じゃじゃ馬役者とシャイな魔道士
「ところでリアさんの目標ってなんですか?決まったら聞かせてください!あたしもその時になったら変わるかもですし、その時のお楽しみということで!」
……見事に自己完結している。会話に体力を使わなくていいけれど…
「……それよりも、この村の人たちを操ってた元凶ってどこにいるの?」
ダメ元でアミニスに聞いてみる。この村にいたし、多少は知ってるかもしれない。
「さぁ?あたしもさっぱりなんですよ。この村に来た旅人をあぁやって殺してるのは聞いたことありますけど、元凶はお手上げですね!」
…いろいろと突っ込みたいところはある。けど…「…そんな諦めがよくていいんだ?」「えぇ!あたしはあくまで花形役者!世界の危機よりも演劇が優先です──」
「勇者パーティーに入ったのに?」
…アミニスの言葉を途中で遮る。
「偽物とは言え、勇者を騙るのなら善行をしないとね。なにせ、アミニスはわたしの仲間で、勇者パーティーの一員なんだから。」
また1本取れたかと思い、横目で見てみるが…
「いえいえ!確かに勇者はそういった人徳者であるべきですけれど、あたしはあくまで仲間!夢を目指してるだけですので!」
…会話が絶妙に通じてない気がする。しかもアミニス、妙に人懐っこい。
「……静かにしてくれないの…?」目を閉じ、集中しているディネリンド。
「あー、ごめんね?…ディネリンド、どう?元凶見つかりそう?」
ディネリンドが集中を解き、水を飲む。「全然。痕跡はあるんだけど、使い手は死んじゃったのかな…何と言うか、魔術に逆探知しようとしても、逆探知できないの。」
リアに説明するディネリンド、そんな2人の間にアミニスが顔を出して…
「ありゃ、そんなことも分かるんですねぇ!『人見知りの魔法使い』さん!」
「ヒッ…と、というかっ…な、なに…?その呼び方…」
どもりまくってる。これから仲間になるんだけど…まぁ、アミニスって距離感バグってる気もするよね。
「?『人見知りの魔法使い』のことですかね?でも…あたしは『花形役者』、リアさんは『ハリボテの勇者』、ってことはディネリンドさんにも二つ名が欲しいでしょう!」
「いらないから…!!」珍しくディネリンドが初対面の人に大きな声を出した。
「まぁまぁ…で、結局元凶は分からず終い…と。どうするのがいいんだ──」
背後で、轟音が響く。
「──っ…」3人が、その場から動けない。プレッシャーに気圧され、呼吸の仕方すら忘れる。
「…なんじゃあここは…?話と違うではないか!」
子供のような…それでいて、口調は年季の籠もった声がする。
「あら?おかしいわね…ここに飛ぶはずじゃあなかったのだけれど…」
もう一人は、お姉さん気質を感じる口調と声色。…一か八か、振り返る。
「何…コイツら…っ…!」狐の幼女と、サキュバスの女。目を凝らす。しっかりとよく見ると、テキストが浮かび上がって…
『種族:妖狐 個体名:玉藻前』
『種族:サキュバス 個体名:ルーマ』
『『Lv 200』』