終焉2
白い雨が、激しく躰をうつ。まるで僕の穢れた血を洗い流してくれているようだった。白銀の空は、陽の光を反射して美しく輝いていた。どれほどここにこうして倒れているのだろう……数秒のような気もするし、数時間のような気もする……少しずつ、体の感覚がなくなっていくのが分かった。次第に視界が暗くなり、耳が遠くなっていく。頭も、少しずつ働かなくなっていくのを感じた。なにも、考えられなくなっていく……。
ふと、懐かしい、匂いが鼻をかすめた。僕の大好きな、汐海の匂いだ。
ゆっくりと、目を開けるとそこは、二人の秘密の丘につづく山道の途中だった。
「そうだ、僕は、山を登っている最中だったんだ」
おそるおそる道をかき分けて歩いていくと、視界が開け、懐かしい秋の丘がそこにあった。そして、悠々とそびえ立つ大木の木陰で、座って本を読んでいる、一人の少女が目にとまった。
「汐海?」
僕がそう呼びかけると、少女は本を読む手を一時とめた。
「……ずっと、ここで待っていたのか」
汐海は照れくさそうに笑いながら、コクンとうなずいた。
「どうしてそんな笑顔なんだよ。僕は、君が傷つくことばかりしたのに」
僕がそう言うと、汐海はまったく、と少し困ったように笑った。
「もう忘れちゃったの?わたし、天国よりも地獄よりも、奈津くんのいるこの世界がいいって、いったじゃない」
僕が、きょとんとしていると
「ずっと一緒にいてくれるって、約束したでしょ」
汐海が上目づかいに僕を見て、甘えるようにたずねる。汐海の言葉に、僕はやっとすべてを理解した。
「……ああ、ずっと一緒さ」
「ほら、いこ!」
汐海の手を掴んで、僕たちは歩き出す。
「そうだ、しおみ、君に話したいことがたくさんあるんだ」
「なあに?」
「あのさ――」




