砕かれた幻想、繋がれた信頼
『エクスカリバー が 個体名:リア の 魔族の血 に 反応 しました』
頭の中が真っ白になる。無理やり思考をつなげて考える。なぜわたしはわざわざここに立っているのか。どうしてエクスカリバーに触れてしまったのか。分かっていたのに。
『私が半魔であること』は。『勇者にはなれないこと』は。
「──リア!」
ディネリンドの声に振り返る。親友であるディネリンドの顔を今すぐ見たい。なぜかそんな気分で─
「なっ…!」
リアは驚きの声を上げる。周囲を衛兵に囲まれている。槍の先を向けられており…ふと、自分の腕を見る。
「……これの…せいで…」ポツリと言葉が漏れる。……右腕が黒く染まり…それこそ、魔物のようになってしまっていた。目線を逸らし…ディネリンドが視界に入ってしまう。
「動くなッ!!」衛兵が告げるが、気にしない。ほぼ本能のまま足を動かし、わたしは突き進む。
「なに…してるの…?」
ディネリンドが、衛兵に押さえつけられている。…わたしと一緒にいたから?わたしが魔物の血を引いているから?……ふざけるな。
「離──」
「──大丈夫…っ!」
衛兵を殴り飛ばす勢いでいたが、それでも親友の声で思いとどまる。動きが止まったわたしに、ディネリンドは続ける。
「だい、じょうぶ…だから…」
「騒ぐんじゃないっ!」
衛兵が思い切りディネリンドを押さえつける。怒りのまま殴ろうとするも、ディネリンドの目と目が合う。その目からは、恐怖ではなく…信頼、『私は味方』と言うような目をしていて。
「…分かった。」
両手を掲げ、降伏を示す。衛兵がロープで両手を後ろ手に結ばれ、拘束される。そして馬車の中に放り込まれ、わたしと…ディネリンドに衛兵に槍を突きつけながら馬車が走り出す。
巻き込んでしまった罪悪感と、それでも少しだけ、私に怯えずにいてくれたことに安堵する。……わたしが半魔であることは、昔からディネリンドも知っていたのに。どうして安堵するのだろうか。
これから行く先は一つ。わたしを裁く場所…王都へ、だ。それでもやはり、ディネリンドと一緒なら大丈夫だろうという安心感がどこかあって──




