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半魔の憧憬  作者: 雛咲かなで
第一章 憧れになれないモノ
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あなたがいるから

「…仲間、か。」

リアはまたその言葉を口に出し、反芻する。そして縁遠いものだと距離を置く。一連の流れを何回繰り返したか。


「迫害もなにもかも、受け止めるつもりではいるけど…一人ぼっちは、辛いなぁ。」

失ってから大切なものに気づくと言うけれど、今ならよく分かる。…親友と別れ、一人ぼっちでいるのは辛い。


わたしは何をしているのか…というと、夕方の草原に座りこんでいた。……いや、夕方の草原に、殺した魔物の死体の山の上に座り込んでいる。


「…剣も折れちゃったな。」倒した魔物と言えばスライム、ゴブリン、オーク…おかげでLvが10まで上がった。


「いたぞ!半魔だ!」

……運悪く、草原にいた衛兵に見つかる。……夕方…逢魔ヶ時、か。


「魔なる者が訪れる時間。逢魔ヶ時。……あなたにとっての、『魔なる者』は、わたしだったりして…ね。」衛兵の首元に手を這わせ、耳元で囁く。Lvはあちらが上なのだろうが…魔族の血のせいで身体能力が化け物じみている。


「…手を出さないのが賢明だよ。衛兵さん。」

衛兵を解放…わたしは走って逃げていく。


「──リア!!」……足が止まる。衛兵がいるかもしれないのに。援軍が来ているかもしれないのに。…例えそうだとしても、振り向きたくってしまった。


「…ディネリンド…」声が震える。あの時の顔が脳裏によぎり…つい、顔を背けてしまう。


「待ってよ…!リア!」

声を張り上げるディネリンド。私の身体が立ち止まろうとしてしまう。無理やり前に進ませながら、告げる。


「びっくりしたよね…ディネリンド…わたし、魔族の血を引いてるんだってさ。半魔なんだよ。わたし。」

リアは言葉をひとつひとつ、紡いでいく。ていねいに、ディネリンドの顔を見なくていいように。


「だから…?」

思わず振り返ってしまう。…ディネリンドの顔は、何かに怒っているような顔。リアが言葉を紡ごうとすると──


「半魔だったら、親友じゃないとかあるの…!?確かにびっくりしたし、あの時はちょっとだけ怖かった…でも…私のためにあんなに怒ってくれて…」


…リアの頬を雫が伝う。止めようとしても、止まらない。何度も拭って、泣きじゃくりながらリアは告げる。

「わたし、たち…まだ、親友で…いて、いいのかな…」


身体が、きつく抱きしめられる。いつも隣に立っていたはずなのに、その身体が、大きく見えてしまって。…リアはディネリンドの…親友の腕の中で、たっぷりと泣いた。



「──リア、立って。…マズいかも。」

ディネリンドの言葉に、立ち上がる。正面に見えるのは…オークの軍勢。


「あれって…オークだよね。おっきいのは…オークキング…?」

オーク。ゴブリンよりは知性があるものの、低能な存在。群れることはほぼない。

…オークキング。オークをまとめ上げる存在。虐殺大好きで、国とか町を進撃することもある。


「……ディネリンド、」「リア、今から王国に伝えに行ってきてくれる?私が時間は稼ぐから。」

一瞬躊躇う。けれど、ディネリンドを信頼して王国へ走る。「…死なないでね。」


「分かってるよ、リア。……さて、魔王軍…なのかな?」

ディネリンドが杖を構える。低いLvながらに桁外れの魔力で、どこまでカバーできるか。

「…リアが帰ってくるまで、絶対先には行かせない!…アイシクルランス!」無数の氷の槍が、オークたちを貫いて──

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