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時間の針を少し進めて。

少しだけ時を進めます。数日ですがw

~~ ミリア ~~


 フェンリル様とエル君が来て以来、お父様は難しい顔をよくするようになりました。

 何やら、すっごく重たそうな荷物を背負っているようなお顔。

 お母様も「旦那様なら大丈夫だとは思うけど……」と、森に行った時とは違い多少心配をしている様子。


 とは言え、そんな難しそうなお顔をするお父様ですが、やる事は変わらないと何やら覚悟もしているようで……。


「お父様。エル君とお茶をしたのですが、なんと! お話が出来たのです!!」

「お! 遂に会話が出来るようになったか!」


 とにかく、私はお父様の気を少しでも楽にする為に、今日あった楽しかった事などを一杯お話するのですが、今日の事は今まででも一番大きなニュースだと思います。

 なので、それを主体に楽しい会話をお父様に提供。お父様も難しいお顔でなく、嬉しそうな顔をして居るので選択としては間違ってないはずです。




 そして、そんなお父様に伝えたメインであるエル君。


 彼は此処に来て以来と言うよりも、恐らくここに来る前から会話をする事が出来なかったのでしょう。

 私達が話しかけても「あー」や「うー」としか返事が出来ていませんでした。


 この事に着いて、何かお父様は知っている様ですが、その事は一切周りに告げていない様子。

 恐らくフェンリル様との約束なのでしょう。エル君が何者なのか、何が有ったのか。それを私達が知る段階では無いという事でしょうね。……凄く気になりますが。


 と、どのような経緯でエル君がお話出来ないかは別として、その会話が出来ない状態から脱却したのです。

 とは言え、しゃべった言葉と言うのも其処まで多くなく、「ありがとう」や「おいしい」と言った物を片言で。


 ただ、言葉を覚えるまでの時間は掛かっていません。何せまだ数日しか経っておらず、元有ったモノを取り返した。そう言われても不思議ではないでしょう。




「しかし、話が出来るようになったとあれば、自らの事を口に出来たのか?」

「いえいえ。まだ挨拶程度なのです。それに、此処で無理強いをして、また会話が出来なくなるのは問題だとお母様が」

「……そうか。ゆっくりと自然に任せるのが一番なのは間違いないだろうな」


 お父様の顔が一瞬難しい顔になりましたが、直ぐに戻りました。やはり何か知っているのでしょう。

 とは言え、そのお父様もゆっくりと言ってますし、ここはエル君とフェンリル様ときゃきゃと楽しく過ごすのが一番でしょうね。


 それでは……もふもふとしに行くとしましょうか。はて、高級ブラシはどこだったでしょうか?




~~ 管理者の世界 ~~


「え? ちょっとまって!? こんなの想定してない!」


 慌てる女性。彼女は後任管理者としてこの世界を管理している者。

 しかし、彼女は何かを企んでいた様だったのだが……今、それは彼女の思惑と全く違う方向へと向かっている。


「確かに! 最初に少し情報を弄っただけで、その後は直接手を加えてないけど……」


 何らかの情報を改竄したのか、それとも流したのか。

 その内容は彼女しか解らないはずなのだが、彼女のやった行動に誰かが手でも加えたのか、彼女の思わぬ方向へと話が進み始めてしまった。


 そんな事を確認した時……彼女は思わず背中に気配を感じてしまう。


 ふと振り返るが、其処には誰も居ない。「なんだ気のせいか……」と考える彼女だが、直ぐにそれが見当違いの考えだと理解する事になった。


『ふはは……中々に愉快な事を企んでいるではないか』


 そう彼女の脳内で誰かの声が響いた。いや、誰かでは無い。彼女はその声の主を知っている。

 しかし、彼女は其れを認めたくなかった。否、認める訳にはいかなかった。何故なら。


『おや? 無視か? 実に悲しい事をするじゃないか……我が部下よ』


 声の主。それは、創造主により現在は黒牢に封じられているはずの元上司なのだから。

 あーあーきこえーないー。きのせいだー。などとやってみるものの、彼女の脳内に語り掛けてくる言葉は止まらない。


『面白い対応をする。だが良いのか? 気にならんのか? 何故、こうして声を掛ける事が出来るのか、そして何故お前に声を届けているのか』


 気にならないはずが無い。何せ不可能な事を元上司はやっているのだから。

 そして、何故自分に声を掛けたのか気にならない彼女ではない。もしかしたら、元々上司が座っていた座に自分が居るから復讐でも企んでいるのでは? と、気が気でなくなる。

 だからだろうか。つい彼女は口を開いてしまった。


「……何の御用でしょうか?」

『フハハハハ! 漸く口を開いたか! いやなに、お前がやろうとしている事だ。少しばかり面白そうだったのでな……手を加えさせてもらった』


 何を馬鹿な! と、叫ぶのを我慢した彼女ではあるが、その考えは元上司に読まれている。

 当然だろう。何せ相手は脳内に直接声を掛けてくる様な事をしているのだ。その逆が出来ないはずが無い。


『何、問題は無いはずだ。多少面白い事になるだけだ』

「……明らかに、想定外の事が起きそうなのですが?」

『それも又一興と言うモノだろう? アクシデントが無いと娯楽では無いからな』


 ぬけぬけとよく言う。それでこの上司は黒牢に封じられたと言うのに。と思わなくも無いが、それを口にはしない彼女。


 しかし、囚われているはずの元上司が何故このように行動が出来るのか。

 それに着いて、元上司は一切口にしない。ただ、それは聞いたところで教えてくれるはずもない。教えた結果対策と取られてしまえば、また動けない日々を送る事になるのだから。


『何。お前も気にいるだろうよ。世界を盤に愉快で楽しい事をする。うむ、実にどうなるか楽しみではないか!』


 この日。彼女は絶望した。自らの計画を叩き潰してくれた元上司に、そして、彼が手を加えた事により、彼の言う様にアクシデントが起こり……下手をすれば、創造主が出てくるだろうと。


 薄っすらと、創造主に言うべきでは? と言う考えが彼女によぎるが、首を振ってその考えを捨てる。何せ……今この時も元上司に思考を読まれているのだから。


 創造主に告げる事も出来ず、人の脳内に直接アクセスが出来る元上司。何をされるか解らない彼女は、もはや元上司の操り人形となるしかなかった。

 たった一つの思い付きによる火遊びの様な物。そんな事を準備するのではなかった……と後悔するのだが、後の祭りと言うモノだろう。

ブクマ・評価ありがとうございます。


前半はまったり、後半は……(;´д`)

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