△ 求めるモノと抗うもの
──目を開く。…何もない。本当に何もない。ただ真っ白な空間。上下左右同じ。立っているのかどうかすら分からなくなっていくような空間だ。
「リアの精神世界…じゃ…ないよね。ここは…どこ?」辺りを見回すディネリンド。と、真っ白な空間に、ポツンと目立つ、小さな黒い球体が一つ。気になるので近づいていると…
『──リアを絶望させたもう一つの元凶を殺せるなんて、嬉しくて仕方ないからね。』
声が、した。
ディネリンド自身の声が。
ディネリンドが発したわけではない。
目の前の黒い球体から。
『殺せるよ。だって私は、『人見知りの魔法使─』
「待って!」身体が動いていた。黒い球体をどうにか掴もうと。ディネリンドの知らない、『ディネリンド』の声を知ろうと。
球体に伸ばした手。しかし、手は空を切って。
「……それは…"なに"?」ディネリンドは困惑の末、言葉を投げかける。あの球体がさっき発した言葉。
後者に記憶はないが、前者は覚えている。…ついさっき、リアの精神世界に入り、魔物の血を調伏できると聞いたときの、ディネリンド自身の感情そのもの。
「なんなの…それは…!」手を伸ばし、球体を掴もうとして。…球体も、ディネリンドの身体も、全て白蛇に丸呑みにされて。
「…こんなとこにいたのか。なんでオレ様がこんなこと…ニンゲン如きが仲間を作って…妬ましい。」
ぺっ、と吐き出されるディネリンド。床を転がり、目を覚ませばそこは白黒の世界。さっきまでいた真っ白な世界とは違う。
「え…!?ディネリンド!?」起き上がり、驚いている声の主を見る。
「あ…リア!?」横にいるのはそう、リア。剣を構えているのだが…姿はだいぶボロボロで。
「今、どういう状況?」立ち上がり、横に並んで杖を構えるディネリンド。
「アイツ…レヴィアタンが、わたしの魔物の血の存在?概念?…みたいな、偽物のリアを食べちゃった。…だから、予定変更でレヴィアタンを調伏する。」
「ニンゲン。簡単に言うが、オレ様に一撃でも浴びせられたか?ざっと…100は死んだだろう?」
レヴィアタンの発言…100は死んだという発言から、なんとなく理解する。ここでは死んでも死なない。精神世界なので、死ねば心が死にそうなものだが、諦めなければ死なないようだ。ディネリンドの目的は一つ。…あの黒い球体を取り返す。
「攻撃を当てられてはないけど…負けないよ、だってわたしの親友がいるんだもん。」
リアの言葉と同時に、戦闘を開始する。




