表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です  作者: ゆうき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/75

第六十九話 溜まりに溜まった鬱憤を

「なにこれ……眩しくて、目が開けていられない……!」


 絶体絶命のこの状況で、視界まで奪われてしまったら、本格的に成す術がないというのに、反射的に目を閉じてしまった。


 今度こそ、本当に破滅の未来が訪れてしまったのか? そう思ってもおかしくない状況だというのに、またしても私の体には、一切の痛みが感じられない。


「……これは……どうなっているの……?」


 再びゆっくりと目を開くと、そこでは私の体を貫く直前のところで、真っ黒な鋭い針が止まっていた。まるで、私の周りの時間が止まってしまったかのように、ピクリとも動かない。


「どうなっている? 貴様、何をした!?」


 お父様の動揺している様子からして、自分で魔法を止めたわけではなさそうだ。アルフレッドが何か出来るとも思えないし……そうなると、私の先程の光が?


「よくわからないけど……ふふっ、形勢は逆転したようですわね! さあ、覚悟しなさい!」


「一度防いだからって、勝ったと思うのは早計ではないか?」


 先程のとは比べ物にならないほどの魔法陣を描き、四方八方から私を攻撃してくるが、再び私の体から発せられた光が、針の動きが停止した。


 やっぱり、私に何かの力が目覚めて、お父様の攻撃を止めているんだ。これなら、この絶体絶命の危機を乗り越えられるどころか、勝利を掴み取れるわ!


「ちっ……何の力に目覚めたかは知らんが、今度こそ終わりだ!」


「無駄ですわよ!」


 何度やったって、結果は何も変わらない。ただ魔法が私に当たる直前に止まり、お父様の焦りを生み出しただけだった。


「どうしてワシの魔法が止められる!? その力は一体なんだ!?」


「自分のとっておきの切り札を、嬉々として相手に教える人間がどこにいると仰るの? 私のこの力を打ち破ることは出来ませんわ! 素直に投降しなさい!」


 すでに無駄だとわかっているはずなのに、お父様は何度も魔法を使い、私に止められるを繰り返す。その表情から、既に余裕が無くなっているのが見て取れた。


「あらあら、随分と必死ですこと。お得意の洗脳魔法で、私を好きに操ればよろしいのではありませんか?」


「くっ……!」


 散々言われたい放題だった仕返しと言わんばかりに、故郷を出る前の時のように、嫌味たっぷりな言葉を投げかけると、お父様は苦虫を噛み潰したような表情をしていた。


「そうですわよね、出来ませんわよね。お父様が洗脳する時は、いつも対象の相手の頭に触っている……それが出来ない今、私を洗脳することは不可能でしょう?」


 相手の魔法の手の内を知っているということが、私にとって大きすぎるアドバンテージになっている。仮に触らないで魔法をかけようとしても、その前に私の新しい力で、止めてしまえばいい。


「これでも、一応血の繋がりはありますゆえに、もう一度だけ通告いたします。投降なさい!」


「貴様の言うことなど、誰が聞くものか! この場では辛酸を舐めさせられても、次は必ず貴様に復讐をしてやる!」


「あら、いやですわお父様。次があるだなんて、本気で思っておりますの? もし本気だと仰るなら、お父様はとっても愉快な方ですわ」


 私は、逃げようとするお父様に新しい力を使うと、お父様はまるで石の様にその場で固まり、無防備な状態となっていた。


「くそっ、この魔法は直接使うこともできるのか!?」


 必死の形相で動こうとしても、魔法を使おうとしても、お父様の体はピクリとも反応しない。その間に、私は悠然とした歩みで、お父様の前までやってきた。


「お父様。私……あなた達に一度復讐をしましたが、あれでは満足できておりませんでした。それが、今ようやく果たされると思うと……体が高ぶって仕方ありませんの」


「や、やめろ……やめてくれ……ワシが悪かったから、命だけは……!」


「ふふ、ご安心なさって。この場で命なんて奪ったら、この先あなたにさらなる屈辱を与えられませんもの」


 あら、とりあえずこの場は生きられるとわかった途端に、お父様の表情に少しだけ安堵が見えているわね。


 確かに死ななければ、まだ逆転の一手が残るかもしれないが、そんな奇跡が、本当にあると思っているのだろうか。


「溜まりに溜まった鬱憤は、この場で晴らさないと気が済みませんわ」


 私は、腕を大きく振り上げて……お父様の顔面に、ビンタをお見舞いした。


 こんな暴力行為、淑女としてあるまじき行為なのは重々承知ではあるが、そんなのは関係ない。今まで散々やられた仕返しをしないと、私の全身を焦がす憤怒の炎は収まらない。


「は……はははっ! なんだ、そのひ弱な攻撃は? まるで虫に刺されたかのようだぞ? いや、それ以下であるな!」


 つい数十秒前は、国王とは思えないくらい、情けない命乞いをしていたというのに、急に強気になってきたわね。落ち込んだり盛り上がったり、忙しい人間だこと。


「それは甚だ遺憾ですわね。では……一度でダメなら、何度でもお見舞いして差し上げますわ!!」


 再び全力を込めたビンタを放つが、何度やってもお父様は眉一つ動かさない。


 ……でも、これでいい。これは、全て私の作戦なのだから。


「はぁ……はぁ……」


 興奮して疲れや痛みをあまり感じなくなっているが、さすがに何度もすると疲れてくる。両手もビリビリしすぎて、感覚が無くなってきた。


「散々大口をたたいておいて、もう終わりか。その生意気な口を聞く前に、少しでも体を鍛えておくべきだったな」


「でしたら、お父様はもう少し状況判断能力を鍛えるべきでしたわね。私が、なんの意味もなく、ただ殴っているとお思いで?」


「何が言いたい?」


「お父様がどう思っているかは存じませんが、私のこの力は止める力。それを使い、あなたが感じるはずの痛みを、全て止めておりました」


「痛みを……止める?」


「まだわからないのですか? あくまで止めていただけであって、痛みは消えたわけではありませんわ。私のひ弱な攻撃でも、何十発も殴られた痛みが襲ってきたら……どうなるのかしら?」


「なっ……や、やめろ!!」


 そこまで伝えてようやく理解したのか、お父様は目をカッと見開きながら、私へ制止を促すが、そんなことに耳を傾けるはずもなく――私は最後にかけた力を解除した。


「ぐおぉぉぉぉぉ!?!?」


 何十発も殴った痛みが、一瞬にしてお父様に襲い掛かる。いくら一発の威力が貧弱でも、たくさん積み重ねれば、相当な衝撃になるみたいだ。

 実際に、お父様は情けない悲鳴を上げながら、気を失ってしまっていた。


「ふふっ……ざまぁみなさい! やりましたわアルフレッド! ついにお父様……を……」


 ついいつもの様に、アルフレッドに声をかけながら振り返ると、そこにあったのは、変わり果てたアルフレッドの姿だった。


「……ああ、そうだ……アルフレッドは、もう……」


 お父様が倒れたからなのだろうか。それとも、改めて見たくない現実を突き付けられたからだろうか。私は、さっきまでの怒りなどすっかり忘れて、フラフラとした足取りで、アルフレッドの元に歩み寄った。


 先程よりも冷たくなったアルフレッドを前にしたら、自然と涙が溢れ、言いようのない喪失感に襲われた。


 確かに、私はお父様の悪事と食い止めて、多くの民を救った。でも……私は、この世界で一番愛する人を、目の前で失ってしまったんだ……。


「ぐすっ……アルフレッド……私、あなたがいなくなったら……生きていける自信がありませんわ……私、どうすればいいの……?」


 私の目から零れた大粒の涙が、アルフレッドの顔にぽたりと落ちた。すると、アルフレッドの体を、私を包み込んでいたのと同じ光が包み込んだ――

ここまで読んでいただきありがとうございました。


読んでいただいた方々に、お願いがございます。5秒もかからないので、ぜひ⭐︎による評価、ブックマークをよろしくお願いします!!!!


ブックマークは下側の【ブックマークに追加】から、評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタッチすることで出来ます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ