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半魔の憧憬  作者: 雛咲かなで
第二章 もう一度
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手を取り合って

村への道でいくつか敵を倒し、レベルが多少上がった。この辺りの敵は弱くて助かる、なんて会話をしていると…


「……ここが、カーナ村?」


村についたわたしたちは、驚きを隠せない。なにせ、村がとても騒がしい。活気に溢れすぎている。


「…カーナ村であってる…とは思うけど…これは、私には辛い……かも…」


隣にいるディネリンドには辛いようだ。とりあえず、村へと入るため門番に話しかけると…


「こんにちは、旅人かい?…あぁ、驚いたよね。ここは演劇が盛んでね、そこかしこで演劇をしているから、見ていくといいよ。」

「へぇ…わかりました、ありがとうございます。」

楽しそうに語る門番さん。

わたしたちはお礼を言って門をくぐる。


門をくぐると…活気あふれる村が目の前に広がる。

子どもたちが村を駆けまわり、大人は畑仕事や牧場で働いている。

しかし普通の村と違うのは、そこかしこに大少様々なステージがあり、そこで自由に演劇をしているようだ。


と、そんなわたしたちに男が声をかけてくる。


「やぁ、旅のお方!カーナ村は初めてかな?ここはカーナ村!演劇の村とも呼ばれているんだ!チェックインするなら向かいの宿を!武器が欲しいならそこの通りを左に!」


突然声をかけられ、わたしたちは驚いてしまい…


「ひっ…!?な、なんですか…!?」


ディネリンドが驚き、男に質問するが…


「…おっと、驚かせたか?悪いね、俺たちみんな村人を演じててね!怖がらせたならすまない!」


……カーナ村で別の『村』を演じている様子…でも子供は無邪気に遊んでいるし、演じるのは任意なのだろう。



それから何日か村を見て回って気づいたこと。わたしたちにも演じているけれど、2回目の質問や、困惑していたら素に戻って答えてくれる。

それと、仲間になってくれそうな人はいない。悲しい。


「…リア…あれ…」

ディネリンドが私のローブを引っ張って呼ぶ。…人の食事…残飯、というやつだろうか。を村の奥へ運ぶ村人を見かけて。気になって跡をつけてみると…村人の警備している祠があって。


「あの中…誰かいるのかな?どう思う?ディネリンド。」

「たぶん…いる、かな…?魔力感知しようとしてるけど、妨害されて引っかからない…」


中にいい感じの仲間がいる気がする。直感だけれど。しかし見張りが厄介だ。…ならば。

「ディネリンド。お願い。」

「嫌…だって、そんなのバレたら終わりだし…」

「お願いっ!ね!」

「…う……ごめんなさい…!」

風魔法で砂埃を巻き上げ、見張りの目をくらませる。その間に2人で侵入し…地下へ降りていく。


「──おや!これはこれは初めまして!あたしに何か用ですか?それともこちらの方に用ですか?」


目の前に広がるのは鉄格子でできた牢屋、曲げられた鉄格子の外側に立つ、青い着物を着た少女。そして少女に首を絞められる村人。


「やめ──」

ディネリンドが声をかけ、私が腕を掴んで止める。が、少し遅かったのか、村人はだらりと力尽き…


「……殺したの?」

わたしは少女に問いかける。少女は村人の置いたであろう残飯を取り、中の小さな薬包を見せつけて言った。


「これですよ、これ!毒です!あたしを抹殺するための毒ですよ!どうして殺そうとしたかは分かりませんが、正当防衛です!」

…狂ってる。なんとなく、理解した。この少女は狂っていて、わたしたちはここに来るべきではなかったと。

「──っ!リア…!見張りが来ちゃう…!」

わたしの手を握るディネリンド。一瞬でこれからすることを理解し、少女に手を伸ばしたわたし。

少女がわたしの手を取ると同時、力いっぱい引き寄せて口を塞ぐ。


「───」


光魔法の応用、光の屈折で姿を隠す。闇魔法のミラージュで少女と村人の幻覚を作ったようだが…騙せるのも少しだけだろう。急いで村を立ち去り…



「はぁ…!はぁ…!っぶな…ちょっと、喋ろうとするのやめて!バレるかと思ったじゃん!」

村からかなり離れた後、少女にキレながら王都へ歩みを進める。

「いやはや!久方ぶりに外に出たもので、ついはっちゃけちゃいまして!それと、自己紹介がまだでしたね!あたしの名前はアミニス!この世界の『花形役者』です!」


「ぅ…私、アミニスさん苦手…」

「大丈夫、たぶん初対面でアミニスと仲良く出来るのは一握りくらいだから…」

2人で寄ってコソコソ相談。したものの、おそらくアミニスは強い。わたしの魔物の血なのか本能なのかなんなのか、分からないけれどそんな気がする。


「──ねぇ、アミニス。…わたしたちの仲間に──」

「おや?おやおや?おやおやおや?アレはまさか?」

話を無視して王都の方に目を凝らすアミニス。つられて見てみると、ぼんやりとだが、数体のオークの背が見えて。


「はっはぁ!アレがオークと言うやつですね!アレって倒していいですか?いいですよね!行ってきます!」

「ちょ、えっ!?」突然オークへ走り出したアミニス。仕方なくわたしも走り出し…

「──ちょ、リア…!私、置いてかないで…!?」

嬉々としてオークへ向かうアミニス、そんなアミニスを追うわたし、そしてわたしとアミニスに追いつくため、身体強化で必死に走っているディネリンド。


しかしそんなわたしとディネリンドは、進んでいるうちに…

「…おかしいよね、これ。」見える範囲のオークの背が次第に増えてゆく。数体だけだったはずが、無数のオークが行軍していて。


「はっはぁ!これは好都合!片っ端から──」

「アミニス!!」

有無を言わさずアミニスの背を掴む。そして上に跳躍し…

「ディネリンド!お願い!!」

「っ…もう!死んでも知らない、からね…!ウィングキャノン…!」

風魔法で、思い切り空気が砲弾のように、ディネリンドの正面、斜め上に放出されて。わたしたちに直撃し、思い切り吹っ飛んで…


「──あららららら!?なんですこれ!?あたし戦いたいんですけど!」

騒ぐアミニスを横目に目視で必死に敵を確認。無数のオークに中央を陣取るオークキング。そして、関わってまだすぐだけれど…アミニスの性格からして──

「あのデカいのを倒したいなら、わたしの仲間になって!そうしたら作戦を伝えるから!断るなら、わたしがあのデカいのを仕留める!」

今言うことではないかもしれない。それでも、アミニスの性格からして、交渉する最高のタイミングではないにせよ、最短のチャンスは今だ。


「…はっはぁ!交渉にしては乱暴ですねぇ!ですがそれも面白い!いいでしょう!あなたたちならあたしを楽しませてくれそうです!これもお告げの通り!さぁ早速作戦を──」

「─わたしが取り巻きは相手する、アミニスはオークキングを相手して!」

作戦と呼ぶには些か乱暴で大雑把な考え。それでも、なぜかアミニスには一対一の舞台が似合うと思ってしまって──


「…えぇ!了解ですよ!!この『花形役者』アミニス!しっかりとこの舞台!楽しませてもらいましょうか!!」

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