表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/65

一日

その後、奈津は控訴をした。法廷で奈津が真実を口にすると、裁判官も、傍聴席の人々も皆、驚きを隠せず、神妙に聞き入った。

それから一ヶ月が経ち、奈津は一日だけ、保釈が許された。事件の内容に世間が同情したこともあり、義伯母さんも保釈金を出さざるを得なかったのだ。圭介も誘ったのだけれど、彼は今、美玖から離れられない。

隆二が死んでから、次は美玖まで心を病んでしまった。今は塞ぎ込んでいて、部屋からも出て来られない状態らしい。圭介は、美玖の看病につきっきりだった。

おかしな話で、一日だけ好きな場所へ行けると言われた奈津が選んだのは、町はずれにある、あかねヶ丘だった。もう季節は冬になっていて、少し肌寒い山道を歩きながら、梨奈ちゃんは一生懸命、奈津に話しかけていた。奈津はそれをうん、うんと穏やかな表情で聞いていた。その姿はまるで、年の離れた兄妹のようで、私と同じ年だというのに、奈津は幾つも年上の青年のように大人びてみえた。

「梨奈ちゃん、ほらあれ、ソフトクリーム屋さんだよ」

「ほんとだ!奈津くん、まってて!」

 私と梨奈ちゃんは、奈津をおいて、ソフトクリームを買いに行った。

「ここは僕がおごりますよ」

 付き添いで来ていた神谷さんが笑顔でお財布を取り出す。

「おいおい、神谷、俺たちは仕事で来てるんだぞ」

「大丈夫ですよ。長谷部さん、彼は逃げるような人間じゃない」

 神谷さんがそう言うと、長谷部さんも、穏やかな表情で笑い、歩いていく奈津の後姿を眺めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ