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来訪者
僕が殺した、少年のうちの一人の両親がたずねてきた。普通ならば断わるであろうし、相手もそのつもりで来たのだろうが、僕はそれを承諾した。断る理由も、見当たらなかった。
「てめえ、ぜったい殺してやる。うちの子がいったい何をしたっていいやがんだ!勝手にそそのかして用がなくなったら裏切るってか!人間なら誰だって、わりいことの一つや二つはするもんだ!女の子を殺したのだってうちの子は関係なくて全部お前がやったことだろうが!なにも殺しやがるなんて、お前は人間としてクズだ!」
反論する気にはならなかった。ただ、クズだと言われたときは、確かにそうだと思った。それは誰に言われずとも、誰より自分がそう思っている。でも、もうそれもどうでもよかった。この人たちがどれほど僕を憎もうと、怒りに身を焦がそうと、もう、何一つ帰ってくることはない。自分が、他の誰かが、これからどうなろうと、もう気にもならなかった。




