと他家の子の養育費を陛下が払った前例がないのだ。

 但し、準大公家の場合莫大な養育費は払わずに済んでいる。 警備は北軍頼みで格式はあってなきが如し。 サリ様のお召し物は親戚からの贈り物。 お食事は準大公夫人の手作りという、何から何まで異例づくめ。 勿論、私から修正勧告は提出している。 全て私の上司である部長に握り潰されたが。

 それを知ってか知らずか、親戚から様々な援助があるようだ。 グゲンが北方伯領に製粉工場を新設したし、ダンホフが製塩運搬レール建設費用を融資した。 親戚ではなくともマッギニスは準大公家の防護壁を一夜にして建て、ミッドーは準大公夫人の実家がある村の郊外に製酒工場を建設中だ。 どれ一つを取っても相当な額の投資のはず。 なのに共同出資者として名を連ねる準大公が借金したとは聞いていない。


 準大公の養育権に関しては、当初執務官の多くが反対していた。 既に御多忙、そのうえ子育てが加わっては、と。 その反対意見はテイソーザ長官に握り潰された。 皇王庁長官は独自の判断でどう奏上するかを決定する権限がある。 執務官全員が反対しようと無視出来るのだ。 おまけに準大公が養育を望んでいらっしゃる事が知れ渡り、今では反対しているのは私しかいない。 様々な問題が起こった事は誰でも知っているのに。

 プリンタップ部長は準大公が六頭殺しの若と呼ばれていた頃からの大ファンだから養育権取り上げを勧告した所で無駄なのは分かっている。 報告書を書き直しさせられるのも面倒で、サリ様のお誕生日に関しては事実のみを列記した。 私見は挟んでいない。 ただ二歳は後宮のしきたりを学び始めても遅くはないお年。 御成長目覚ましく、意欲的に学ばれる事が予想される、と締め括った。

 それを提出した翌日、案の定と言うか、部長に呼び出された。


「オベルテ。 書き直せ」

「どこをでしょう?」

「報告書は事実を列記するのみに留めよ」

「そうしたつもりですが」

「サリ様の学習開始時期に関し、教師でもないお前の意見など誰も聞いておらん。 削除しろ」

「準大公がしきたりや儀礼の学習を後回しになさっていらっしゃるのは事実であり、私の意見ではありません。 準大公は学ぶ事を苦行と思っていらっしゃる。 サリ様がそう思わぬよう、今から学びに慣れて戴く事が肝要かと存じます」

「過去には皇王族のお目に留まり、妾妃として後宮入りなさった後で正妃に昇格した例もある。 後宮のしきたりを学んだのが成人後でも正妃のお役目を立派に果たされた。 そのような前例もあるのだから学習開始時期について焦る必要はない」

「その場合御実家でそれなりの教育を受けてお育ちになった点は見逃せません。 又、学ぶ側にお心構えもあった事でしょう。 しきたりを無視なさるような御両親に育てられた御方でしたら正妃に昇格する事はなかったと思われます」

「サリ様は大変お健やかで満二歳のお誕生日をお迎えになられた。 それだけでも大変喜ばしい。 細かい事はどうでもよいとは言わんが、現時点で御成長に憂慮すべき遅れはない。 数を十まで数えられ、臣下へのお声掛けまできちんとなさった。 これは同年齢の皇王族のどなたと比べても遜色のない賢さ。 儀礼教師は既に一人派遣されているし、同居している女性の法律顧問がサリ様の家庭教師も兼ねている。 後宮のしきたりに関しては追々教師を派遣すればよい」


 準大公のお考えが変わらない内はこちらから教師を何人派遣した所で無駄だ。 準大公はサリ様がお勉強の最中であろうと平気で遊びにお連れ出しになるだろう。 教師がそれを止める事は叶わない。 とは思ったが、言わずにおいた。 同じような事なら既に何度も進言し、全て却下されている。 準大公から養育権を取り上げる事に関して私は孤立無援と言っていい。

 確かに後宮のしきたりには必ずしも守る必要がないものもある。 建国以来千年以上の長きに渡って未だに守られているものもあるし、全てを学ばねばならないとは私も思わない。 だが何も知らずに育った御方が一朝一夕で覚えられる量でもないのだ。

 皇王妃陛下は御婚約成立以前からこの国のしきたりを一生懸命学ばれたと聞いている。 サリ様が後宮入りなさる時、学ぶ時間ならいくらでもあったにも拘らず全くしきたりを知らずにいらしたら皇王妃陛下がどう思われるか。

 それを部長に、いや、誰に言った所で杞憂と一笑に付されて終わるだろう。 確かに夫々御公務がおありになる。 お二方がお会いする機会は行事の時だけだ。 行事は何度もあるが、流れは既に決まっており、たとえ皇王妃陛下が意地悪をなさろうとしても簡単ではない。 元々世間一般の嫁姑の関係ではないし、力関係で比べたらサリ様の方が圧倒的に優位にお立ちでいらっしゃる。 後宮に仕える女官、下働き、警備兵の多くはサリ様の御親戚か、祖父が首領である派閥に所属している家の出身だから。

 とは言え、サリ様が準大公のように振る舞った場合、準大公のように許されるか。 それは中々難しいのでは。 それ程準大公への優遇は破格なのだ。


 今更蒸し返すのも興ざめながら、ロックと飛来した際、陛下を空から見下ろすという許し難い不敬があった。 そのうえお父上に向かって呼び掛けた。 ならばそのすぐ近くにいらした陛下のお姿も見えていたはず。 それが不問にされた事に驚いたが、今思えばあれはそれ以降の延々と続く不問を示唆していたとも言える。

 私から言わせれば不問にされるだけで充分な報賞。 それ以上の報賞は盗人に追い銭とまでは言わないが、必要とは思えない。 なのに叙爵。 そして叙爵式でのお礼奏上のお粗末さ。 あれを思い出すだけで背筋が凍る。 仮にも伯爵家の正嫡子。 知りませんでしたでは済まされないだろうに、済まされた。

 加えて婚約式での言い間違い。 私は叙爵取り消しを予想し、養父母の候補者を選び始めた。 ところが何のお咎めもなし。 どう考えてもおかしい。 届けられた外戚部用の写しを読むと、言い間違いが修正されている。 写し間違いなどあるはずがないが、公式文書の改竄はそれ以上にあり得ない事。 そのあり得ない事があったとすれば、かなり上からの指示があったのだ。 少なくとも書記の独断で改竄されたはずはない。

 事情を確かめようと何度も担当書記へ面会を申し込んだが門前払い。 仕方なく上司にお願いした。


「部長、尚書庁長官へ面会を申し込んで戴けませんか」

「オベルテ。 外戚部が閑職であった日々は過ぎ去った。 これからここは、特にお前は、城内でも屈指の激務となる。 他庁の仕事のあら探しなどしている場合か」

「お言葉ですが、公式記録の改竄は重罪。 書記が許可なく独断でした事とは思えません。 初回免除の特例か、或いは誰かのお指図か、知らずに済ませてよいものでしょうか。 私が事実を報告した所で同じ様な改竄命令が下されないとも限りません。 背後関係を知らねば私の仕事にも影響が出ると存じます」

「公式文書を信じられないならヴィジャヤン準公爵に聞くがよい」 

「実父の言う事なら公式記録より信ずるに足る、と?」

「公式文書を信じられないなら、と言ったはずだ。 信じられないのだろう?」

「そうは、申しませんが」

「難しく考えるな。 公式文書を信じろ。 誰に何を聞き回る必要がある。 それとも改竄があったと告発するつもりか」


 それは出来ない。 してもいいが、その場合告発者以外の証言が必要となる。 あの場にいらしたのは両陛下。 カイザー侍従長、トイフデナ女官長と護衛数名。 レージスタ式部卿、そして準大公の親戚。 いわゆる部外者は私だけで、部長は御遠慮なさった。 両陛下から叱責がない以上、証人となれるのは準大公の親戚しかいない。 親戚の誰に証言を頼んだ所で無駄なのは分かり切っている。

 けれど納得は出来なかった。 ヴィジャヤン準公爵のような狡猾な御方が改竄したのなら不思議には思わない。 私とて底が見えない穴の中に下りて行く程無謀でもないのだから。 しかし準大公はどこからどう見ても人を騙したり、裏から糸を引いたり、袖の下で片を付ける等をなさりそうな御方ではないのだ。

 これは噂から受けた印象ではない。 公式行事の後、出席者には行事記録を閲覧する権利がある。 それでいつお読みになりたいか、準大公に御都合をお伺いした。


「式次第の記録? へえ。 そんなものがあるんだ」

「城内での公式行事は全て一言一句漏らさず記録されております」

 私は一言一句を少々強めに申し上げた。 準大公の言い間違いも記録された事を暗に示唆する為に。 それにお気付きになった様子は少しもなかった。

「明日の朝十時以降でしたらいつでも結構です。 準大公の御都合は何時がよろしいでしょう?」

「あの、それ、必ず読まなきゃいけないんですか?」

「……皆様、お読みになります。 忘れない内にお読みになった方がよろしいのでは?」

「自分が何を言ったかなんてとっくに忘れ、あ。 いや、その、トビ、私の執事に、読んでもらおうかな。 私の執事はとても物覚えがいいんです。 練習の時私の口上を聞いていたから、明日どころか一年経っても覚えていますよ、きっと。 十年前に私がちょっと言い間違えた事まで覚えていたし。 ほんと、しつこいったらありゃしない。 いつになったら忘れてくれるんだか。 偶には主を見習って、」

「準大公。 公式記録の件ですが」

「え? そ、そう、でしたね」 

「読めるのは出席者本人に限られております」

「なら、いいです」


 あの御方が記録の改竄をお命じになったとは信じられない。 かと言って準大公の御命令でないなら誰が命じたのか。 奉公人と部下は世知に長け、人脈も豊富な者揃いだが、根回しの量を考えたら一人では無理だ。 実父は一大派閥の首領。 それでも本人の承諾を得ずに皇王庁、尚書庁、大審院を丸め込むのは簡単ではない。 出来たとしても派閥を総動員する事になるだろう。 多くの者が関与したら必ず誰かがどこかで何かを漏らす。 それでなくても世間はある事ない事面白おかしく脚色して噂するもの。 なのに今に至るまで一つの噂も流れていない。


 サリ様の誘拐未遂事件にしても準大公担当執務官である私に一言の報告もなかった。 準大公御本人は勿論、調査をしたはずの皇王庁、北軍のどこからも。 尚書庁に調査結果の閲覧を申し込んだが、いつまで待っても許可が下りない。 仕方なく自分で調査に行こうとしたら部長に却下された。

「解決済み事件の調査など無駄だ」

「いつどのように解決したのでしょう。 何があったのかさえ知らされていないのですが。 調査報告書を拝見させて下さい」

「私も読んではおらん。 全て機密事項だ。 解決したという事だけ上から聞いている」

 そのままうやむや。


 準大公に皇寵が下された時も事前は勿論、事後の連絡もない。 しかもそれを私に教えてくれたのは皇王庁専属弁当屋の配達人だ。 同僚に確認して事実だと知ったが、その後いつまで待っても準大公がお礼奏上にいらっしゃらない。 結局は単なる噂であったか、と疑った程。 ところがある日部長から呼び出され、信じられない知らせを受け取った。


「オベルテ。 エナ・マレーカの終身勤続が決まった」

 皇王族の乳母に関するしきたりは何百年も前から一度も変更されていない。

「すると準大公が皇寵をお使いになった?」

「う、む。 その、ようだな」

「準大公は未だにお礼奏上にいらしておりませんが」

「まあ、準大公も中々多忙な御方であるし」

「お礼奏上の前にお強請りとは。 しかもそのお強請りがしきたりの変更ではあまりに厚顔。 準大公へ指導書を出すべきかと存じます」

「北から皇都までは長旅。 サリ様の警備の御都合もあろう。 お気軽に御出発という訳にはいくまい」

「準大公には決して近いとは言えない自領へ足を運び、岩登りを披露するお暇ならあったようです。 皇太子殿下の舞踏会にも出席なさいました。

 舞踏会と言えば、そこで何やら問題を起こした御様子。 それについても様々な噂が飛び交っており、事実の確認が必要ではないでしょうか」

「事実がどうあろうと、それは皇太子殿下担当執務官の管轄だ。 あちらがこちらに伝えるかどうかはあちら次第。 確認したければ照会せよ」

「既に照会致しましたが、極秘事項というお返事で、何も教えては貰えませんでした」

「ではそれがこちらで知るべき事の全てだ。 外戚部は日和見が許される。 と言うか、外戚の処罰など誰もしたくない。 日和見するのが我々の仕事なのだ」

 そうは言っても果たしてここまで日和見をする事が許されるのか。 現実問題として噂しか知らない私に動きようはないのだが。


 ケルパ神社の檀家の件でも事前のお伺いはなかった。 申告せねばならない訳ではない。 準大公になるような家は既に神社の檀家になっているのが普通だから。

 勝手に選ぶなとは言わないが、有爵の家が選ぶとしたら普通は格式のある神社だ。 ケルパ神社の創立は古いようだが、トップが平民の僧侶では、いくら古かろうと格式の欠片もない。 自分で勝手に神社と呼んでいるようなものではないか。

 と思っていたら、スティバル祭祀長がケルパ神社に「別格」の称号を贈られた。 別格神社には納税の義務がないだけでなく、準神域として扱われ、尊ばれる。 皇国軍兵士でさえ祭祀庁の許可なく境内に乱入する事は許されない。

 それまで別格はテイソーザ大公家が筆頭檀家であるジーゲン神社しかなかった。 ジーゲン神社は皇王族が僧となって創立された由緒ある神社で、僧数は千を越え、僧侶は勿論檀家も全て貴族だ。 ケルパ神社も準大公が檀家となってから貴族の檀家が増えたようだが、それだけでは別格神社になるはずはない。 普通なら。 どうやらスティバル祭祀長がそれ程までに準大公に肩入れなさっている。 理由は私を含めて誰も知らないが。


 神域であった襲撃事件にしても私が知っているのは刺客が返り討ちにされたという噂だけ。 調査しようとはしたが、これも部長に止められた。

「必要ない。 祭祀庁が既に調査を終えている」

「ですが部長も御存知のように祭祀庁の文書は何であれ、神官か皇王族でなければ閲覧出来ません。 調査結果を教えてくれる神官の伝手もありませんし、このままでは何も調査しなかったも同然です。 場所は神域であろうと標的は外戚。 ならば外戚部が調査すべきでは?」

「準大公はその場にいらしただけで何もなさってはいないそうだ」

「狙われたのが準大公である事は間違いないのでしょう?」

「まあ、どうしても調べたいと言うなら準大公が先代陛下のお見送りにいらっしゃるとの事。 それに合わせてマーシュまで出張しろ。 タケオ大隊長も同行している。 個別に面談が出来るよう、ヒジューアも連れて行け」


 マーシュで御到着の船を見て、開いた口が塞がらなかった。 皇王庁に無断で御用船を乗り換えるなど聞いた事がない。 しかも乗り換えた先は今にも沈没しそうなぼろ船。 サリ様をこのような危ない目にあわせていいとでも思ってらっしゃるのか。 たとえ悪意はなかろうと余程の理由がなければ許されない。 そこで弁明は長くなると忖度し、お見送りが終わるのを待った事があだになった。

 お見送りの後、準大公はその日の内に御出発。 例の如く外戚部への事前の連絡等一つもなく。 お見送りに出席した弟から聞いた所によると、準大公は皇太子殿下からの直命により、ベルドケンプ島に住む愛玩動物を動かしに行ったらしい。


 ベルドケンプ島。 軍の機密事項だから私が詳細を知っている訳でもないが、オベルテ家にはしきたりがあり、代々子弟の誰か一人は必ず海軍に入隊する。 私の叔父はベルドケンプ島で死んだ。 葬式の時、大人達が何世紀にも渡り、少なくはない数の兵士がその島で遭難死したと囁いていたのを聞いている。

 ここ十数年ベルドケンプ島での海難事故はないらしいが、危険極まりない場所である事に変わりはなかろう。 目的地がベルドケンプ島と聞いた時には仰天した。 あの船で? しかもサリ様が御一緒。

 御無事でお帰りにはなった。 だからと言って問題なしとする訳にはいかない。 これに比べたら御用船乗り換えなど瑣末事。 犬が乗船を嫌がったという理由は私の理解の範疇を越えていたが。 それがなかったとしても準大公の死罪は確実。

 という私の予想は見事に外れ、処罰らしきものは今日に至るまで何もない。 大審院が審議した事は聞いているが、事情聴取記録は準大公の証言だけでなく、関係者の証言も全て機密扱い。 事情聴取官に面会を申し込んでも許可が下りず、何がどうなったのか全て噂でしか知らない。 準大公家の副業が漁業である事は北に観光に行ったヒジューアから土産話のついでに教えられた。


 ただ機密扱いの理由は推測出来る。 皇太子殿下の直命だったからだろう。 皇太子殿下が皇王庁に知らせず準大公へ命を下すとは穏当を欠く。 しかも準大公は現役の北軍大隊長。 なぜベルドケンプ島行きをお命じになったのか。 そしてなぜ事前に皇王庁に知らせなかったのか。

 皇王庁が阻止すると知っての独断だとしたら、これは陛下に対する背信行為であり、準大公より先に皇太子殿下を罰せねば理不尽となろう。 それにしては皇太子殿下の日常に変化があった様子はない。

 すると陛下からの密命? 御家族全員が海の藻屑となるかもしれないのに? それでも行かせる理由があるとしたら何だ?


 陛下のお胸の内はともかく、準大公から外戚部へ報告すべき事なら山ほどある。 御用船の乗り換え理由だけではない。 サリ様のお側を離れて沈没船の乗組員を救出するなど言語道断。 急いでお戻りになるならまだしも呑気にヒャラを踊りまくった。 それにサリ様のお姿を平民に晒す事もお控え下さるよう、何度も御注意申し上げている。 加えてマーシュを通り過ぎた時の大騒ぎとラーザンタ人との揉め事。

 なのに御報告はたったの一行。

「無事に自宅へ戻りました」

 分かりきった事を書くな、と叫んで準大公のお手紙を破りそうになるのを必死の思いで堪えた。


 私が部外者なら、短くて大変結構、と昼寝でもしていたが。 残念ながら私の仕事は準大公の尻拭い。 準大公が何かなさる度、上は陛下から下は関係各庁の誰彼に呼び出され、存じません、申し訳ございません、をオウムのように繰り返している。

 これも閑職を望んで外戚部を選んだ身の因果と言うものか。 しかし準大公がしきたりに従ってくれさえしたらここは以前のような閑職に戻るのだ。 皇国の英雄が従わねばならぬしきたりの数など知れている。 その数少ない一つが皇王族の安寧を脅かすべからず。 これのどこが難しい。 難しいなら養育権を手放せばよい。 そう思っている事を私は誰にも隠していない。 誰からも無視されているが。

 私とて波風を立てたい訳ではない。 準大公のヒャラの決めポーズから召し上がった漬物の種類に至るまで、噂なら嫌と言う程耳に入ってきたが、全て無視している。 すると世間から、外戚部は一体何をしている、と非難の雨嵐。 確かに何の対応もしていないが、それは何もさせて貰えないからだ。

 ここまで妨害されると、誰かが故意に私を蚊帳の外に置こうとしているとしか思えない。 一人や二人ではなく、数百、いや、数千。 もしかしたら数万の誰かが。

 そんな事を言えば私の被害妄想として片付けられるが、どう見ても準大公は皇王陛下より手厚く守られている。 瑞鳥を齎した英雄であり、青竜の騎士だ。 尊いとは思う。 しかしこれ程大切にされているところを見ると、何か世間に公表出来ない理由があるのでは、と疑いたくなる。 準大公のファンクラブメンバーでさえそう囁く者がいるらしい。 もっとも私はメンバーではないからこれもただの又聞きだが。


 因みに皇王庁内には準大公ファンクラブがいくつもある。 そのどれにも入会していないのは私だけだ。 勧誘はされたが、入会したら不問が減る訳でもあるまい、と言って断っている。 それは表向きの理由で。 本音は自分を偽るのが辛いのだ。

 猫又の時、死罪を予想したのは私だけではなかったが、誰もが準大公の御身を案じており、私のように英雄であろうと罪は罪、死罪にすべきと思っていた者は一人もいなかった。 そのような事を公言する者もいないだろうが、助命嘆願書には私以外の全執務官が署名していた。

 準大公担当は喜んで不問にする者がやればよい。 学習開始勧告でさえ削除させられ、私は退職を決意した。 私とてこの職でなければ準大公が何をなさろうと気にしなかっただろう。

 引き止められはしても退職願は受理されると思っていたら、プリンタップ部長に受け取りを拒絶された。

「これはテイソーザ長官へ持って行け。 私では受け取れん」


 実父に会いたくはないが、退職願を受理してもらえなければ辞めた事にならない。 出仕しようとすまいと給金が支払われ続ける。 それがどれ程不名誉な事か言うまでもない。 返金しようとしても受け取ってもらえないだろう。 要するに、不名誉を避けたいなら出仕しろと脅しているのだ。

 私を養子にした事で養父母は家の格を上げ、存続を確実にした。 それだけで充分な恩返しだが、世間体を気にする養父母が生きている間は顔に泥を塗るような真似はしたくない。 仕方なく長官に面会を申し込んだ。


 長官はかつて見た事がない程生気に溢れていらした。 明らかに上機嫌で、これなら退職願を受理してもらえるかもしれない。 ところが長官は私が机の上に置いた退職願に手を伸ばそうとなさらず、一見私の退職願とは何の関係もない事を語り始めた。

「建国の逸話には神話や伝説がかなりあるが、全てが世間に公表されている訳ではない。 その一つに青き御使いと呼ばれる言い伝えがあってな。 青き御使いが現れ、青く光る宝玉を宙に投げ、それを掴んだのが初代皇王陛下であった、とか。

 長い年月が過ぎ、皇王陛下でさえその伝説を信じなくなった頃、その宝玉はある日突然ベルドケンプ島へ向かって飛び去ったと伝えられている」

 ベルドケンプ島? では皇太子殿下の直命の目的はその失われた宝玉探し?


「以来、どの陛下も瘴気に悩まされるようになり、在位期間が際立って短くなった。 宝玉を取り戻そうと数多の兵がベルドケンプ島へ派遣されたが、全て上陸前に遭難。 準大公が少年の頃、水路を見つけてくれたおかげで上陸可能となったが」

「では海坊主は表向きの理由でしたか?」

「いや、島周辺に海坊主が現れ、再び上陸出来なくなったのだ。 但し、直命は海坊主を他所へ動かす事のみ。 先代陛下お見送りの際、準大公はベルドケンプ島に上陸していない。

 それとは何の関係もないかもしれんが。 去年の末、準大公が皇都へ向かう途中、青き御使いに出会った」

「それは。 確かに青き御使いで間違いないのでしょうか?」

「陛下、スティバル祭祀長と私は疑っていない。 青く光る宝玉が準大公の左手の中で溶けた事も。 準大公が陛下の瘴気を払った事がその証拠。 それはボルチョック筆頭御典医が検証した」

「陛下が御病気のようには見えませんでしたが」

「瘴気の詳細を知っているのは陛下、スティバル祭祀長、ボルチョック筆頭御典医、ヴィジャヤン筆頭御典医見習、そして私だけだ。 スティバル祭祀長以外の祭祀長、皇王妃陛下、皇太子殿下、瘴気を払った準大公でさえ詳しくは御存知ない。

 代々の陛下がどれ程のお苦しみに耐えていらしたか。 それを思うと準大公が齎した奇跡は数あれど、これ程尊きものは他にない。 惜しむらくはいつ何が原因で再び失われるか。 準大公のお次がいるのか、現時点では分かっておらん。

 スティバル祭祀長は、先を恐れ悩むより今手にした恩寵を尊び喜べ、とおっしゃった。 数百年の長きに渡って失われていた宝玉。 たとえ一時であろうと戻っただけでも天の恩寵。 永きを望むは強欲かもしれぬ」


 これが特別待遇の理由であったか。 それにしてもこのような機密事項をなぜ私に?

 私の無言の問いに長官がお答えになる。

「此の度、皇王庁内に準大公部を新設する事になった。 其方が部長に就任する。 部下にしたい者がいれば人事部に通達するがよい。 尚、私の後任は今の所未定だが、もし其方ではない場合、準大公部は準大公庁へと昇格し、其方の直属上司は皇王陛下となる。 その心づもりでいるように」

 青天の霹靂とは正にこの事。 辞めるどころか部長? そしていずれは陛下直属?


「勿体なきお言葉ではございますが、私は準大公に嫌われており、適任とは申せません。 私に会うというだけで準大公がどれ程緊張なさっていたか」

「私から見ると、準大公は其方を恐れてはいるが嫌ってはいない。 又、恐れられるくらいで丁度よい。 好かれる必要は全くない。 考えてもみよ。 準大公がした事を。 其方を恐れていなかったらどこまで暴走した事か。

 準大公に仕える者達は全員大変優秀だ。 主が恐れる程。 恐れている者が側にいて目を光らせていれば普通は萎縮し、何もせぬもの。 ところがあれは好き勝手をし放題。 結果として恩寵が齎された。 とは言え、しきたりでがんじがらめの城内であれも破った、これも無視したを続けていては嫉妬、羨望、中傷の的になろう。 それによって再び宝玉を失う事になっては悔やんでも悔やみきれん。

 宝玉を逃さず。 準大公を暴走させず。 周囲に疑念を抱かせず。 匙加減は難しい。 準大公から恐れられるくらいの者でなければやれぬ。 だが、エリュ。 やれるな? 其方なら」


 実父ではあっても長官が私をエリュと呼んだ事はかつてない。 公式でも非公式でも。 実を言うと、私は今まで誰からもエリュと呼ばれた事はなかった。 子供の頃でさえ養父母は私を次代と呼び、現在は当代だ。

 だからと言う訳ではないし、相手が誰であろうと嫌と言えない性格でもないのだが。 長官の口調に不思議な温かみを感じ、やれませんの一言が絞り出せない。


 暫し無言の後、ため息と共に申し上げた。

「準大公は裏庭に砂場をお作りになるのだとか」

「砂場? 馬場を作るのか?」

「いいえ、馬の訓練用ではなく、サリ様がお遊びになる為の砂場で。 ブランコと滑り台を設置なさるとの事」

「ブランコ? それは何か」

「調査した所、平民の学校や公園に設置されておりました。 このような遊具です」

 私は下手な絵を描き、簡単に説明した。

「ふむ。 それなら其方の家にも設置してはどうか」

「私の家、でございますか?」

「其方にも三人の子がいる。 一番下はサリ様と同い年。 子供達に使わせてみて喜ぶようなら不問にせよ」

 うんざりして思わず呟いた。

「あれも不問。 これも不問。 不問にするだけなら何も私でなくてもよいのでは」

「そうはいかん。 準大公ファンが不問にしたとなると猜疑の目が向けられよう」

「そうでしょうか」

「その点、其方が準大公を嫌っている事は皇王庁内では周知の事実」

「私は準大公の行動を問題視しているだけで、別にお人柄を嫌っている訳では」

「ともかく、其方なら世間は慎重な調査の結果、不問になったと思うだろう。 これがプリンタップでは盲判を押したと思われる」

 長官のお口元が微かに緩んだ。

「其方の希望は確か、閑職であったな。 何もかも不問で済むのであれば理想の閑職。 文句はあるまい」

 そうおっしゃりながら私の退職願を細かく裂き始める。


 まさか準大公のファンクラブに入会していない事を後悔する日が来ようとは。


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[良い点] 描写が丁寧で分かりやすく、権威には仕来たりや面倒が張り付いてがんじがらめなんだなぁ…と言うのが本当に濃厚ながらスッキリと喉ごしよく読めます [気になる点] 軍部なのに訓練や防衛 戦闘描写が…
[一言] 知っていることと知らないことで認識のずれもありますし、それぞれの常識に食い違いがあれば、リアルでも国や地域によって相いれないことも多いですから、常識的な貴族である職務に誠実なオベルテ執務官の…
[一言] あーあ、常識人のオベルテ皇王庁執務官を若担当に就任させるから苦労するはめに… いい加減な人や若の盲目的なファンの人だったらここまで悩まないだろうに。 師範、是非とも真面目で常識を持つが故に苦…
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