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娘の成長は、スパルタとデザートの賜物です。

~~ アルフレッド ~~


「そう言えば、ミリアもそろそろだな」

「あらあらそう言えばそうねぇ……一体どの様な結果になるのかしら?」


 はてな? と言った顔をするミリアの頭を撫でながら、随分と大きくなったなと実感する。

 妻のアリアと成長したミリアを愛でる。随分と詰め込んで教育したのだが、愛情は注いできたハズだ。

 

 そんなミリアは年が明けると十歳となる。

 そして、十歳と言えば……教会で儀式を受けてジョブを割り当てられる年齢だ。

 

 ただ、不思議そうな顔をしているのはミリアだけでなく、エルやフェンリルもまた同じような顔をして此方を見ている。

 なので説明をしていくのだが……はて、なぜフェンリルはジョブについて知らないのだろうか。


「ジョブと言うのは、教会にて十歳になった子供達が年明けの時に受ける儀式で授かるモノだな。それによって、適正能力……戦士であったり魔法使いであったり農夫や家政婦などと言った物もある。そこのカールなんて執事と言うジョブを受けているぞ」

「まさに天職と言う奴ですな」


 例題としてカールの名を上げると、カールもまたにやりと笑いながら答えた。本人が言う通り天職なのだろう。実に活き活きと仕事をしているからな。私の首根っこを掴んで……。


「では、お父様のジョブは領主などでしょうか?」

「いや違うな。私のジョブは魔法剣士と言う奴だ」


 まぁ、このジョブのお陰で戦えるし領民を守れるのは間違いない。無いのだが、時折冒険をしたくなったり魔物と戦いたくなる衝動付きだ。……それ故に、カールに首根っこを掴まれるのだが。


「ではでは、お母様は!?」

「私は、裁縫師ですよ。ミリアの服も私が作っているでしょう?」


 と、まぁこのような感じで、適正職と言うだけで別にその職に就く必要は無い。無いのだが、他の技術よりも伸びるのは間違い無い話だ。

 メイド達など、掃除師であったり菓子職人などといったジョブ持ちも居るので、むしろ沢山の人を集めて補うのがベストだろう。


 そのように、ジョブの話をしていると何やらフェンリルが難しい顔をしている。……一体何か可笑しな事でも言っただろうか。

 とは言え、子犬モードである彼は現在会話をする事が出来ない。これは後で話を聞くべきだろうな。


「ミリアは一体どんなジョブを授かるのでしょうね」

「もふもふを一杯集めるジョブが良いです!」


 ふむ。ミリアが求めるのはテイマーやサモナーだろうか。とは言え、願ったジョブが手に入る事などほとんどあり得ない。

 私とて、領主かそれに近しいジョブを求めたのだがな……。


「そういえば、エルはジョブを授かっていなかったか」

「えっと……じょぶをしったのは、今がはじめてです」

「そうか。正確な年齢が解らない以上、見た目もミリアと同じである事だし、同時に儀式を受けても問題無いだろう」


 まぁ、私はエルの実年齢を知っているがな。それは言えない話だ。なので、見た目的にも十歳で押し通す。

 これは、後々の事を考えれば必要な事だろう。


「わかりました! えるはじゅうです!」


 うむ、随分と会話も出来る様になって来ているみたいだ。まぁ、儀式時までにミリア程会話が出来る様になることは無いだろうが……その辺りは事件があったとでも言って押し通せるだろう。


 さて、ジョブを授かった子と言うのは子供と大人の間とみなされる年齢だ。大抵の者は家業を継ぐ為に見習いとして仕事を始める。

 だが、国に仕える者は別だ。領主や騎士などは学校に通わねばならない。


 ……正直。無駄だと言わざる得ない。勉強ならカールにでも教えさせた方が早いのだ。


 しかし、国の中枢……と言うよりも、教会が推奨しているので通わせない訳には行かない。

 わざわざ、辺境から、中央へと子を行かせるのだ。時間の無駄とどれだけの領地持ちは思っているだろう。


 ただ、子の傍に補佐を付けるのは問題が無い。とあれば、エルに着いて行ってもらう。年齢も同じだからな。良い話し相手になるだろう。

 それに、この事はフェンリルとも話し合っている。彼もまたエルに現状を色々と見て欲しいようだ。……まぁ、本獣は着いていく気しかないのだが。


 色々と準備が必要になるだろうな。さて、それまでにエルはどれだけ学んでくれるだろうな? この成長速度からして、楽しみでしかないのだが。




~~ フェンリル ~~


 話を聞いて、どういう事だ? と言うのが第一印象だ。

 我の父達の時代において、ジョブ等と言ったモノは聞いたことが無い。それは、我が幼く聞いた記憶が無いとか、記憶が抜けているという訳でなく……事実、その後に父達の知り合いやその子孫からも、その手の内容を聞いた覚えが無いのだ。


 そして、情報収集をしていた我が子孫達もまた、ジョブ等と言うモノを聞いたことが無い。


 一体、何時、どのタイミングでジョブなるモノがこの世界に誕生したのだ? もしや、古代文字やも大魔法などと言われる、古き技術が失われてからであろうか。


 そうなると……ジョブを作ったものはお騒がせな管理者共か? 世界は一度、奴の所為で混沌の世界となったからな。

 その後、その管理者がどうなったか走らぬが……また何かをやろうとして、その下準備でもしているのだろうか。


 だとすれば、エルが巻き込まれぬ様にせねばなるまい。


 アルフレッドの奴が我を見ておる。ふむ、何か我の表情から察した様だ。

 これは、後でまた月見酒に付き合う事に成るだろう。……しかし、我もジョブに着いては色々と聞きたいから丁度良いとも言える。情報交換と行こうじゃないか。


 しかし、アルフレッドの奴は学校の事は子供達にはまだ言わぬようだ。さっさと言えば良いものを。

 大方、ミリアと離れたくないために、学校と言うワードを口にしたくないのだろうが……それを言わずとも、日を追うごとにこの領地から離れる日が近づくと言うのにな。まったく、父親と言うのは。




 さてさて、では月見酒に付き合う為にも少し休んでおかねばな。

 という訳で、そこなメイド? いい加減もふもふするのを止めんか!! 其処は弱いんじゃぁぁぁぁぁ!!

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!


現状までは世界観の設定に触れつつ、前作の風呂敷に触れながらその違いを語って居たりします。

ですので、父のアルフレッドやフェンリルももふもふが語るシーンが多かったり。まぁ、その為にエル君には犠牲として、会話が今は苦手と言う状況になって貰いました(主人公なのに)。


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