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黒い存在は隠しきれません。

~~ フェンリル ~~


 王都に蠢く実に臭い影。これは何だ? 何処かで感じたことが有るような無い様な……実に不思議な感覚に陥る。

 いや、王都限定とは言えないか。思えばジョブだのステータスだの何だのと言うモノを見た時から、違和感が拭えぬ。


 これではまるで、誰かがまた人を駒の様にしているでは無いか。


 いや、普通に善意の可能性もある。あるのだが……話に聞いた管理者とやらの存在を考えるとな……。


 前にアルフレッドと話したように、ジョブやらステータスはこの世界に存在せなんだ。

 そして、前任管理者は……人を駒……いや、人だけでは無く精霊達も駒にして世界を遊戯盤として遊んでいたそうだ。

 であれば、このジョブやらステータスが遊戯の為の設定。などと言う可能性は出て来る。


 確かに、ジョブを誰しもが手にする事が出来るようになったことで、モンスターと戦うのが楽になったのは事実だろう。

 ……中にはジョブなど関係なしに狩っている者も居るが……これは、昔の事を考えれば何も不思議な事ではない。


「もふもふ様。今日も毛並みが素晴らしいですね」


 ……思考をしておると、メイドの一人がブラシを持って我の毛並みを堪能しておった。

 まぁ、いつも好きな様にやらせているがな。……なにやら後方でパタパタと音がうるさいな。


「ふふ、尻尾も元気ですね。さて、お嬢様達が帰る前に更に素晴らしい毛並みにしましょうね」


 元気なのは尻尾だけではないぞ? 我の身体は常に最高の状態をキープできるからな。


 おっと、思考がずれた。

 兎に角、間違いなく裏で面倒な奴が何かをしている気配がする。さて、どうするか。

 炙り出すか、それとも行動するのを待つか……はて、そういえば教会とやらの動向はどうだったか。調べてみる必要がありそうだな。




~~ エル ~~


 面倒な相手と言うのは一定数は必ず居るもの。10人居れば二人は面倒な奴がいるなんて言われるぐらいだ。


 そして、そんな二人に属するだろう者が何やら喚き散らしている。


「何故この私がCクラスなのだ! 中央の貴族様だぞ!!」


 この発言を聞き、BクラスやDクラスのメンバーは可哀想なモノを見る目で、Aクラスのメンバーの中にもヤレヤレと言った感じで、呆れている人も居たりする。

 それもそうだ。この国において……貴族なんて制度は随分と昔に廃れている。それこそ、実力主義の世界だ。

 だが、残念な事に……中央には一定数、その時代が恋しいのか「私は貴族だぞ!」だと威張り散らす者が居るらしい。というか、目の前に居る。


「何と言えば良いのでしょうか? あの方を魔物の前に放置して、同じ言葉が言えるか試してみたいですわ」

「レイア様……少々内容が過激かと」

「あら、ミリアさんもそう思わなくて?」

「そうですね……少し面白そうな気はします」

「お嬢様……大声では言わない様にお願いします」

「あ、あの! 魔物でしたら簡単に狩る事が出来る場所がありますよ!」


 過激な事を言うお二人に、かなりズレたことを言うアイネ様。まぁ、これはこれでバランスがとれている3人だったりする。

 実に仲が良いので見ていてい安心できる……っと、少し目線がずれてしまった。


 そうそう。その喚き散らしている少年。彼は教師に向かって色々と抗議(勘違い)をしているのだが、肝心の教師は何を言われても暖簾に腕押し・糠に釘と言った具合。

 何故そう言った対応をされるのか、全くそのことを理解していないのだろう。彼は顔を真っ赤にしながら教師に謎理論をぶつけている。……良く見るとリンゴより赤くなっているのだが、頭の血管は大丈夫だろうか。


「良いのか!? 私が父上に言えば貴様などクビに出来るのだぞ!」

「そうですか。どうぞどうぞ、父上だろうが国王だろうが誰にでもお伝えください」

「き、貴様!」


 年齢の事も有るが、役者が違いすぎる。

 少しでも歴史を勉強していれば、彼の様な発言は出来ないハズだ。そして、当然中央側にもしっかりと学んでいる人はいる訳で、そんな人は彼を冷たい目で見ている。

 まぁ、そうだよな。中央のイメージをどんどん損なっている訳だから。敵意に近い気持ちを持つのも仕方がないだろう。


「お嬢様……此処に居ても意味が有りません。移動しませんか?」

「そうですね。こう言っては何ですが……意味が無い抗議をしておられるだけですからね。このような事で覆す事など出来ないと言うのに……」

「あら、中央側の方々で呆れていた方々も立ち去るようですわよ」

「見ていても時間の無駄ですから。レイア様、我々も先を急ぎましょう」


 そんな訳で、自分達はこの笑えぬ喜劇から立ち去り、帰路へと着いた訳ですが……いやいや、まさかまさか。この事が後々、面倒を引き起こすなど誰も思っていませんでした。







 と、フラグを立ててみますか。


「エル君。何か不穏な事でも考えてませんでしたか?」

「いえいえ。帰宅後のお茶はどうしようかと考えていただけですよ」

「なら良いですけど……本当ですよね?」


 むむ、さすがお嬢様。実に鋭い勘をしていらっしゃる。


 まぁ、どれだけフラグを立てようとも、彼の行動に意味が無い事はでは変わりませんが。……それをお嬢様に伝えれば、色々と話題のネタにされるか、呆れられるかでしょうから伝えるつもりなど欠片も無いですよ。

 自分は黙秘権を行使します。

ブクマ・評価ありがとうございます。

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