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半魔の憧憬  作者: 雛咲かなで
第二章 もう一度
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憎悪と羨望

「死んで。私の親友。」

ディネリンドから生まれた氷の刃。そして、対抗してぶつかるリアの剣。


「ウィンドバースト」

ディネリンドの掌が腹部に触れ、大きく吹き飛ばされる。体勢を崩し、木々を薙ぎ倒し、ようやくブレーキ。


「うっ…」骨は、折れてない。脳が揺さぶられたから、思考の回りが少し遅い。

「リア。諦めてさっさと死んでよ。」

追いついてきたディネリンド、着地と同時、足の踏み込みから岩の棘がリアに向けて放たれる。

「っ、雷鳴刺突!」雷鳴刺突の踏み込みを活かし、一瞬で棘の攻撃範囲から離れる。

「答えてよディネリンド!なんで私をそんなに殺したいの!?」


「……決まってるよ。リアのことが、憎いから。私の持たない筋力があるから。魔力強化を何重にもして、ようやくリアと並べる筋力だから。……剣の才が、ないから。」


「……は?」剣の才がないから?筋力がないから?わたしのことが憎いから?


「いい加減に…してよ…」

羨ましい?そんなのわたしがずっと思ってる。


「じゃあずっと、わたしのことを殺したかったの?」

わたしの持たない魔力を持ってて。わたしの持たない魔法の才を持ってて。


「ずっとずっと、何年間も?」

わたしのことを信頼してたあの目が、何より支えだった。


「─リア。ずっとそう言ってるでしょ?ずっと、殺したくてたまらなかった。」


「リアを苦しめる魔族の力の本体を殺したかった。」

「私の先を行くリアが羨ましかった。」 

「憎悪を抱いて。魔族の力を殺したい思いと溶け込んで。」

「…リアを、殺したくなった。」

炎魔法が撃ち込まれる。業火がリアを包む。


「…ふざけんな。」

剣の一振りで、魔法を斬り裂く。

「私はディネリンドが羨ましかった。ディネリンドの魔法の才が羨ましい。ディネリンドの魔力が羨ましい。」

剣を鞘にしまう。

「人魔の軌跡。」

神経を研ぎ澄ます。

「嫉妬もした。少し妬んだ。でも、ただディネリンドはわたしの憧れだった。」

半身が黒く染まる。力が溢れる。

「今のディネリンドは、私の憧れじゃない。」


2人が向き合う。ディネリンドは氷の剣と杖を、リアは白い剣を構える。

「『勇者見習い』リア」

「『英雄(リア)殺し』ディネリンド」


どちらからともなく。同じタイミングで、リアはディネリンドに飛び込み、ディネリンドは後ろに飛び退く。

「雷鳴…」

「アイシクル…」

リアは最後の一歩を大きく踏み抜く。轟音を轟かせ、生まれゆく氷の棘を剣で貫いていく。

「刺突ッ!!」

「ニードル!!」


氷の棘が砕け散る。説得するため、殺害するため、お互いの思いを突き通すため。戦闘が、始まる。

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