チワワとして初めて王国騎士団の騎士団長に合格しました。
チワワかわいい
昨年、カワイーヌ王国で歴史的な出来事が起こりました。
「今日をもって、我の愛犬チワワを騎士団長に任命することにするゾイ」
カワイーヌ王国の王様、ドグドグ王の命によって彼の愛犬チワワが騎士団の団長となることが決定したのです。
これには不満を持つ者も多くいました。
騎士団長とは王国の中でもエリート中のエリート。
本来であれば、騎士団に長年所属した中で厳しい試験を合格したものだけが着くことが出来る名誉ある地位です。
そんな地位をまさか、愛犬のチワワに与えてしまうなんて。
抗議する者もいましたが、彼らはどういう訳か次の日から姿を見せることはありませんでした。
「せめて、試験だけでも受けさせてくれないか?」という声もあったことから、王様は仕方なくチワワに試験を受けさせました。
王国の中でも最上級の筆記試験と、実技試験。
それをチワワは肉球1つと「ワン!」という元気な掛け声だけで全て乗り越えてしまったのです。
これは、まさに歴史的な快挙でした。
これだけであれば、単なるドグドグ王のワガママということで話も終わっていたでしょう。
しかし、この話が歴史的な出来事になった理由はまさにここからなのです。
チワワ様が騎士団長になってから1ヶ月に、カワイーヌ王国他国からの襲来を受けました。
チワワが騎士団長になったという噂を聞きつけて攻め入ってきた他国。
兵力の差は五分五分、戦争は長期に渡ると誰もが予想をしていました。
「チワワ様。ニャーンニャン王国は依然として兵力を削る様子はございません。これからどうしますか!」
騎士団は何をするにしても、チワワ様の承認を得る必要がありました。
王国の中でも最高峰の組織です。
その中で縦の関係を乱すことは、ドグドグ王への背叛とも見られてしまうからです。
「ワンワン!!」
全てを悟っているチワワ様は元気に吠えます。
「ふむふむ、なるほど……」
「副団長、チワワ様はなんとおっしゃっていますか?」
この副団長は、人間達の中でもチワワ様と心を通わすことができる者でした。
チワワ様の命令は全て副団長が通訳をすることで騎士団に伝わります。
「チワワ様は南を攻めろと仰られている! そこに敵の本拠地があるはずだ! 全員で突撃するぞ!」
「おおーーー!!」
チワワ様の命令を元に総動員で南の方角を攻め入りました。
なんと、これがドンピシャで当たりカワイーヌ王国は見事な反撃を見せたのです。
これにはドグドグ王も感激しました。
「なんと素晴らしいことだ! これも全てチワワが守ってくれたおかげだな」
「いえ、王様……これは」
「なんだ? チワワが何か間違ったことでも言ったゾイ?」
「いえ、そんなことは全くございません。全てチワワ様のお言葉の通りでした」
チワワ様のおかげで掴んだ画期的な勝利。
この伝説はすぐに王国中に広まりました。
チワワ様は国民たちのヒーローとなり、王都の中心には忠犬チワワ像が建てられるほどでした。
「チワワ様が通られるぞ! 敬礼!!!」
「敬礼!!!」
騎士団の中でも、チワワ様は絶対的な存在となりました。
チワワ様が前を歩かれる時は、人々はみな頭を地について敬礼することが義務となりました。
チワワ様よりも高く頭を上げたものは不敬者であるため、騎士達はみな地面に頭を叩きつけてチワワ様に敬意を示しました。
中には、選ばれた騎士がチワワ様におしっこをかけられることもありました。
頭からかけられるそのおしっこは「聖水」と呼ばれ、その者は国の中で名誉ある称号を貰ったことになります。
そんなこんなで3ヶ月ほどたち、遂にカワイーヌ王国は滅亡しました。
理由はカワイーヌよりも北に位置する、ブルドッグ共和国との戦争でした。
「ワンワン!!」
チワワ様はハッキリと南を攻めろとお言葉を下さったのに、愚かな人間たちは目の前で北から攻めてくる軍隊に目を奪われてしまったのです。
この頃には、かつてチワワ様の声を代弁していた副団長は処刑されていました。
「みんな目を覚ませ! 私にはチワワの声など聞こえていないのだ!」
などという戯言を喧伝し、チワワ様を貶めようとした者への順当な罰でした。
チワワ様の声から背こうとした愚かな人間達への試練だったのでしょう。
もし、カワイーヌ王国がまだチワワ様のお言葉を耳にすることが出来ていたのならば、更なる大帝国へ躍進していたことは間違いありません。
しかし、圧倒的な力というのは歴史からも嫌われてしまうもの。
チワワ様の出現はその大きな予兆にしか過ぎなかったのでしょう。
チワワある所に歴史ありなのですワン。
お読み下さりありがとうございます!
Twitterで見てアイデア浮かんだので書いてみました。
チワワ様には逆らっちゃダメですわ。