半魔に裁きを
──ディネリンドと一緒なら、きっと大丈夫だろうという安心感があった。…けれど…
「うむ…被告人、リアとディネリンドに判決を言い渡す!被告人、リアとディネリンドは…」
なんともまぁ、回避しようのない裁きがわたしたちを迎えようとしていた。
話は数十分前に遡る。わたしたちは馬車に揺られ、王都に到着した。裁判の用意だとかで牢獄に入れられたのだが、そこでようやくディネリンドと話ができた。
「……ごめん、ディネリンド…」
「一言目で謝るのもどうかと思うよ…?というか、なんで私たち…リアが半魔だって知ってたのに、エクスカリバーを抜こうなんて思ったんだろ…?」
そう。その疑問である。悔しいがわたしは半魔。そしてその事実はディネリンドも知っている。…なのに、なんでわたしたちはわざわざ魔を祓う勇者の剣に向かったのか。
「考えても分かんない。頭のいいディネリンドなら行ける?」
「……ううん、全然…」
縛られながらそんな会話をしていると、衛兵がやってきて無言でわたしたちを運んでいく。…どこへ行くのか、なんて分かりきっている。
そして…裁判が始まった。ほぼ魔女裁判だったけれど。
もちろんわたしたちに弁護人なんていない。わたしたちも許可なく発言は禁止されている。つまり…
「──とのことであり、わが国のために彼女らを即刻処刑することが最善と思われます。」
「わが国の領土にいる魔物は万死!彼女も人の皮を被っただけの魔物!連れである魔法使いも魔物かと!国王様!」
最終決定は国王様。この国の国王様は昔凄かったらしいけれど、今は年なのか白髪にしわがれた肌。それでも顔には凛々しさがある。
「ふむ…被告人、リアとディネリンドに判決を言い渡す!被告人、リアとディネリンドは…」
話がズレたけれど、わたしは我慢できなかった。
「──ねぇ!」
好き勝手言われてプッツン来た。ディネリンドはわたしの悪口を言われたり処刑とか言われるたびに顔をしかめてたけど、人見知りだし声を出してなかった。……でもわたしは違うからね?
「わたしは確かに魔物の血を引いてるかもしれないけど──」
「許可なく発言するのは禁じられているぞ!!」
衛兵に取り押さえられる。思い切り地面に顔を押し付けられ─
「─やめよ。」
国王が、わたしを押さえつける衛兵を止める。
「申してみせよ。リア。」
判決が決まった上で
「──はい。…わたしは確かに、魔物の血を引いているかもしれません。…ですが、ディネリンドは違います。ディネリンド魔物ではないと知っています。エクスカリバーに触れた時も、ディネリンドを弾くようなことはありませんでした。」
「…リア…」
ディネリンドがこちらを見ている。…申し訳ないけれど、こうするのが一番だとわたしは考えた。
「…だから。………だから、処罰を受けるのはわたしだけです。ディネリンドは、関係ありません。」
「……。」
国王は黙りこくっている。衛兵たちもざわついているが…
「待っ…リア、」
ディネリンドはこちらを見て、か細くも言葉を告げている。驚きと焦りと、たくさんの感情でぐちゃぐちゃになっているから言葉が纏まっていないようだ。
「…判決を言い渡す。被告人、ディネリンドは無罪!リアは──」
『おっと、少し待っていただけますか?』
わたしの脳内に、言葉が直接響いて。




