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矛盾

「じゃあ、あたし、隆二のところに顔だしてくるね。おばさんに渡された隆二の荷物持って行かなきゃいけないし、隆二に借りた原付も、返しに行かないといけないから」

「まゆちゃん……」

 美玖はものものしくうつむいたまま、私にそう声をかけた。

「どうしたの?みく」

「ウチね……実はあの日、仲村さんを見たの……」

「あの日って……仲村さんが、殺された日のこと?」

私が、おそるおそるたずねると

うん、と美玖はうなずいた。

「あの日、学校の帰りにね、仲村さんと隆二が二人でいるの、ウチ見ちゃったんだ……」

「隆二が……どうして」

美玖はうつむいて「わからない」と首を振った。

「そのこと、なんで今までずっと黙ってたのよ」

「だって……隆二はうちの彼氏だもん。もし、隆二が疑われるようなことになったら……」

「だからって!!」

「……圭介にはゆったよお。そしたら圭介が黙ってろって……」

 美玖は、うしろめたそうに視線をそらした。美玖なりに色々と抱え込んで、今までずっと、どうしたらよいのか悩んできたのだろう。ましてや、隆二は美玖の彼氏だ。そんなこと、公言できるはずもなかった。

「圭介は、どうして……あの日、あたしが理香と買い物に行ってる間にいったい何があったっていうの」

「……なにゆってるの?あの日、ウチと理香がショッピングに行こうって誘ったのに、まゆちゃんは用事が思い出したからって、こなかったじゃない」

その時、家のチャイムが鳴った。慌てて出ると、圭介が帰ってきていた。

「いやあ、やっぱりまゆこん家は落ち着くな。ここに入るまで、人の視線が痛かったよ」

「圭介……!」

美玖は泣きそうになりながら圭介を見た。

「実はさっき、奈津に会ったんだ」

「……どこ!どこであったの!」

 私は圭介の服の裾を掴んで声を張り上げた。

「こどもの国……だけど、もうどこかへ行ってしまったよ」

「どこに、どこにいくって言ってた!?なにを、奈津と何を話したの!」

「聞けなかったよ、でも、奈津には、みんなが心配してることや、隆二が入院しちゃったことを話したよ」

「ほかには!」

「そういえば、どこへいくつもりだったかは分からないけど、不思議と奈津は、迷っているようにも、逃げまわっているようにも見えなかった。目的地が決まってるかのように、歩いていったんだ……どうしてだろう」

その時、一つの可能性が、私の頭をよぎった。

もし、仲村さんをした犯人が奈津ではなかったら?

もし、仲村さんを殺したのが……そうだ!そうなんだ!

「真由子、大丈夫か」

「あたしね、奈津が誰かを殺したなんて嘘だと思ってた。でも、何度もニュースやネットで奈津がまるで犯罪者のように扱われているうちに、もしかしたら、もしかしたら本当に奈津は変わっちゃったのかもって思ってたんだ。……でも違った。奈津は奈津のままだった」

「おい真由子、おまえ、急になにをいいだすんだよ。説明しろよ!」

 圭介が私の肩を掴む。

美玖は、うつむいたまま立ち尽くして、泣いていた。

「……とめなきゃ」

これ以上、奈津に人を殺させてはいけない。圭介の手を振り払って、私は家を飛び出した。


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