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半魔の憧憬  作者: 雛咲かなで
第一章 憧れになれないモノ
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運命の邂逅

『『Lv 200』』


何度目を疑っただろうか。目の前の2体の魔物…玉藻前とルーマは、リアのLvを圧倒的に超えている。ディネリンドも超えているだろうし、アミニスよりも恐らく高い。

「やはり他人に送ってもらうなど慣れんのじゃ。妾は一人で帰る。よいな?」

「えぇ、その方がよさそうね。1人なら簡単に動かせるのだけれど…2人だと勝手が違うわね。」

わたしたちなど初めから居ないかのように会話をする2体。聞こえないよう小声で─

「このままやり過ごせれば、安全に──」

「はっはぁ!貴女方、凄まじい実力の持ち主のようですね!あたしは『花形役者』アミニス!いざ尋常に─」話を聞かず斬りかかったアミニス。そんなアミニスが…玉藻前が、羽虫を払うかのように煙管を振るった。その動きだけで吹き飛ばされ、村の家にぶち当たる。

「…なんじゃ、せっかく熟すまで待ってやろうと思うとったのに…殺してしもうたかのぅ?」

「さぁ…どうかしら。…なら、皆殺しにしても変わらないわよね?」

ルーマの周りに風が集まっていく。そして…

「っ…!リア!」

ディネリンドが前に飛び出し、防御魔法を全方位に展開する。「風撃乱舞」ほぼ同時のタイミングで、ルーマが風魔法を放ち…

「っっ…きゃぁぁっ!」

防御魔法が打ち砕かれ、ディネリンドの全身が風魔法で切り刻まれてゆく。ディネリンドも魔力で軽減しているようで、擦り傷が主だが…段々と、傷が深くなっていく。

「やめて…」

リアは呟く。届くわけのない言葉を。

「やめて…お願い…」

リアを庇うディネリンドに。ディネリンドを攻撃するルーマに。アミニスを殺した玉藻前に。やめるように懇願する。

「…あら、随分と耐えられるわね?…もう少し、上げてみましょう──」



「止めロ、クソ淫魔」

リアは剣を構え、全速力でルーマの目の前に飛び出す。

「──あら♪随分と早いのね♪」

攻撃をしようとしたリアを風の刃で迎撃、リアの身体が真っ二つになり─

「──ミラージュ」

そんなリアの幻が、掻き消えて。魔力を持たないリア…魔物の血の効果か、魔法で幻を見せて。ルーマの背後に、剣を振りかぶったリアが現れ…

「クたばレ…!」頸に完璧な一撃を叩き込む。そのまま切り裂こうとするが、刃が通らない。

「…っ!」

ルーマの裏拳を受け、大きく吹き飛ばされる。

「なんじゃ、珍しいのぅ?ルーマよ。油断でもしたか?」ルーマの方を見て面白そうに笑う玉藻前。

「えぇ、少しだけね…魔力を感じないと思っていたけれど、まさか突然魔力が溢れてくるとは…」

首をさするルーマ…そして、吹き飛ばされたアミニスの方を見て舌なめずりをする玉藻前。ゆっくりとアミニスの方に近寄り…

「それ、飯の時間じゃ──」

「花形役者は朽ちることなど無いんですよ──!」

凄まじいスピードでアミニスが玉藻前の顔を打つ。玉藻前に怪我はない様子で…

「はっはぁ!頑丈極まりないですねぇ!あたしも全力でやってるんですが!…『花形降臨』!」

そう宣言すると、アミニスに光が集まりだして…

「今のあたしの全力!ぶちかましてあげますよ!」

頭から血を流し、ふらついているアミニスが告げる。

「玉藻前も油断したかしら?」

ここぞとばかりに煽り返すルーマ。玉藻前は頭を掻きながら…

「ちぃと油断したのぅ。死んだと思うとったわ。」

「…それと、気絶したふりをしても無駄よ?お嬢さん?…魔力の揺らぎで分かるわ。」

倒れ込んでいるディネリンドに声を掛けるルーマ。ディネリンドも立ち上がり…

「…やっぱり…?……バレる、とは思ってたけど…魔法、チャージ出来なかったや…」

「ディネリンドさん!まだ動けそうですか?動けますよね!さぁ盛り上がってまいりましょう!」

ノリノリで戦闘態勢をとるアミニス。その横に並び、魔法を準備するディネリンド。


「お生憎じゃが、妾達も暇じゃないんじゃよ。遅れて怒られては敵わんからのぅ。」

「そうね、この辺りが限界かしら。…ディネリンドに、アミニス…それと、リア…だったかしら?また何処かで会えることを願うわ。…それまでに死なないことも。」

「アミニス…じゃったな。…煙管で軽くあしらってやったが、忘れるでないぞ?忘れられてはつまらんからな。」

2人はそう言い残し、ルーマは風魔法と羽で高速移動、玉藻前は脚力で跳び去っていく。

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