魔物と機械と人間と
──アミニスと別れて数日。歩き続け、森の中のサキュバスの村へ到着して。…リアとディネリンドの2人は、茂みに隠れて入り口の門を観察していた。
「……ディネリンド、こんな村地図にあったっけ?」
後ろで地図を広げるディネリンドに問いかけるリア。ディネリンドも不思議そうにしていて…
「ううん、地図には乗ってないかな…それと、門番に角と尻尾が生えてるんだよね。いわゆるサキュバス。」
2人で分析しても、どういう村なのか分からない。ならばとリアは立ち上がり、茂みを突き進んで門の前へ。
「ぇ、ちょ、リア!?」
「…敵対するなら戦うし、中立ならわたしも中立だよ。ちょっと交渉してくるだけ。」
門番に話しかけるリアと、それを遠くから見守るディネリンド。しばらくしてディネリンドのもとにリアが帰ってきて…
「相手は危害を加えるつもりはないって。それに、先にもう人間が入ってるらしいよ。わたしたちも入れるから、行こう?」
「…信じて大丈夫なの?魔物だよ?」
説得するリアと、拒むディネリンド。
「魔物も同じだよ。怖いだろうけど、信じてる。ここの長と話せば何か情報が手に入るかもだし。…行こ?」手を引き、村へと連れて行って。そして村の門をくぐると…
「サァサァイラッシャイ!ミンナダイスキナ『マジックショー』ノ時間ダヨ!ボク達ノショー!ゼヒ楽シンデ行ッテネ!」
「行ってねー!」
そこにいたのは…両手からクラッカーのように音を鳴らしているロボットと、綺麗な金髪を腰まで伸ばした少女。見たところ同い年で、白衣を着ている。ロボットも同じように白衣を着ているが…ロボットの顔は人型ではなくて。
「あっ!そこのおねーさん!参加する?皆でやったらぜーったい楽しいっしょ!ね!ね!」
「ひっ…わ、私はいい…です…!リア、早く行こ…!」ディネリンドの苦手な人種、所謂陽キャに当てはまる少女だ。
「わたしたち、先を急いでて。ごめんなさい。」軽く一礼し、立ち去る。目指すは村長のもとへ。
「…はぁ、はぁ…旅してて、普通に話せはするようになったけど…ああいう人とか、たくさんの人の前に立つのはまだ苦手だな…」
「まぁ、ね。…で、あなたが村の長?」目の前にいるサキュバス。分析しようと目を凝らし…
「……あれ?」分析できない。というよりおかしかった。ずっと見えていたLvアップの表示もなくなっている。生まれつき見えていたそれが見えなくなっている。
「えぇ、私がこの村の長をしています。サキュバスクイーンという種族です。」わたしの驚きも知らずに話しはじめるサキュバスクイーン。わたしは上の空になりながら、目を凝らして見えないか確かめる。
「…というわけなのですが、どうしますか?旅の勇者殿。」
「…ぁ、え?」何も聞いてなかった。サキュバスクイーンが会話を終えたようだが、何を言っていたのだろうか。と、ディネリンドが耳打ちしてくれて。
「魔物の血を抑え込む特訓、手伝ってくれるんだって。…やる?」
「あ、っと…やります!」
こうして違和感を覚えながらも、わたしは言われるがまま特訓の準備をして。ディネリンドも手を繋いでいるが…
「手を繋いでたら、精神世界みたいなものに入れるみたいだから。サポート役だよ。」
2人で手をつなぎ、サキュバスクイーンに身を任せ……




