少女の思い
――わたしには、信じられなかった。ママに連れられてきた裁判の被告人席には、わたしに黄色いリボンをくれた、あの人がいた。周りの人の話を聞いていると、どうやら、あの人がおねえちゃんの命を奪ったらしい。そして、他にも人を殺しているようだった。
あの人がおねえちゃんを殺したと聞いたとき、わたしは、信じられなかった。おねえちゃんがいなくなって悲しくて悲しくてどうしようもなかったけれど、傘を貸してくれたあの人の、あの優しい眼差しを思い出すと、とても、そんなことをするような人だとは思えなかった。あの人が死刑判決を宣告されたとき、周りの人はあの人を罵倒した。ママはただ、泣いていた。わたしは、どうしたらいいのかわからなくて、ただじっとあの人の後姿を見ていた。
彼が振り返った時、目が合った気がした。彼はとても哀しく、そしてやさしい瞳で、わたしに微笑みかけた。
彼が、どうして微笑んだのか、今でもわからない。けれど、わたしはあの瞬間を、今でも忘れられないでいる。
ねえ、どうして。おねえちゃんはいつも、あなたのことをあんなにうれしそうに話していたのに。
ねえ、どうして。そんなことをしても、おねえちゃんは喜ばないことを、あなたは知っていたはずなのに。
ねえ、どうして。もし、あなたが教えてくれていたら、わたしたちは、あんな思いをしないですんだかもしれないのに。




